ライフ

【新刊】芥川賞候補の群像新人文学賞受賞作『家庭用安心坑夫』など4冊

東京から秋田・鹿角花輪の実家へ。芥川賞候補の群像新人文学賞受賞作

東京から秋田・鹿角花輪の実家へ。芥川賞候補の群像新人文学賞受賞作

 うだるような暑さが続いている。エアコンが効いた涼しい部屋で読みたいおすすめの新刊4冊を紹介する。

『家庭用安心坑夫』/小砂川チト/講談社/1540円
2年前に結婚した小波の前にツトムが現れる。彼は故郷の廃鉱山テーマパークの中にいる人形。「パパにご挨拶しなさい」とシングルマザーの母が冗談を飛ばしていた坑夫のマネキンだ。帰省に反対する夫のスキをついて小波は鹿角花輪の実家を目指す。母の死や義父の介護という過去と、過去から自由になれたはずの夫との現実の暮らし。家族のままならなさを滑稽な痛みで描く。

公助を期待せず、自助で生き抜く。若い女性にはリケジョがお薦め

公助を期待せず、自助で生き抜く。若い女性にはリケジョがお薦め

『女性の覚悟』/坂東眞理子/主婦の友社/1350円
31才で働く女性の姿を意気軒昂に書いた当時官僚の著者。44年の時を経て環境は進化した? 女子教育に転じた著者は現実を見据えて言う。「女性(母親)が働いて育児もするのが当たり前」と覚悟し、「稼いだお金で親の介護を支える」と覚悟せよと。本書の後半は後半生に入った女性達へエールを送る。のんびりせず一生働こうと。そんな殺生な〜。でもこれが今の日本。覚悟せねば。

なぜ彼らは逃げるのか。不平、不満 独自の“正義”を求めてあがく人々

なぜ彼らは逃げるのか。不平、不満 独自の“正義”を求めてあがく人々

『逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白』/高橋ユキ/小学館新書/946円
題名と違い実は勝てない。でも逃げちゃう。悲喜こもごもの人間図鑑だ。開放型刑務所から脱走し尾道水道を泳いで渡った27才の男、勾留中に面会室から逃走、自転車で日本一周していた30才の男。昭和の脱獄王やカルロス・ゴーン事件にも触れる。国際的にも批判されている日本の自白偏重(長期勾留)、保釈保証金のみが逃走を防ぐ手段という現行法など、解説でも視野が広がる。

メルカリに、豪邸開放のお化け屋敷。正子のへこたれない発想に笑いと拍手を

メルカリに、豪邸開放のお化け屋敷。正子のへこたれない発想に笑いと拍手を

『マジカルグランマ』/柚木麻子 朝日文庫 814円
高齢で家の解体費用を出すのは大変。映画監督の夫と敷地内別居している75才の元女優正子はCMで理想的なおばあちゃんとしてブレイクするも、夫の急死で実情がバレて失墜。夫の借金のために土地売却しようにも豪邸の解体費用がないっ。「マジカル○○」というのは多数に都合のいいイメージのこと。非マジカルな正子のしたたかさと、周囲とのシスターフッドをお楽しみあれ。

文/温水ゆかり

※女性セブン2022年8月11日号

トピックス

第一子を出産した真美子さんと大谷
《デコピンと「ゆったり服」でお出かけ》真美子さん、大谷翔平が明かした「病院通い」に心配の声も…出産直前に見られていた「ポルシェで元気そうな外出」
NEWSポストセブン
花の井役を演じる小芝風花(NHKホームページより)
“清純派女優”小芝風花が大河『べらぼう』で“妖艶な遊女”役を好演 中国在住の実父に「異国まで届く評判」聞いた
NEWSポストセブン
2000年代からテレビや雑誌の辛口ファッションチェックで広く知られるようになったドン小西さん
《今夏の再婚を告白》デザイナー・ドン小西さんが選んだお相手は元妻「今年70になります」「やっぱり中身だなあ」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「王子と寝ろ」突然のバス事故で“余命4日”ののち命を絶った女性…告発していた“エプスタイン事件”【11歳を含む未成年者250名以上が被害に】
NEWSポストセブン
人気シンガーソングライターの優里(優里の公式HPより)
《音にクレームが》歌手・優里に“ご近所トラブル”「リフォーム後に騒音が…」本人が直撃に語った真相「音を気にかけてはいるんですけど」
NEWSポストセブン
ナンバープレートを折り曲げ集団走行する「旧車會」=[福岡県警提供](時事通信フォト)
《各地で増える”暴走”》駐車場を勝手に旧車會の集合場所とされた飲食店主「100台以上も…他のお客さんが入って来られん」と怒り
NEWSポストセブン
世界中を旅するロリィタモデルの夕霧わかなさん。身長は133センチ
「毎朝起きると服が血まみれに…」身長133センチのロリィタモデル・夕霧わかな(25)が明かした“アトピーの苦悩”、「両親は可哀想と写真を残していない」オシャレを諦めた過去
NEWSポストセブン
キャンパスライフをスタートされた悠仁さま
《5000字超えの意見書が…》悠仁さまが通う筑波大で警備強化、出入り口封鎖も 一般学生からは「厳しすぎて不便」との声
週刊ポスト
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《あなたとの旅はエキサイティングだった》戦力外の前田健太投手、元女性アナの年上妻と別居生活 すでに帰国の「惜別SNS英文」の意味深
NEWSポストセブン
エライザちゃんと両親。Facebookには「どうか、みんな、ベイビーを強く抱きしめ、側から離れないでくれ。この悲しみは耐えられない」と綴っている(SNSより)
「この悲しみは耐えられない」生後7か月の赤ちゃんを愛犬・ピットブルが咬殺 議論を呼ぶ“スイッチが入ると相手が死ぬまで離さない”危険性【米国で悲劇、国内の規制は?】
NEWSポストセブン
1992年にデビューし、アイドルグループ「みるく」のメンバーとして活躍したそめやゆきこさん
《熱湯風呂に9回入湯》元アイドル・そめやゆきこ「初海外の現地でセクシー写真集を撮ると言われて…」両親に勘当され抱え続けた“トラウマ”の過去
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:
【激太りの近況】水原一平氏が収監延期で滞在続ける「家賃2400ドル新居」での“優雅な生活”「テスラに乗り、2匹の愛犬とともに」
NEWSポストセブン