現行犯逮捕された戸田容疑者と、血痕が残っていた犯行直後の現場(時事通信社/読者提供)
「小学生の頃、テストの点数が悪いと親から叱責された」──43歳になった男が凶悪事件の動機として話したのは、幼少期の記憶だった。
東京メトロ南北線「東大前駅」で5月7日夜に起きた切りつけ事件。殺人未遂の現行犯で逮捕された戸田佳孝容疑者(43)は、当初の取り調べに黙秘していたものの、容疑を認め、取り調べに応じているという。
「『経済的に困窮していた』とも供述していますが、自暴自棄になっていたのでしょう。東大前駅で犯行に及んだ理由は『教育熱心な親のせいで不登校になり苦労した。東大を目指す教育熱心な世間の親たちに度が過ぎると子どもがグレて私のように罪を犯すということを示したかった』と話しており、容疑者には教育虐待による“被害者意識”があるようです」(大手紙社会部記者)
戸田容疑者は長野県で一人暮らしをしていたが、実家があるのは名古屋市だ。容疑者の生育環境を明らかにするため、NEWSポストセブン取材班は容疑者の地元で取材を重ねた。戸田容疑者が学生時代を過ごした住宅街の近隣住民はこう話す。
「この地区には教育熱心な家庭が多くてね。ご主人が大学教授だったり、一流企業の会社員という家庭はたくさんあります」
容疑者が高校を卒業する頃、実家はこの“エリート住宅街”からより大きな3階建ての戸建てに引っ越したようだ。その時期と前後して、容疑者は実家から離れて名古屋の繁華街近くにある4階建てのアパートに居を移したとみられる。
このアパートの所有者は容疑者の祖父で、現在は母親が相続している。戸田容疑者の家族は、金銭面で困窮しているようには見えなかった。近くの物件を所有している人物が語る。