極めつきは露骨な親族への支出だろう。支部の政治資金収支報告書には「IT掲載監修」の名目で毎月3万円の支出がある。支払い先は前述の取手市議を務める娘の夫だった。
どんな仕事をしたのか本人を直撃すると、自宅のインターホン越しにこう答えた。
「個人情報とか機密情報にかかわるので、あまり話せないんですが、まぁ、ツイッターとかフェイスブックとかSNS……」と語ったところで一度インターホンが切れ、次に出たときは「そんな内容まであなたに話す必要はないですよね。機密事項なので」とそれ以上の説明を拒否した。
取材を重ねるほど、石井氏が政治資金を“ファミリー企業”に還流させている疑惑が深まるのだ。
こうした政治資金の使途について石井事務所に質問状をFAXした上で取材を申し込むと、事務所スタッフが「担当者は辞めた」「担当者不在」というばかりで、ついに誰も電話に出なくなった。
日本維新の会に聞くと、「当該支部に対し国民や納税者目線から疑惑を持たれぬよう調査をし説明責任を果たすよう求めます」(事務局)と回答した。
〈身を切る改革、実行中。〉という維新の参院選スローガンはこう続く。
〈維新はやる。政治家のあり方を変える〉
しかし、石井氏の対応を見れば、政治家のあり方が変わったようには思えない。維新の松井代表は有権者にどう説明するつもりなのだろうか。
(了。前編から読む)
※週刊ポスト2022年8月5・12日号