心と体の関係をリセット「逆腹式呼吸」 “自律神経の領域へ呼吸で入り込むという技”
自律神経が司る機能は、意識的に動かせないものがほとんど。だが、呼吸だけは例外だ。普段は自律神経にお任せでも、自分の意志で吸う量やタイミングを自在に変えることができる。
そこで、自律神経の不調をリセットするために有効なのが、呼吸のコントロール。自分の意志で深い呼吸をすることで、自動運転しっぱなしの自律神経を大きく動かし、ズレが生じていた脳と自律神経の関係性を修正させるきっかけ作りとするのだ。
「自律神経マッサージと逆腹式呼吸のセットを1日30回」との目標はややハードだが、随時行なうことで自分の自律神経がいつ緊張して硬くなるか分かり、その都度、気持ちの切り替えやリセットがしやすくなる。
リラックス状態を一瞬でつくる「あくび体操」 “大あくびの刺激でストレスの刺激を断つ”
前出・清水院長は、非びらん性胃食道逆流症の近年の傾向をこう読みとる。
「ひと昔前なら、自律神経に大きく影響を与えていたのは天候や季節の変化。しかしここ15年ほどは、デジタル機器を使った圧倒的な量の情報処理です。またコミュニケーションが複雑化し、対人関係のストレスも強くなりました。外界からの刺激変化が増加したことに比例し、患者数は確実に増えています」
非びらん性胃食道逆流症の場合、どこでもできるセルフケアがじつに有効な手段。自律神経の中枢である脳幹を刺激し心と体をリセットする「あくび体操」もそのひとつである。このページを読み終えたら、さあ、あくび体操の時間だ。
監修/清水公一氏(新板橋クリニック院長) 取材・文/山本真紀
※週刊ポスト2022年4月29日号