芸能

【崔洋一さんへ最後の手紙】井筒和幸氏「『岸和田少年愚連隊』のきっかけを作ったのはあなただった」

井筒和幸氏が崔洋一さんへ最後の手紙(写真/共同通信社)

井筒和幸氏が崔洋一さんへ最後の手紙(写真/共同通信社)

 激動の2022年が幕を閉じようとしている。思い返せば今年は政財界や芸能界で多くの著名人がこの世を去った。愛して止まないあなたへ。井筒和幸氏(映画監督)が崔洋一さん(11月27日没、享年73)が“最後の手紙”をしたためた。

 * * *
 崔さん。あなたが亡くなったと聞いた時は本当に驚いた。まったく知らなくて、知らせてくれた記者に「いつ死んだの」と聞いたくらいだ。

 でも実は、死期が迫っているような感じは薄々してたんだ。今年の夏にさ、10回連載くらいの朝日新聞のインタビューに答えて、初めて自分の出自を公に語ってたよな。がんを患っているということは聞いていたから、そうか、崔さんも今までのことを吐き出したくなったのかなと思わせる文体だった。それで何となく、もしかして死期を感じ取っていたのかなあ、なんて改めて思うよ。

 今の映画界ではもう、俺らが一番古い世代だな。俺と崔さんと高橋伴明さんと2012年に亡くなった若松孝二さん。その辺は、先鋭的な映画を作っていこう、既成の映画業界を打ち破ろうという意思を持った仲間たちだった。俺も既成メジャーの古い体質、配給システムを何とか壊したかった、彼らに磁石で吸い寄せられるように一緒に闘っていたんだ。

 崔さんが「今の理事長を引き摺り下ろす」と意気込んで、2004年に日本映画監督協会の理事長に立候補した時は、「映画業界を若返らせたい」「古臭い考え方を新しくするんだ」って言うあなたに協力していこうと思って、俺の一票を預けたんだ。

 それから崔さん、覚えているかな。俺はあなたに救われたこともあった。

 自分の撮影現場で事故があって、そのダメージがなかなか払拭できなくて、もうそう簡単には映画は撮れないなあと思っていた時期のことだ。あなたは俺を『マークスの山』にキャスティングしてくれた。

「ちょっと冒頭で、最初に死んでるさあ、浮浪者の役なんだけど」って。「一番先にお前の顔が浮かんだよ」って。端っぽの役では一番先に俺をキャスティングしてくれたって言ってたよな。

 撮影の時は、ザイルか何かで頭をパックリ切られた血まみれの特殊メイクを3時間くらいかけてしてもらったな。それで、死体の特殊メイク姿の俺が道端で寝転んで本番を待ってんだ。

関連記事

トピックス

水卜麻美アナ
日テレ・水卜麻美アナ、ごぼう抜きの超スピード出世でも防げないフリー転身 年収2億円超えは確実、俳優夫とのすれ違いを回避できるメリットも
NEWSポストセブン
かつて問題になったジュキヤのYouTube(同氏チャンネルより。現在は削除)
《チャンネル全削除》登録者250万人のYouTuber・ジュキヤ、女児へのわいせつ表現など「性暴力をコンテンツ化」にGoogle日本法人が行なっていた「事前警告」
NEWSポストセブン
撮影現場で木村拓哉が声を上げた
木村拓哉、ドラマ撮影現場での緊迫事態 行ったり来たりしてスマホで撮影する若者集団に「どうかやめてほしい」と厳しく注意
女性セブン
5月13日、公職選挙法違反の疑いで家宅捜索を受けた黒川邦彦代表(45)と根本良輔幹事長(29)
《つばさの党にガサ入れ》「捕まらないでしょ」黒川敦彦代表らが CIA音頭に続き5股不倫ヤジ…活動家の「逮捕への覚悟」
NEWSポストセブン
5月場所
波乱の5月場所初日、向正面に「溜席の着物美人」の姿が! 本人が語った溜席の観戦マナー「正座で背筋を伸ばして見てもらいたい」
NEWSポストセブン
氷川きよしの白系私服姿
【全文公開】氷川きよし、“独立金3億円”の再出発「60才になってズンドコは歌いたくない」事務所と考え方にズレ 直撃には「話さないように言われてるの」
女性セブン
田中みな実、寝る前のスマホ断ちで「顔のエラの張り出しがなくなった」 睡眠の質が高まり歯ぎしりが軽減された可能性
田中みな実、寝る前のスマホ断ちで「顔のエラの張り出しがなくなった」 睡眠の質が高まり歯ぎしりが軽減された可能性
女性セブン
AKB48の元メンバー・篠田麻里子(ドラマ公式Xより)
【完全復帰へ一直線】不倫妻役の体当たり演技で話題の篠田麻里子 ベージュニットで登場した渋谷の夜
NEWSポストセブン
”うめつば”の愛称で親しまれた梅田直樹さん(41)と益若つばささん(38)
《益若つばさの元夫・梅田直樹の今》恋人とは「お別れしました」本人が語った新生活と「元妻との関係」
NEWSポストセブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン