ウクライナのゼレンスキー大統領は2022年2月25日「我々はここにいる」と大統領府の外で撮影した動画メッセージをSNSに公開した(FACEBOOK / @Volodymyr Zelensky AFP=時事)
いや”野望”で目が曇っていたのかもしれない。プーチン大統領は当初、この戦争をウクライナに威圧され虐殺されている民族を救い守るためと正当化し、自身が発表した論文の中で「ロシアとウクライナは1つの民族だ」と語っていたほどだ。領土を広げ国を強大な帝国にし、皇帝として君臨するのがプーチン大統領の理想だともいわれる。だがなぜ、この時だったのか。ゼレンスキー氏が大統領だった、世界中がコロナ渦だったなど、多くの専門家らが様々な分析を行ってきた。
心理学には年齢に関する面白い研果がある。研究したのはニューヨーク大学のオルター教授(Adam Alter)らで、人は29歳、39歳、49歳、59歳、69歳と節目の年齢に近づくと、これまでの人生を振り返り、良くも悪くも人生の意味を探し出そうとしたり、人生を意味あるものにしたくなったりするらしい。そのためいきなり何かを始めたり、急におかしなことに挑戦したりする可能性が高くなるというのだ。よく10年一区切りというが、節目の年になると、人はこれまでの10年を振り返ったり、次の10年を意識し始めたりするようだ。将来に不安を感じたり、このままでいいのかと焦ったり、動揺したりしやすいという。「9のつく年齢は要注意」なのだ。
そこでプーチン大統領の年齢を調べてみると、誕生日は1952年10月7日、現在70歳。ウクライナに侵攻を開始した時はなんと69歳だ。節目の年に心の中で「ここで終われない」「まだまだやれる」「これからの10年のために」と強く思ったのだろうか。まさかプーチン大統領の決定に、年齢的な危うさが影響を及ぼしたと考えたくないが、侵攻を始めた時に69歳だったのは事実だ。
ついでに気になるあの国のリーダーを調べてみると、弾道ミサイルをバンバン打っている北朝鮮の金正恩総書記は、誕生日が1984年1月8日で現在39歳。どんどん独裁色が濃くなっていく中国の習近平国家主席は、1953年6月15日生まれの69歳。この顔ぶれに9のつく年齢が並ぶと、少し怖くなってくる。ちなみにウクライナ訪問がなかなかできない岸田文雄首相は現在65歳。9がついてもつかなくても岸田首相は変わらない気もするが、なんだかちょっと安心した。
ゼレンスキー大統領は45歳。節目の年はまだ先で、このまま勝利するために戦い続けるだろう。「ウクライナに栄光あれ」――。