芸能

名バイプレイヤー・岡部たかし(50)が初めて明かすデビュー前「高卒フリーターだった頃」と「下積み時代」

(撮影/横田紋子)

日本テレビ系『リバーサルオーケストラ』(水曜夜10時〜)に出演中(撮影/横田紋子)

 現在放送中のドラマ『リバーサルオーケストラ』(日本テレビ系列、水曜夜10時〜)で、楽団の事務局長・小野田隼(おのだ・はやて)を演じる俳優・岡部たかし(50)。ドラマウォッチャーにとって“今いちばん気になるバイプレイヤー”と言えるのではないか。

 昨年、長澤まさみ主演で話題となった『エルピス』(関西テレビ、フジテレビ系列)でのテレビ局プロデューサー・村井役は強烈な印象を残した。当初、日本中の視聴者の女性からブーイングを浴びるほどのセクハラ上司っぷりを演じてみせ、その後の展開では全視聴者から「村井、最高だな!」と共感を得るようになるほど振り幅の大きい役を1本の連続ドラマで演じ切った。俗に言う、大きな爪痕を残した。

 そして前作の爪痕なんぞどこ吹く風とばかりに、今回の『リバーサルオーケストラ』小野田役では腰が低く朗らかな中年男性を見事に演じている。物語は、架空の「西さいたま市」が舞台。同市のお荷物楽団と呼ばれるオーケストラ『児玉交響楽団』を再生させるために呼ばれた、市長の息子で著名な指揮者・常葉朝陽を演じるのは田中圭。オケ再生の鍵を握るもう一人の人物・元天才ヴァイオリニストの谷岡初音を演じるのは、門脇麦。彼らと団員の奮闘を、岡部たかし演じる小野田がオケの事務局長として支えている。

(c)NTV

主演の門脇麦と絡むシーンも多い(c)NTV

 俳優・岡部たかしとは一体どんな経歴の持ち主で、振り幅のある演技力はどこからきているのか。本人に話を聞いた。【全3回の第1回】

地元では「絵に描いたようなフリーター生活」

「実は今日、めちゃくちゃ緊張しておりまして……」という岡部さん。まずは彼の人となりを知るために、デビュー以前のことから質問を投げていく。

──ざっくりで良いので岡部さんの経歴について教えてください。俳優を志して地元・和歌山から上京されたのが、24歳ごろ。それまでは何をしていらしたんですか?

岡部:高校を卒業してから建築会社で現場監督をしていました。僕、工業高校の土木科出身なんですよ。俳優の仕事とは全然関係ないですよね。じゃあなぜ工業高校へ進学したかと言うと、友人が行くから……という安直な理由で。

「おまえ、あそこの高校へ行くん?」「そうやで」「じゃあ、俺もそこ行こうかな」──そんな会話で進学が決まったんですよ。今から35年くらい前はまだバブルの残り香みたいなものがあって、就職することも全然困りませんでした。流れるように、地元では優良企業と呼ばれる建築会社で働き始めました。

──当時のお仕事は順調だったのでしょうか?

岡部:いや、それがなんの意志もなく働き始めたわけですから、全然面白くなくて……。トンカチも満足に扱えないのに、現場監督をしてほかの作業員に指示をしていましたし。で、結局早々に辞めました。母親は大騒ぎでしたよ。「せっかくいい会社に就職できたのに!」って、泣かれました。でも無職でいるわけにもいかないので、トラックの運転手をしたり、喫茶店でバイトをしたり。絵に描いたようなフリーター生活を送っておりました……。

(撮影/横田紋子)

会社を辞めフリーター生活をした後、現実逃避のように「芸能人」を志した(撮影/横田紋子)

──そんな青年がどこで着火して俳優を志したんでしょうか?

岡部:うーん、具体的に俳優になろう、という意志は上京前にはなかったんですよね。言い方は悪いんですけど、現実逃避のように「芸能人になってみようかな」と思った。でも僕が住んでいた和歌山県にはそんな情報もなかったですし、とりあえず東京に行くしかないと。都会に憧れもあったし。

──私も田舎出身なので、おっしゃる都会への憧れはよーく分かります。でもそんな状態でよく重い腰が上がったなと思うのですが。

岡部:当時おつきあいしていた恋人が「私も一緒に(東京へ)行ってやるから、やりたいことやりな!」と言ってくれて。その言葉に背中を押してもらったようなものです。

(c)NTV

『リバーサルオーケストラ』では楽団の事務局長・小野田(右端)を好演(c)NTV

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