2005年以来の優勝に期待がかかる(時事通信フォト)
第一次岡田阪神時代、投手コーチを務めた中西清起氏もこう語る。
「オリックス監督の解任後は野球評論家としてネット裏から選手を見て、『こうやれば勝てるのになあ』とつぶやいていた。野球への情熱を失わず、“次の機会”のことを考えていたのでしょう」
そして昨オフ、ついに好機が巡り、15年ぶりに阪神監督に返り咲いた。
ふた回りも大きくなった
岡田氏を阪神入団時から取材してきたデイリースポーツ元編集局長の平井隆司氏は、監督としての資質をこう見る。
「吉田元監督からはエラーやミスをした選手を翌日すぐ使う度量、仰木元監督からは調子のいい選手をどんどん使う積極性を学んだ。そして外様でありながら阪神をボロクソに言ったノムさんのことは反面教師にして、“阪神愛”を深めた。多くの名伯楽に出会えたからこそ今の彼があると思います」
阪神で岡田氏とともにプレーした経験を持つ江本孟紀氏はこう語る。
「10年に及ぶ評論家時代を経てグラウンドを俯瞰して見られるようになっているし、その時に感じたチームの弱点をしっかりと潰している。有言実行できるところが岡田の凄いところです」
現役引退後、指導者や評論家として歩んだ27年間は今年のためにあったのかもしれない。野崎氏が最後にこう語った。
「阪神、オリックスの監督時代に苦い経験をしたことが岡田を成長させた。大きな試練を2度も乗り越えて表舞台に戻ってきた彼は、ひと回りもふた回りも大きくなっていると思います」
阪神のために帰ってきた名将とともに18年ぶりの歓喜が迫る。
(了。前編から読む)
※週刊ポスト2023年9月15・22日号