コンシェルジュカウンター。屋内は暖色系の照明で目に優しく、リラックス効果のあるアロマの香りがただよう(写真提供:ウイーザス九段)
こうした考え方を取り入れた高齢者施設のひとつが、2023年2月にオープンした介護付有料老人ホーム「ウイーザス九段」。開設間もない頃からウェルビーイングの重要性に着目し、実践に取り組んできた。
「私たちはご入居者のウェルビーイングの実現と向上を目指し、そのアプローチの一つとして『開かれた、自由なホーム』をコンセプトにしましたとしています。コロナ禍の影響でいまだ面会を規制するホームの多いなか、“24時間、365日面会自由”体制を続けています。現在、18名がご入居(2024年5月時点)されており、1日に平均10組以上のご家族が面会に来られます。ご入居者のご家族が半数以上、それも毎日訪れるというのは、全国的に見ても稀なことだと自負しています」(株式会社ウイーザス統括本部・三浦利之本部長)
それほど多い家族の面会と交流を支えるのは背景にあるのは、「開かれた、自由なホーム」というコンセプトと、東京メトロ東西線・半蔵門線、都営新宿線「九段下駅」から徒歩3分という交通の利便性のよい立地だ。
「お仕事の忙しいご家族が多いので、アクセスのよい場所で、24時間、365日面会できるという特徴は、当ホームを選んでいただく大きな理由の一つとなっています。のは大きなメリットになります。頻繁に来訪していただくことで、ご家族と私たちスタッフとの距離も縮まり、ご入居者はもちろんご家族のご要望も汲み取ることができるため、ニーズに合わせてより品質の高いサービスのご提供が可能になると考えています」(同社経営企画室長・山本奈生氏三浦氏)
面会はもちろんのこと、入居者が何より楽しみにするのは、散歩や外出といったアクティビティだ。入居者同士のグループで出かける交流イベントを多数企画している点を前出の古賀氏も高く評価する。
「認知症には、人とのコミュニケーションの基本である“おしゃべり”が有効といわれています。イベントなどで外に出て友人を作ることは、社会的なつながりを得ることにもなります。たわいもない話に花を咲かせ、目でモノを見て、実際の香りを嗅ぐなど、五感を駆使する場面が日常に織り込まれることで、幸福感がより一層増すでしょう」(古賀氏)