国内

「国産戦車は世界最新鋭」陸上自衛隊の戦車不要論を専門家一蹴

 軍備拡張を続ける中国に対し、我が国の自衛隊の「実力」はどうか。軍事ジャーナリストの井上和彦氏が、実は世界最高レベルにある自衛隊「最新装備」を紹介する。

************************

 国土防衛の最後の砦が陸上自衛隊である。
 
 2010年制式化された世界最新鋭の国産戦車「10式戦車」。世界にはこれに匹敵する第4世代の戦車は存在しない。これまでの90式戦車より軽量で安価、それでいて打撃・防御力に優れている。ハイテク電子機器を満載した10式戦車の射撃の命中精度はすこぶる高い。また、味方戦車との情報共有と高度な指揮統制を実現するC4I機能を備えており、連携が容易になっている。
 
 一部で戦車不要論が持ち上がっているが、戦車戦闘だけでなく対ゲリラ戦闘にも使える戦車は現代戦には不可欠の存在である。
 
 侵攻してくる敵戦車および装甲車両を破壊するのに有効なのが、「96式多目的誘導弾システム」だ。これは、世界で初めて光ファイバーTVM赤外線画像誘導装置を採用しており、発射後もミサイルに繋がっている光ファイバーを通じて、ミサイル先端のカメラが捉えた映像やデータを射手に送り続ける。
 
 これまでの誘導弾は発射後に搭載された赤外線シーカーで熱源を探して、自動的に目標めがけて飛翔する方式や、レーザーで目標を探知する方式などが主であった。
 
 前者は、戦車などが、熱源を隠す偽装網をかけたり、他にニセの熱源を作り出してミサイルの目を欺く「チャフ」の発射によって攻撃をかわすことができる。後者もまた、レーザー照射による探知をはぐらかすためにニセの目標物を空中に作り出すチャフなどによって回避できる。そこで、この新システムは通信速度が格段に速い光ファイバーによる有線誘導方式を採用し、射手は画像を確認しながら飛翔するミサイルを誘導するので敵は逃れることが非常に難しくなっている。これは抑止力の面だけでなく、生産数や備蓄弾数が旧来の野砲に比べて少なくてすむというメリットもある。

※SAPIO2010年12月15日号


関連キーワード

関連記事

トピックス

米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
埼玉では歩かずに立ち止まることを義務づける条例まで施行されたエスカレーター…トラブルが起きやすい事情とは(時事通信フォト)
万博で再燃の「エスカレーター片側空け」問題から何を学ぶか
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
事業仕分けで蓮舫行政刷新担当大臣(当時)と親しげに会話する玉木氏(2010年10月撮影:小川裕夫)
《キョロ充からリア充へ?》玉木雄一郎代表、国民民主党躍進の背景に「なぜか目立つところにいる天性の才能」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
米利休氏とじいちゃん(米利休氏が立ち上げたブランド「利休宝園」サイトより)
「続ければ続けるほど赤字」とわかっていても“1998年生まれ東大卒”が“じいちゃんの赤字米農家”を継いだワケ《深刻な後継者不足問題》
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン