音響効果を担当した柴崎憲治氏(撮影/藤岡雅樹)
――破片が屋根瓦を砕く音も衝撃的です。
柴崎:あれは本物の瓦をハンマーで叩き割った音です。実際に録っていないとああいう音にはならないんですよ。実際にやることで音の層を厚くして、そこにガシャッという破片が当たる音を別に足しています。
――そこもアナログの音が基本にあるんですね。
柴崎:あの作品は相当にアナログでしょう。アニメだからといってリアルな音を排除しない。より徹底的にリアルにやるっていうのが最初のテーマでした。
【プロフィール】
柴崎憲治(しばさき・けんじ)/1955年生まれ、埼玉県出身。アルカブース代表取締役。音響効果の重要性を映画界に認知させた立役者の一人。「日本一多忙な音効マン」の異名も。今年公開の担当作に『大怪獣のあとしまつ』『死刑にいたる病』『峠 最後のサムライ』など。
【聞き手・文】
春日太一(かすが・たいち)/1977年生まれ、東京都出身。映画史・時代劇研究家。
※週刊ポスト2022年9月9日号