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【夏の高校野球プレイバック】2012年、大谷翔平「最後の夏」に終止符を打った盛岡大付属監督が語る“疑惑の3ラン”と“1週間の大谷君対策”

岩手大会で散った最後の夏、試合後に涙を拭う大谷翔平

岩手大会で散った最後の夏、試合後に涙を拭う大谷翔平

 夏の甲子園大会は8月7日に開幕するが、その舞台に立つためには地方予選を勝ち抜かなければならない。“超高校級”と言われながら、そこで涙を呑んだ選手も少なくない。現在、メジャーリーグで活躍する大谷翔平もそのひとり。大谷の最後の夏、花巻東(岩手)は岩手大会決勝で敗れた。その時の対戦相手となった盛岡大附属の関口清治監督に話を聞いた。

 * * *
 ドラマは地方大会にもあった。現ドジャースの大谷翔平(岩手・花巻東)の最後の夏。岩手大会決勝で、盛岡大附属の4番・二橋大地にレフトポール際に飛び込む3点本塁打を浴び、3対5で敗れた試合も印象深い。試合中からその本塁打がファウルだったのではないかという疑念が球場を包み、大論争となったからだ。盛岡大附の関口清治監督が振り返る。

「どちらにもとれる際どい当たりでしたね。大会後には苦情の電話やファックスが相次ぎました。『自らファウルと言い出せないお前は教育者じゃない。監督を辞めろ』というのもありました」

 県内では強豪に位置づけられていた盛岡大附だが、春夏の甲子園では9大会連続で初戦敗退。全国で結果を残せずにいた。

「菊池雄星君がブレイクして大谷君まで甲子園で活躍したら、花巻東の一強時代になるのではないか。負けるわけにはいかないと思っていました」

 同年の岩手大会はプロ野球のオールスターゲームが開催されたため、準決勝から決勝まで1週間が空いた。この1週間が命運を分かつことになる。

「大谷君対策として155キロぐらいの速球を想定して1年間打ち込んできましたが、準決勝で160キロを出したものだから、急遽、マシンの球速をアップさせて対策しました。連打は期待できず、単打では点が入らない。長打狙いで臨んだところ、二橋がやってくれました」

 あの日、大谷と対峙した盛岡大附の選手で、今も現役を続けているのは三菱重工Westに所属する二橋だけだ。大谷との対戦が、野球人生の糧となっているはずだ。

取材・文/柳川悠二

※週刊ポスト2024年8月9日号

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