20歳でデビュー、昨年は「俳優業30周年」を迎え、人気ドラマ『相棒』(テレビ朝日系)シリーズに14年ぶりに出演(Season21)。バラエティー番組、舞台、映画、漫画家など多彩に活躍する鈴木砂羽は、今年4月に、所属していた事務所からの独立を発表した。これは、独立後、初のロングインタビューだ。これまでの半生を振り返りながら、50歳からの生き方について率直に語った。
* * *
デビュー映画『愛の新世界』(1994年)をリアルタイムで観た世代の筆者には、あの映画での役柄の印象が強く、大胆でまっすぐな激しいイメージがある鈴木砂羽。初めて対面するので少しドキドキしていたが、彼女がスタジオに入って来たとき、意外にもほんわかと優しいオーラに圧倒された。
カジュアルなTシャツとスリムなパンツにボーイッシュなキャップ。すっぴんからメイクをしていくと、女優・鈴木砂羽の顔に変わっていく。
「50歳という年齢を自覚すると、改めて驚いちゃいますね。外見の変化は感じるけど、心はとっても穏やかです」
と、まず50代で独立した背景について話し始めた。
結婚生活を振り返ると「悪かったな」って
「一度自分自身に戻ろうと思ったことが大きいかな。20代でデビューしてから無我夢中で、30 代はさらに前進、上にいくという野心を燃やしていました。メジャーになる、旬の監督さんや話題の俳優さんと仕事をする、と日々気合いを入れているような状態。アクセル全開で過ごしてきたんです」
40代 になって、マネージャーと「これからどう進んでいくか」作戦会議を重ねた。そして、「さらにステージを上げよう」と、バラエティー番組出演など、仕事の幅を広げ、テンションを高めていった。そのころ、自分史上最高の年収もマークしたという。
「ありがたいことにたくさんのオファーが舞い込んできて、『望むところだ!』って片っ端から受けていました。当然、無茶もしましたよ。寝るのは移動中で、夜になるとドーパミンが出っぱなし。副交感神経ってなに? という感じで、体も心も全く休まらない状態でした」
30代半ばから加速していた忙しさはまさに怒濤。10歳年下の俳優と結婚したのもその時期だった。