脳神経外科医で、東京脳神経センター理事長の松井孝嘉氏

脳神経外科医で、東京脳神経センター理事長の松井孝嘉氏

15分おきに天井を見る

 東京脳神経センターで行なわれる頸性うつの治療は、心因性うつのそれとは一線を画している。

「基本的に当院では、頸性うつの治療で薬は使いません。特殊な低周波機器を2種類使う理学療法が主です。しっかり首のこりを解消することで、95%の患者さんでうつ症状の改善が見られます。うつ症状があり、首のこりを感じるという方はなるべく早めに適切な治療を受けてほしい」(松井氏)

 自宅でできる頸性うつの予防策もある。重要なのはスマホやパソコン使用時の姿勢を意識することだ。

「異常を起こすのは首の後ろ側の筋肉なので、パソコン作業中は15分おきに首を後ろに倒して天井を見るように習慣づけましょう。そうして筋肉をほぐしてあげると、首のこりを防ぐことに繋がります。ただし、自分で揉んだり叩いたりするのは避けてください。特に強く揉むと神経を圧迫してしまうので、逆効果です」(同前)

 また、首を温めるのも効果的だという。

「夏は冷房で部屋の中が冷えるので、スカーフなどを首に巻くとよいでしょう。ホットタオルで首回りを温め、血行を改善するとより効果が実感できると思います」(同前)

 心身の健康は首にかかっている。

【相談窓口】
「日本いのちの電話」
ナビダイヤル0570-783-556(午前10時~午後10時)
フリーダイヤル0120-783-556(毎日午後4時~午後9時、毎月10日午前8時~翌日午前8時)

※週刊ポスト2022年6月10・17日号

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