「決まりのテロップはとにかくデカく」配信の回転数を意識した編集術 

大きなテロップに合いそうな迫真のブチ切れをするバイキング・小峠英二

大きなテロップに合いそうな迫真のブチ切れをするバイキング・小峠英二

 秋山は「エゴサーチの鬼」と自嘲する。 

 「死ぬほど見てます(笑)。もちろん、それによって何かを変えるってことはほとんどないですけど、時にはなるほどと思うこともあるので、それはちゃんと活かすようにしています。こういうやり取りは喜んでもらえるんだなっていうのは意識的に入れるようにするとか。 

  あと、『がんばれ地上波』では、お笑いが決まった時に白いテロップを入れているんですよ。わざとめちゃくちゃデカくしてるんですけど、これはSNSを意識してやってます。ホントはいけないんですけど、Twitterで切り抜いている人いるじゃないですか。Twitterって画像4枚なので、4コマ漫画のように4つで落ちるように特徴的なテロップをつけてます」 

  現在テレビでは配信の回転数も評価の対象となっている。特に深夜番組においては、その重要度は増している。 

 「やっぱり深い時間なのでリアルタイムで見てくれる人は少ないと思うのでTVerABEMAなど配信でどれだけ回るかっていうのを念頭に置いて作っています。そのためには、お笑い色の強いバラエティをやっていって、この番組のカラーが好きっていう番組ファンを増やしていきたいです。見ようと思って見てもらうためには、やっぱりクセのあるバラエティではないといけないと思ってますので、テロップにせよ、取り上げる物事にせよ、全部クセはつけるようにして、その番組っぽいねって思ってもらえるように目指しています」 

 『がんばれ地上波』は、いわゆる「地下ライブ」の空気を色濃く感じる稀有な番組だ。そんな中でテレビだからこそできることとはどんな部分なのだろうか。 

 「『ブチギレ王』でも小峠さんがいなかったら、地下ライブでもできなくはないと思うんですよ。あとフジモンさんに食レポを習ったりするのもそうですけど、ランジャタイの地下ライブ流の暴れっぷりに、フジモンさんや津田さん、小峠さんのような方々がツッコむ。テレビスターと地下の笑いを融合しているのがこの番組なのかなと思います。 

  あとこの間、桐野安生さんと本田らいだ~△さんの仲直り企画をやったんですけど、本田さんが『ライブだったら絶対に一緒に出ねえ』って(笑)。そういう意味でもテレビならではですかね。これはあんまりいい例じゃなかった気はしますけど(笑)」 

「バラバラ大作戦」は視聴者投票ではなく“局内投票”に 

突如として登場した地下芸人のモダンタイムス

突如として登場した地下芸人のモダンタイムス

 同局深夜枠「バラバラ大作戦」の番組は良くも悪くも番組誕生から終了までのサイクルが早い。純粋に番組の面白さだけでは勝ち抜くことが難しい「バラバラ大選挙」で番組の存続が左右されるシステムに秋山はテレビマンとして「もうちょっと長い目で見ていいタイプの番組もたくさんあったと思う」と複雑な心境をのぞかせつつ「僕はこの番組が一番面白いと思ってる」と胸を張る。 

  ちなみにこれまで視聴者投票と局内投票が行われていたが、今年67月に行われる「第6回バラバラ大選挙」は局内投票のみで実施されることとなった。 

 「局内投票向けに、この間、局内のスピーカーで流れる1分間のラジオみたいなものを録ったんです。15パターン録ったんですけど、全部の回で4分以上喋ってくれて(笑)。だから20分喋ってるんですよ。 

  だったら、ランジャタイさん2人だけでお喋りするような回もできるなあと思って、今後そういう企画もやりたいなって思いました。できればお客さんを入れて。あんまり今までは考えもしなかったんですけど、番組イベントみたいなこともやってみたいですね」 

 (了。前編から読む 

 【プロフィール】秋山直(あきやま・なお)/『ランジャタイのがんばれ地上波!』企画・演出。2015年テレビ朝日入社。『ミュージックステーション』、『くりぃむクイズ ミラクル9』でADを経て、現在は『マツコ&有吉 かりそめ天国』チーフディレクターを務める。 

 ◆取材・文 てれびのスキマ/1978年生まれ。ライター。戸部田誠の名義での著書に『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『タモリ学』(イーストプレス)、『芸能界誕生』(新潮新書)、『史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記1980-1989』(双葉社)など。 

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