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「まさか自分が」交通事故に遭った記者が実感した、ひとごとではない知っておきたいノートの存在

「交通事故被害者ノート」の普及に努める、(写真左より)一般社団法人「関東交通犯罪遺族の会(あいの会)」の代表理事・小沢樹里さん、副代表理事・松永拓也さん、代表顧問弁護士の高橋正人さん。

「交通事故被害者ノート」の普及に努める、(写真左より)一般社団法人「関東交通犯罪遺族の会(あいの会)」の代表理事・小沢樹里さん、副代表理事・松永拓也さん、代表顧問弁護士の高橋正人さん。

 ここ数年、自動車事故の取材をしていて痛烈に感じていたことがある。

「交通事故被害者は、いくら金銭をもらおうが、決してその金額で得をすることはない」

 そんな記者自身が先日、軽微ではあるものの交通事故に巻き込まれてしまった。突然のことにどう対処すればよいか途方に暮れてしまった現実とそんな時、助けになってくれる“ノート”の大切さを身を以て感じた経験を伝える。

* * * 

 2022年の日本国内での交通事故発生件数は30万0839件。計算上は、いまも2分に1件以上の頻度で交通事故が起こっていることになる。それでも、多くの人にとっては、自分に起こるかもしれないとはあまり実感できていないのではないだろうか。実際に自分の身に降りかかるまでは・・・。

 私は先日、日曜の昼に、友人と待ち合わせした公園に自転車で向かっていた。大通りで信号のない横断歩道を渡ろうとしたときのことだ。左折しようとしている車がいたので、私は車の手前で止まった。しかし運転手は右方向ばかり見ていて、左側にいる私のことはまったく見ていない。

 えーっ! という間に車はそのまま左折し、私は身動きがとれないままどうすることもできず、車の左側面にハンドルを取られて転んでしまった。自転車はパンクし、自転車の下敷きになった右脚のふくらはぎから足首の上はズキズキ痛み大きなアザができていた。

 何かに接触したことに気づいた運転手が降りてきたが、私のほうは痛いし呆然としていて愛想良く対応などできない。現場の隣が駐車場だったので、そこに車を停めてくるという。

 交番の警官が駆けつけてきた後、15分ほどで交通課の警官が到着。その時間がものすごく長く感じた。待ち合わせをしていた友人に連絡し、こんな状況だと伝えたらものすごく心配された。

 実況見分の後、加害者が加入している保険会社から連絡が入るということで、私は先に解放された。なんとか自力で歩けるので救急車を呼んでもらうほどではない。といっても、脚は痛むし、パンクした自転車を放り出して帰るわけにもいかない。どうにかタクシーを拾い、後部座席に自転車も乗せてもらって家に帰った。

 寝返りをうつのも痛いほど辛かったが、この日は日曜日だったので、診療してもらえる病院を探す気力もなく家で休み、翌日、整形外科に行った。

 翌日のほうが体調が悪く、脚の痛みに加えて首にも違和感が出てきた。動くのもおおごとだったが病院へ。「交通事故でケガをした」と伝えたところ、保険会社から電話が入れば治療費は無料になるが、連絡がつかなければ一旦自費になるという。

 保険会社に連絡がとれたので、病院に来ている旨を伝え、治療費支払いの手続きなどを行った。レントゲンの結果は、骨に異常はなく打撲という診断だった。

 翌火曜にはさらに脚が腫れ、歩くのも辛くなった。首と脚に処方された湿布を貼り鎮痛剤のロキソニンで痛みを抑えるしかない。仕事は1週間休まざるを得ず、楽しみにしていたプライベートの予定もキャンセルや変更。思うように動けない身体、杓子定規な対応の保険会社、保険会社から送られてきた損害賠償の請求書類の記入や必要書類の手配・・・事故によって引き起こされたすべてに苛立ち不安になった。

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