発覚したいじめの数々
上級生からビンタされるA君
A君が洗濯物をベランダに干すためには、上級生の部屋を通らなければならなかった。A君の洗濯物が多いことを疑問に思った上級生数名がBに尋ね、A君とのトラブルを把握。すると、指導する立場だった2年生数名は、A君に対して、『(先生に)言われたくなかったら俺たちの雑用もやれ』と、脅すような口調で自分たちの雑用をA君に押し付けたのだった。上級生の部屋には剣道部の幹部生徒もいたが、それらの行為を黙認していたという。
それからA君は連日、深夜まで上級生へのマッサージや買い出しを強いられ、睡眠時間も削られていった。
「寮での雑用に時間を取られ、深夜には上級生や部の幹部生徒Fらのマッサージが待っていました。毎日買い出しにも行かされ、寝坊することも多くなっていました。稽古でも狙われ、2年生の別の幹部生徒Gの指示で稽古以外で真夏の公園を約1時、水分も摂れない状況で走り続けさせられました。その頃は稽古する余力もなくなり、事情を知らない顧問からは“さぼっている生徒”という烙印を押されていました。
そして寮母からも、上級生の買い出しで門限を破り、朝は寝坊をして食事当番をしない“問題児”というレッテルを張られていました」(前出・学校関係者)
A君は早々にBに2000円を返金したが、いじめは収束するどころか、エスカレートしていった。当時の心境をA君は次のように打ち明ける。
「誰かに相談しようと思いましたが、いじめをしていた上級生にレギュラーもいたので、先生や学校は大会のために上級生を守るに違いないと、信用することはできませんでした。先生に言うことで、上級生から報復を受けるんじゃないかと考え、親にも自分がやましいこと(盗み)をしていたので、怖くて打ち明けることはできませんでした」
顧問不在の寮内は、さらなる無法地帯化が進んでいく──。昨年9月、遠征先のホテルでCとDはA君に女子部屋の前でパンツ一枚で騒ぐように指示して動画で撮影。翌月には上半身裸のA君の写真を使用し、不特定多数の人がアクセスするメルカリに投稿。悪ふざけのレベルを超え、上級生ら複数の部員が日常的にA君に暴力を振るっていた。こうしたいじめ動画について前出の学校関係者が打ち明ける。