国内

大東亜戦争敗戦後、たった一人で占領軍と対峙した昭和天皇

 昭和天皇は実は畏るべき交渉者だった。漫画家の小林よしのり氏が解説する。

* * *
 大東亜戦争の敗戦、敵国による占領という、日本史上例のない屈辱に全国民が打ちひしがれ、絶対的な権力を持つ占領軍の前に政治家も誰ひとり対抗する術がなく、「ネゴシエーション」など考えようもなかったはずの状況下で、たった一人で占領軍と対峙したのが昭和天皇である。

 国民の生命を守るために、負う必要のない責任を全て引き受け、自らの命をさし出そうとした、覚悟と無私の精神。「人間宣言」をせよというGHQの命令に従ったかのように見せて、実は換骨奪胎して国民に「日本の誇り」を説いていたしたたかさ。

 極端に選択肢が限られた中で、沖縄を守るために採りうる唯一の方法を見出し、米国側の事情も見抜いた上で、「主権を日本に残したまま」「租借方式という擬制」というメッセージを絶妙のタイミングで提示したリアルな政治センス。

 そして、強大な権力を一旦は「あ、そう」と受け容れ、時が来たら断固として跳ね返してしまう、歴史に裏打ちされた叡智。どれをとっても「畏るべき」と言う他ない。

 日本の国民、国体、そして沖縄が守られたのは、まさに昭和天皇御一人による奇蹟と言っていい。だがそれだけの政治・外交の手腕を発揮されながら、被占領という非常事態が終わると二度と政治に関わらず、何事もなかったかのように「象徴」の地位に戻られた。

 そのため、日本国民の多くがその業績に気づかぬままにいるほどだ。だが、この大恩が忘れられたままでいいわけがない。そんな思いを込めてわしは『昭和天皇論』(幻冬舎刊)を描いたのである。

※SAPIO2011年1月6日号


トピックス

岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン