コラム

「SUUMO住みたい街ランキング 関西版」明石3位で人気揺るがず。充実した子育てサービス、恵まれた風土で支持集める

(写真撮影:井村幸治)

「SUUMO住みたい街ランキング 関西版」で、昨年から総合順位3位をキープし、高い支持を得ている自治体が兵庫県「明石市」だ。子育てサービスが充実していることは全国的にも有名だろう。瀬戸内海のおだやかな気候と、自然環境に恵まれた明石での生活に注目だ。

所得制限なし! 子育て支援施策が充実した明石市

兵庫県明石市は「住みたい自治体ランキング」で昨年に続き3位となるとともに、「住みたい街(駅)ランキング」でも明石駅(JR山陽本線)が過去最高の16位にランクイン。こうした人気を集める大きな要因が子育てに関する自治体サービスの充実だ。所得制限のない無償化施策だけでも①子ども医療費の無償化、②第2子以降の保育料の完全無料化③0歳児の見守り訪問「おむつ定期便」、④中学校の給食費無料化、⑤公共施設の入場料無料化の5つの政策が実施されている。他にも、市内の公立幼稚園での給食、高校生世帯への児童手当など、将来を担う子どもたちのための支援が豊富だ。さらに、保育士へ向けての「保育士定着支援金」を実施、採用後7年間で最大160万円の支援金を直接支給することで、毎月の家賃負担をサポートし、保育士が明石に定着するような補助を行っている。
その結果、明石市の人口は2023年地点で30万人を超えており、11年連続で増加している。子育て世代の転入が増えていることからも、施策の効果がうかがえる。
ただ、人気の背景は行政の施策だけではなく、明石市がそもそも持っていた魅力にも大きな要因があるように思える。次章で紹介していこう。

おだやかで過ごしやすい街、明石

兵庫県の南部に立地する明石は、おだやかな気候に恵まれている地域である。関西の人口5万人以上の都市部では降水量は最も少なく、日照時間も長い。さらに、県内で2番目に晴れの日が多く、年間降水量も1000ミリ程度だ。おおよその最高気温が33度から35度、最低気温がマイナス6度から4度で、年間の平均気温は14度から15度、と、一年を通して快適に住むことが可能な気候だ。地形的には平坦な場所が多く、古くから疏水やため池を利用した治水事業も行われている。
また、瀬戸内海の自然環境にも恵まれている。林崎・松江海水浴場、藤江海岸海水浴場、江井ヶ島漁港や住吉公園といったスポットが海岸沿いにならび、子どもたちと一緒に海水浴や水遊びを楽しめる。明石海峡大橋や淡路島を望む景色は何時間でも眺めていられそうだ。
これほど綺麗な海岸に、徒歩や自転車でも遊びにいくことができる街は関西でも少ない。釣りやキャンプ、マリンスポーツを家族で楽しめる街であることも人気の秘密なのだと思う。

一方で、瀬戸内海を使った交通の要衝として万葉集の時代からの歴史を持ち、江戸期以降は明石城を中心に城下町として栄えた明石には寺社仏閣や古墳も点在している。日本酒造りの蔵元も多く、見学や直売を楽しむことができる。JR明石駅前の魚の棚商店街(うおんたな)には地魚を安く提供してくれる飲食店もたくさん並んでいる。大人も楽しめる街でもある。

住んでみてわかる居心地の良さ

明石市は、住んでみることではじめてわかる魅力も多い街だ。JR東海道線と山陽電鉄本線が並行して東西を結び大阪や神戸へのアクセスも良好、JR明石駅から三ノ宮駅までは新快速で約15分、大阪までは新快速で37分だ。西明石駅から山陽新幹線を利用すればビジネスや旅行にも便利だ。
日本の桜100選の明石公園や、大型遊具のある石ケ谷公園など大小合わせて400カ所の以上の公園があり、ふらりと遊ぶことのできる公園が身近にあるのも魅力のひとつ。近年ではため池の跡地を再利用し、「みんなにやさしい」をコンセプトにした「17号池魚住みんな公園」が令和5年4月29日にオープン。子どもから高齢者までのびのび体を動かせる運動公園で、たくさんの親子連れで賑わっている。
明石市では今後、防災拠点ともなる市役所新庁舎の建設や市民病院の再整備、道路整備などのインフラ再構築も検討されている。まだまだ伸びしろのある街といえそうだ。

子育て施策の充実で知られている明石は、恵まれた風土と地理的要因で、古代から連綿と人々の暮らしが営まれてきた街でもある。瀬戸内海の美しい自然に身近に触れあえる暮らしと、快適な生活利便性も得られることもその人気の背景にある。もともとのポテンシャルを考えると、今後も人気を集めることは間違いなさそうだ。

(井村幸治)

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