7月の参院選、安倍元首相のお膝元・山口選挙区では安倍氏の元秘書・秋山賢治氏(52)が立憲民主党から出馬する。14年にわたって安倍事務所で私設秘書を務めた人物が反旗を翻したのだ。
自民党現職の江島潔・参院議員も安倍側近だけに、側近と元秘書の“骨肉の戦い”となる。
この秋山氏をスカウトしたのは、“バンド仲間”だった立憲民主党の酒本哲也・山口県議だと見られている。
「酒本氏は県議出馬前に、安倍氏の秘書出身の前田晋太郎・下関市長と一緒に地元フェスでブルーハーツのコピーバンドで共演していた。ドラムをやっていた秋山氏も昔からのバンド仲間です」(地元ミュージシャン)
酒本県議にぶつけると、「前田市長とも、秋山とも昔からのバンド仲間です。そんなこと書くんですか?」と答えた。
かつてのバンド仲間が、1人は安倍系の市長、もう1人は反安倍の立憲民主党の県議、そして3人目は安倍氏の元秘書から“敵”に転じた。音楽性の違いではなく、政治思想の違いで道が分かれたということか。
4月13日の出馬会見で秋山氏は出馬の動機をこう語った。
「アベノミクスでふるさとの下関が衰退しているのを見たために、一強政治ではダメだと思い、その地元から声を上げることにした。昨年秋の衆院選では、私が勤務していた老健施設に安倍さんが来られて、その時にご挨拶はした」
会見では今回の出馬について安倍氏から反応があったかどうか、質問が出た。
「全くないですね」
元秘書の“裏切り出馬”を歯牙にもかけないという元首相の余裕ということのようだ。
※週刊ポスト2022年4月29日号