小林よしのり一覧

【小林よしのり】に関するニュースを集めたページです。

漫画家・倉田真由美、国際政治学者・三浦瑠麗、漫画家・小林よしのり
皇室の未来を語る 小林よしのり氏「愛子さまが皇太子になればブームになる」
 眞子さんの結婚は、皇族数の減少、皇室の在り方など、さまざまな課題を残した。2022年は、否応なく皇室の未来についての決断を迫られる年となるだろう。この問題について小林よしのり(漫画家)、倉田真由美(漫画家)、三浦瑠麗(国際政治学者)の3氏が座談会を行った。【全3回の第3回】小林:おそらく佳子さまは結婚して皇籍を離脱するだろうけど、愛子さまは違うと思うんです。倉田:なぜですか?小林:誕生日の会見でも、人の役に立てる大人になりたいとおっしゃっているし、育てられ方が違う。三浦:秋篠宮家では女性皇族は結婚したら皇室を出るという前提で、子さんも佳子さまも結婚して民間人になっても困らないような教育を受けてきたわけですよね。お二人とも大学は学習院ではなく、ICU(国際基督教大学)を選んでいる。けれど愛子さまは違うと。倉田:確かに、愛子さまはもしかしたら女性天皇になるかもしれないから、そういう教育を受けてきた可能性はありますよね。小林:今の上皇さまは、次の天皇は愛子さまだというお考えだと、近い筋から聞いています。倉田:じゃあ、悠仁さまはどうするんですか。三浦:そうですよ。悠仁さまは眞子さん、佳子さまと同じ家庭で育ったとはいえ、将来、天皇になるから、全然違う教育をされているわけですよね。小林:いや、それは建前で、上皇、天皇と秋篠宮の三者会談においては、秋篠宮さまが即位を辞退した上で、次は愛子さまというお考えでまとまっているはずです。倉田:それは、あくまで小林さんの見立てでしょう。三浦:そもそも、皇族の人たちは自分たちで皇室典範を変えられないじゃないですか。小林:だから、そこを変えてほしいから、首相が替わるたびに宮内庁が要求して、そのたびに有識者会議を開いている。倉田:だけど、女性天皇のリアリティって、私はあまり感じないんだけど。小林:そんなことない。すでに愛子さま皇太子論、天皇論が湧き上がっていますよ。三浦:それは秋篠宮家への批判の裏返しという側面もありますよね。 そうした感情的な話とは切り離して、愛子さまが天皇に即位してもいいとする議論はあると思います。ただ、この論で私が唯一懸念するのは、あとから皇位継承順位を変えるのは、今まで将来の天皇を見据えて教育を受けてきた人の人生を歪めてしまわないかということです。悠仁さまが生まれる前に決めておくべきだった。小林:それはそうだけど、すでにそういう前提で教育をしているんです。倉田:確かに、愛子さまの場合は、弟が生まれる可能性があるわけですからね。でも、悠仁さまではなく、愛子さまが天皇になる可能性は、現状では薄くないですか。小林:ちょっと前の調査だけど、2020年4月25日に共同通信が発表した世論調査の結果では、女性天皇に賛成する人は85%で、女系天皇も79%が認めると答えている。男系維持にこだわる人は少数派なの。三浦:男系と女系の違いって、ここ何十年かで出てきた人工的な概念だと思うんですね。昔は皇室やその周辺には天皇の親戚ばかりで、みんなどこかで男系とつながっていたから、たまたま維持されてきただけで、そういうルールがあったわけではないと思いますが。小林:その通り。後付けで権威付けられているだけで、愛子さまが皇太子になったら、万歳三唱で愛子ブームになるよ。悠仁さまにつなぐと男系が続くから、奥さんになる人は大変だよ。三浦:絶対に男の子を産まなきゃいけないという圧を受け、雅子皇后と同じ目に遭うわけですから、しんどいですね。小林:それで女の子が生まれたら、みんながっかりするんだよ。そんな社会でいいのか? しかも天皇家の存続は悠仁さま一人にかかっていて、存続の危機がこの先もずっと続くんだよ。三浦:人の価値観というのは時代で変わります。次の天皇が即位するのは何十年か先ですから、今はまず女性宮家を作って、何十年後かの我々の価値観に期待するというのがいいように思います。(第1回、第2回はこちら)【プロフィール】小林よしのり(こばやし・よしのり)/1953年生まれ、福岡県出身。漫画家。近著に『ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論4』(扶桑社)、井上正康氏との共著『コロナとワクチンの全貌』(小学館新書)。倉田真由美(くらた・まゆみ)/1971年生まれ、福岡県出身。漫画家。一橋大学商学部卒。『だめんず・うぉ~か~』(扶桑社)でブレイク。他の著書に『もんぺ町ヨメトメうぉ~ず」(小学館)など。三浦瑠麗(みうら・るり)/1980年生まれ、神奈川県出身。国際政治学者。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。株式会社山猫総合研究所代表。近著に『日本の分断』(文春新書)。※週刊ポスト2022年1月14・21日号
2022.01.08 07:00
週刊ポスト
三浦瑠麗氏 近くなりすぎた国民と天皇家の距離、少し戻してはどうか
三浦瑠麗氏 近くなりすぎた国民と天皇家の距離、少し戻してはどうか
 眞子さんの結婚は、皇族数の減少、皇室の在り方など、さまざまな課題を残した。2022年は、否応なく皇室の未来についての決断を迫られる年となるだろう。この問題について小林よしのり(漫画家)、倉田真由美(漫画家)、三浦瑠麗(国際政治学者)の3氏が座談会を行った。【全3回の第2回】小林:結婚するには国民の理解が必要となったら、佳子さまや愛子さまはどうやって結婚相手を見つけるの?倉田:何かしら人間には瑕疵がありますからね。小室さんへの批判が是認されると、普通の男性は二の足を踏みますよ。三浦:つき合った瞬間から、家族、親族のプライバシーはなくなりますからね。だから、皇族の方々も、反論や抗議が許される風潮を作らないと。倉田:いや、それはちょっと危険な気がします。反論しないから守られている部分もあって、対決姿勢を取るとさらにエスカレートしかねない。天皇制そのものの存在が危うくなると思う。小林:もう十分、危うくなっていますよ。三浦:こういうことが続くと、皇族の方々のほうが耐えられなくなる。眞子さんは、あの結婚会見ですら、相当抑制していたと思うんですよ。小林:秋篠宮さまは、反論する権利を、一定程度認めるべきと言っているけど、ある記事の一部分の間違いを指摘すると、他はすべて事実なのかとなりかねないのが難しいとも言っている。倉田:デマや誹謗中傷が山のように出ていて、それを全部指摘していくのは無理ですよ。三浦:昔の天皇家は、表向きの権威主義体制のトップとしての顔とともに、内々の世界を持っていました。昭和天皇が戦争に加担してしまったことを拭い去るために、今の上皇さまは平成の御代に公務に積極的に取り組んで、国民の天皇になろうとしました。だから、国民と天皇家との距離が近くなりすぎてバッシングさえ起きた。距離感を少し戻したらどうでしょう。倉田:公務を減らす?三浦:そう。徹底的に反論するか、あるいは公務を減らして、注目を浴びないようにするか、どちらかしかないように思うんですけどね。小林:だけど、公務がないと皇室の人たちもモチベーションがもたないんですよ。やりがいがなくなってしまう。三浦:上皇さまは公務にやりがいを求めた人でしたね。だけど、次の天皇、あるいはその次の天皇が何にモチベーションを求めるかはわかりませんよ。倉田:この問題は難しい。答えが出ない。(第3回に続く。第1回はこちら)【プロフィール】小林よしのり(こばやし・よしのり)/1953年生まれ、福岡県出身。漫画家。近著に『ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論4』(扶桑社)、井上正康氏との共著『コロナとワクチンの全貌』(小学館新書)。倉田真由美(くらた・まゆみ)/1971年生まれ、福岡県出身。漫画家。一橋大学商学部卒。『だめんず・うぉ~か~』(扶桑社)でブレイク。他の著書に『もんぺ町ヨメトメうぉ~ず」(小学館)など。三浦瑠麗(みうら・るり)/1980年生まれ、神奈川県出身。国際政治学者。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。株式会社山猫総合研究所代表。近著に『日本の分断』(文春新書)。※週刊ポスト2022年1月14・21日号
2022.01.07 07:00
週刊ポスト
漫画家・倉田真由美、国際政治学者・三浦瑠麗、漫画家・小林よしのり
小林よしのり氏 皇族は「やっていただいている」と考えなければ続かない
 眞子さんの結婚は、皇族数の減少、皇室の在り方など、さまざまな課題を残した。2022年は、否応なく皇室の未来についての決断を迫られる年となるだろう。この問題について小林よしのり(漫画家)、倉田真由美(漫画家)、三浦瑠麗(国際政治学者)の3氏が座談会を行った。【全3回の第1回】倉田:愛子さまが成人されたと聞いてびっくりしました。時が経つのは早いですね。小林:そうしたこともあり、皇位継承の有識者会議が12月6日に最終報告書の骨子を出したんです。「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」と「旧皇族の男系男子を養子に迎える案」という2つの最終案が出てきた。三浦:女性皇族が皇室に残るというのは、女性宮家を創設するということとは違うんですね?小林:全然違う。女性宮家は、女性皇族が結婚しても皇族として残り、夫も子供も皇族となる方式だけど、この案は、たとえば佳子さまが結婚したら、佳子さまは皇族のまま公務を続けるけど、夫や子供は一般国民。倉田:えっ、そんなことできるんですか?小林:できるわけない。一般国民である夫や子供には、基本的人権として職業選択や信教、移動などの自由がある。海外旅行も行けるし、引っ越しもできる。一方で皇族である妻にはそういった自由がない。一家族のなかに皇族が一人いるというのはありえないんですよ。三浦:『源氏物語』では、源氏の君は皇室からはずれて源の姓を賜ったけど、天皇の三女である女三宮を正妻に娶った際に、一段上の待遇をしなければいけなくて非常に苦労しています。当時は身分制社会。妻が皇族のままなら、似たような状況です。倉田:なぜこんな案が出てきたんですか?小林:そりゃ皇族が減ると、公務に支障が出るからでしょう。倉田:目先の問題しか見ていないんですね。小林:もう一つの「旧宮家の男系男子」という案はもっとありえない。70年以上も前に皇籍離脱した旧宮家の男子が突然出てきて、「この人が新しい皇族です」で、国民が納得すると思う? だから、わしは前からずっと、女性宮家を創設しろと言ってきたのよ。子さんが結婚する前に皇室典範を変えなければいけなかったんです。三浦:ただ、『文藝春秋』(2021年12月号)に載った「秋篠宮家『秘録』この三年間に何が起きていたか」では、眞子さんも佳子さまも皇室としての不自由さに苦しんでいて、自由を得るためには結婚しかないと思い定めていたと書かれていました。お二人にかなり近い筋の情報で、信憑性は高いと聞いています。倉田:これだけマスコミやネットで個人的な情報をさらされると相当しんどいはず。お二人とも、結婚して皇室を出るのが夢だったんでしょう。三浦:これまで私は女性宮家を創設すべきと主張してきましたが、彼女たちの意志が見えたら、言いづらくなってきました。小林:だから、女性宮家の創設は、女性皇族の皆さんが皇族として生きていくことに納得して、皇室に残ってくれるとありがたいなという気持ちがないとダメなんです。わしは眞子さんに皇室から出たいという気持ちがあるのがわかったから、一貫して眞子さんを擁護してきたんですよ。倉田:小林さんとしては、皇族の方たちの自由意志を尊重するという立場なんですね。小林:そう。ずっとわしは、皇族というのは、“やっていただいている”という考え方でなければ続かないと言ってきたの。本人が嫌だと言ったら、もうおしまい。それをみんなわかっていなくて、酷いバッシングをしてきたんだよ。三浦:今のキャンセルカルチャーが醜悪なのは、法を犯しているわけでもないのに、“気に入らない”という“お気持ち”だけでバッシングすること。少なくとも小室さん本人の責任ではない男女間のお金の貸し借りについて、一般人の小室さんをメディアは叩き続けてきました。(第2回に続く)【プロフィール】小林よしのり(こばやし・よしのり)/1953年生まれ、福岡県出身。漫画家。近著に『ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論4』(扶桑社)、井上正康氏との共著『コロナとワクチンの全貌』(小学館新書)。倉田真由美(くらた・まゆみ)/1971年生まれ、福岡県出身。漫画家。一橋大学商学部卒。『だめんず・うぉ~か~』(扶桑社)でブレイク。他の著書に『もんぺ町ヨメトメうぉ~ず」(小学館)など。三浦瑠麗(みうら・るり)/1980年生まれ、神奈川県出身。国際政治学者。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。株式会社山猫総合研究所代表。近著に『日本の分断』(文春新書)。※週刊ポスト2022年1月14・21日号
2022.01.06 16:00
週刊ポスト
ウイルスも変異を繰り返し生き残ろうとする(国立感染症研究所提供。時事通信フォト)
人間はウイルスに感染することで進化した 遺伝子に残る痕跡
 人や動物はなぜウイルスに感染するのか。ウイルスは人の命を無慈悲に奪う存在ではあるが、生物の進化とも深い関わりがある。 小林よしのり氏(漫画家)と井上正康氏(大阪市立大学名誉教授・医学者)の対談本『コロナとワクチンの全貌』(小学館新書)より、自然界にウイルスが存在する理由を語った部分を抜粋して掲載する。 * * *小林:みんなね、「ウイルスとは病気を引き起こす恐ろしいもの」としか捉えていないんですよね。わしは新型コロナウイルスが入ってきて、大騒ぎになったときに、自分で統計データを調べたり、「この人なら」と思える人に話を聞いたりしてきたんですが、「そもそもウイルスとは何か」ということも勉強してみたんですね。 そしたら、我々人間の遺伝子には、ウイルス由来の遺伝子が組み込まれていると知って、 衝撃を受けたんです。遺伝子というのは親から子へ、垂直に伝わるものだと思っていたら、 横からウイルスによって水平に入ってくることもあるんだと。井上:遺伝子の進化には垂直と水平の経路があるわけですね。小林:遺伝子が横から入り込んでくることにビックリした。井上:親から子への垂直が99.9%以上でメインストリームですが、ごく稀に横から入ってくるんですね。小林:ウイルスの遺伝子を組み込むことで、生物は進化してきた。受精卵の段階でさまざまなウイルスが組み込まれ、ほとんどが死んだんでしょうが、その中から生き残り、さらに生存に有利な機能を持ったものだけが生き残ってきた。 たとえば、ほ乳類が持つ胎盤は、大昔にレトロウイルスが遺伝子に組み込まれて生まれたもので、母親の免疫機能が胎児を異物として攻撃するのから守っている。井上:そうですね。ウイルスのおかげで、恐竜からほ乳類に進化できた。小林:ネズミ程度の大きさだった最初のほ乳類が胎盤を持つことで、体の中で子供を保護して移動できるようになり、地球上で勢力を拡大でき、そこからさらにさまざまに進化できたということですよね。 勉強して初めて、ウイルスとは何か、なぜ動物はウイルスに感染するのかが、ようやくわかった。ウイルスに感染するのは、進化のために必要だからですね。井上:現実に、新型コロナウイルスのRNA(リボ核酸)が人の細胞のゲノム(DNAの遺伝情報)に組み込まれているとする論文が、今年の4月にPNAS(米国科学アカデミー紀要)に出ています。 回復したコロナ患者が、その後も長期にわたって検査で陽性になったり、いったん陰性なったのにしばらくしたらまた陽性になったりするという現象が起きていて、それは再感染しているのではなく、コロナウイルスのRNAが逆転写されて、人の細胞のDNAに組み込まれ、ウイルスを産生しているのではないかという仮説を検証したものです。これは非常に物議を醸した論文で、まだ結論は出ていませんが、非常に興味深いです。小林:へー、コロナでもそんなことが起きている可能性があると。わし、こういうこと、学校で教えたほうがいいと思うんですけどね。井上:大学の医学部では習いますけどね。RNAが先で、そこからDNAができたと。RNAは不安定だから、どんどん進化(変異)していく。そのスピードが極めて速いわけです。コロナの変異が速いのも一緒です。小林:うんうん。高校の理科で、DNAがらせん状になっているとか習った記憶がありますが、ウイルスの遺伝子が入ってきて、それで進化してきたなんて習いませんよね。なんでそこまで教えてくれなかったんだって、思いましたよ。*『コロナとワクチンの全貌』(小学館新書)を一部抜粋【プロフィール】小林よしのり(こばやし・よしのり)/1953年福岡県生まれ。漫画家。『東大一直線』でデビュー。『おぼっちゃまくん』でギャグ漫画に旋風を巻き起こす。1992年スタートの「ゴーマニズム宣言」は新しい社会派漫画、思想漫画として話題に。近著に、『コロナ論』など。井上正康(いのうえ・まさやす)/1945年広島県生まれ。1974年岡山大学大学院 修了(病理学、医学博士)。1992年大阪市立大学医学部教授(分子病態学)。2011年大阪市立大学名誉教授。宮城大学副学長等を歴任。現在、健康科学研究所所長、現代適塾塾長。
2021.10.06 16:00
NEWSポストセブン
いつになれば、マスクははずせるのか(EPA=時事)
なぜワクチンを接種してもマスクをつけ続けなければならないのか
 ワクチンを接種したら、もうマスクはいらないし、宴会も解禁に向かうと思っていた人は少なくない。なぜ今もマスクをして自粛し続けなければならないのか。 小林よしのり氏(漫画家)と井上正康氏(大阪市立大学名誉教授・医学者)の対談本『コロナとワクチンの全貌』(小学館新書)より、日本人の根深い問題について論じた部分を抜粋・再構成して掲載する。 * * *小林:なぜ世間一般でマスクの評価が変わったかというと、欧米の人たちは流行初期の頃、全然マスクをしていなくて、日本人は几帳面に、マスクや手洗い、うがいをしていて、欧米と日本で被害が桁違いだということがわかってきたら、「マスクのおかげだ」と思い込んだからですよね。だけど、欧米人がマスクをし始めても、全然減らなかったじゃないですか。日本並みにまで下がったかといったら、全然そんなことない。 日本人にしても、ウレタンマスクという、何もかも素通しの“なんちゃってマスク”をしている人がけっこういて、こういう人たちはマスクをしていないも同然なんですよ。マスクをしているように見えるだけで、していないも同然。そういうのはOKなのに、マスクせずに店に入ろうとしたら、やいのやいの言われる。なんなんだよ、それ。井上:科学的に効果があるかないかではなく、日本人が気にするのは“人の目”ですからね。小林:しかも、ワクチンを打ったら、もうマスクしなくていい、みんなマスクをはずすにはワクチン打つしかないって言っていたのに、いざワクチン接種が始まったら、「ワクチン打ってもマスクははずすな」と言い出す始末ですよ。井上:いや、本当に今回のコロナ騒動は根深いですね。これはね、日本人の遺伝子ですよ。ずっと変わらない日本人の遺伝子。小林:遺伝子ですか。それはちょっとがっかり。井上:日本人は失敗しないことを目標にする人生なんです。成功を目指さない。だから、人目を気にして右にならえをする。小林:なるほどね。アメリカなんて1日数万人単位で新規感染者が出ているのに、「コロナを克服した」「マスクもはずしていい」って言って、大谷翔平が出たオールスターの試合でも観客を5万人くらい入れて、ワーワーやっていたわけですからね。 この本が出るのは9月末で、今の段階では想像がつかないけど、ワクチン接種がそれなりに進んでも、日本人はみんなまだマスクをつけてそうな気がする。井上:そもそもマスクは、発症して咳とくしゃみがある人だけすればいいんですよ。小林:それが普通ですもんね。風邪ひいたらマスクぐらいしなさいよって話。エチケットとして。熱が出ているやつは家から出てくるなよっていう、ただそれだけのこと。井上:昔は「熱ごときで休むとは何事だ」と言われて、それが僕らの時代だったんです。今は「熱があるのに来るとは何事か」と。むしろ非常に働きやすくなった。それでいいんですよ。小林:コロナ時代のニューノーマルなんてクソ食らえですよ。元気なら電車に乗って会社に行けよ(笑)。仕事が終わったら飲み屋でウサを晴らせよ。井上:常識を取り戻そうと。小林:そうそう。常識ですよ。*『コロナとワクチンの全貌』(小学館新書)を一部抜粋、再構成【プロフィール】小林よしのり(こばやし・よしのり)/1953年福岡県生まれ。漫画家。『東大一直線』でデビュー。『おぼっちゃまくん』でギャグ漫画に旋風を巻き起こす。1992年スタートの「ゴーマニズム宣言」は新しい社会派漫画、思想漫画として話題に。近著に、『コロナ論』など。井上正康(いのうえ・まさやす)/1945年広島県生まれ。1974年岡山大学大学院 修了(病理学、医学博士)。1992年大阪市立大学医学部教授(分子病態学)。2011年大阪市立大学名誉教授。宮城大学副学長等を歴任。現在、健康科学研究所所長、現代適塾塾長。
2021.10.03 07:00
NEWSポストセブン
並んで会見する日本医師会会長(右)と東京都医師会会長(時事通信フォト)
理不尽なコロナ対策 医療崩壊の危機を招いたのは医師会の自己保身だ
 日本は欧米諸国と比較して、コロナの感染者、死者は桁違いに少なく、かつ、人口当たりの病床数は世界一多い。それなのに、コロナの波が来るたびに、医療崩壊の危機が叫ばれる。なぜこんなことが起きるのか。 小林よしのり氏(漫画家)と井上正康氏(大阪市立大学名誉教授・医学者)の対談本『コロナとワクチンの全貌』(小学館新書)より、医師会の問題について語った部分を抜粋・再構成して掲載する。 * * *小林:いいかげん国民も、なぜ医療崩壊が起きるのか気づき始めていますよね。みんな医師会を学術団体か何かだと思っているけど、日本の病院・医院の8割は民間経営で、医師会は主に民間の病院経営者や開業医などで組織された政治団体、圧力団体ですからね。コロナ対応している病院のほとんどは公立病院や大学病院などで、医師会に登録している医師のほとんどがコロナ対応なんてしていない。医師会はコロナ対応すると経営を圧迫されるから、国民に向かって「医療崩壊するから、自粛しろ」と言い続けている。井上:ほかの職業でそんなことを言ったら袋だたきに遭いますね。コロナで重症化してもICUに入れてもらえないとか、一般患者さんがオペを受けられなくなるとか、そういう恐怖を人質に取った発言で犯罪的ですね。小林:そうですよ。消防士が、「火事が起こると面倒だから火を使うな」と言っているのと一緒です。井上:医療のあり方からするとおかしなことで、何様だと思っているんですかね。小林:「緊急事態宣言を早く出せ」とか、「外出するな、会食するな」とか、さんざん言ってきたくせに、自分たちは100人規模の政治資金パーティを開いていましたね。日本医師会が政治資金パーティを開いて、中川俊男会長も参加していたのを今年5月に「週刊文春」がスッパ抜いていたけど、あれが圧力団体たる医師会の本業なんですよ。日本医師会が支援している自見英子という参院議員の政治資金集めをやっていたんです。 医師会は民間病院・医院の利益を守るために、政治に影響力を及ぼそうとする団体で、それが本業だから、政治資金集めをやめるわけにはいかないんだよね。 中川会長は、高級寿司店で女性とシャンパンを飲みながら寿司を食べていたのも「週刊新潮」にバラされていた。 別にパーティやっても、女とメシ食っても、わしもやっているからいいんだけど(笑)、 あいつらに自粛しろと言われ続けた一般の人たちは、そりゃ怒るよな。井上:新型コロナが怖くない事実を知っている為でしょうね。その為に言っている事とやっている事が矛盾するのでしょうね。小林:なんであんな連中の記者会見をマスコミはダラダラ垂れ流すのか。井上:それは恐怖を煽ってくれるからでしょうね。煽って視聴率を稼いでくれるなら、何でもいい。メディアというものがいかに恐ろしいか。戦争の引き金を引くのはいつもメディアなんですよね。小林:そうそうそう。井上:非科学的な医師会の意向を無視し、季節性インフルエンザと同じ5類にすればコロナ騒動は解決します。全体の2割の病院しかコロナ患者の入院対応をしていないので医療崩壊が起きるわけです。医師会の人たちにとっても、その方がいいと思います。今までインフルエンザ患者を診てきたのと同じように対応すればいいだけで、平常化したほうが現状よりはるかにマシだと思います。小林:しかし、医師会が一般の人たちを恫喝しているのは、本当に腹が立った。政権与党も本当にだらしない。「医療崩壊するなら、お前たちがコロナ患者を受け入れればいいじゃないか」と言えばいいのに、医師会は自民党の支持団体だから言わないんだよ。医師会の顔色をうかがって、何もできない。 飲食店に対しては、要請に応じなければ過料を科すなどという憲法違反の制裁を与えるのに、病院に対しては全くやらない。飲食業界が医師会のような圧力団体をもたないから、 飲食店ばかりがいじめられているんです。こんな理不尽な話はない。*『コロナとワクチンの全貌』(小学館新書)を一部抜粋、再構成【プロフィール】小林よしのり(こばやし・よしのり)/1953年福岡県生まれ。漫画家。『東大一直線』でデビュー。『おぼっちゃまくん』でギャグ漫画に旋風を巻き起こす。1992年スタートの「ゴーマニズム宣言」は新しい社会派漫画、思想漫画として話題に。近著に、『コロナ論』など。井上正康(いのうえ・まさやす)/1945年広島県生まれ。1974年岡山大学大学院 修了(病理学、医学博士)。1992年大阪市立大学医学部教授(分子病態学)。2011年大阪市立大学名誉教授。宮城大学副学長等を歴任。現在、健康科学研究所所長、現代適塾塾長。
2021.09.30 07:00
NEWSポストセブン
批評家・作家の東浩紀氏は現状をどう見る?
【緊急鼎談】東浩紀氏、コロナ自粛に提言「インフルでもロックダウンなのか」
 ワクチンを打っても、感染者数が減っても、緊急事態が解除されたとしても、一向に元の世界に戻る様子はない。私たちはいつまでコロナに怯えて閉じこもるだけの日々を送るのか。東浩紀氏(批評家・作家)、小林よしのり氏(漫画家)、三浦瑠麗氏(国際政治学者)が語り合った。(全3回の第3回)東:感染症や公衆衛生の専門家らは第五波は下がっているが、数か月後には第六波が来るから緩めるなと言っている。永遠に自粛し続けろと。小林:第六波は来るかもしれないし、来ないかもしれない。来なくても、今度はインフルエンザが流行るかもしれない。そうなると高齢者だけでなく、インフルエンザ脳症で子供が何十人も死んで、助かっても重い障害が残る子が何十人も出る。コロナよりよっぽど怖い。東:インフルエンザはたしかに怖い。感染症は感染対策によって封じ込めるべしという価値観が一般化すれば、インフルエンザに対する考え方も変えなければいけなくなりますね。一冬に1000万人が感染して、1万人が死ぬんですから。冬は基本、ロックダウンになりかねない。小林:そうなるよね。今まで気にせず生活してきたのに。三浦:かつての日本との一番の違いは、コロナ患者に対して注がれる医療ケアの度合い。コロナの中等症だけで医療崩壊するのだから、例年のインフルエンザによる肺炎を同じ運用にしたら、確実に医療崩壊します。東:コロナは高度医療を実現したグローバル社会に初めてやってきたパンデミックなので、リソース(資源)をかけすぎて医療崩壊した面がある。インフルで1万人死ぬのも交通事故で3000人死ぬのもしょうがないと諦めていたが、コロナで死ぬのだけは許せなかったんでしょうね。小林:矛盾しているよね。だから、わしはインフォデミック(メディアによる情報災害)だと言っているわけですよ。だから、指定感染症からインフルエンザと同じ5類相当に落として、どこの病院・医院でも診れるようにすべきなんです。東:5類に下げられない論にも一理はあるんだけど、なんらかの見直しは必要だと思います。医者は抵抗しているけど。 8月23日に国と都が都内の全医療機関に対して、コロナ患者の受け入れを要請したんです。これに対してネット上の医療クラスター(医療従事者の集団)が、「医療崩壊の責任を医者に押し付けるのか」「通常医療が崩壊する」と反発したんですね。 それで9月頭に数字が出て、結局、増えたのは150床だったと。なんのことはない、多くの医療機関が断わったんです。断われるのなら、別に要請くらいしてもいいはずです。強制じゃないのに、なぜそんなに反発したのか。どうも理解できないんですよ。三浦:それなら、飲食店も要請を断わって、営業してもいいですよね。東:そうなんです。コロナ病床の確保に対する補助金をもらって、実際は患者を受け入れなかった病院があったとも報道されている。それを指摘されたら、じゃあ返金しますって言っているらしいけど、それで許されるっておかしい。これじゃあ医療関係者の社会的地位は落ちますよ。小林:わしの中ではとっくに落ちてる。ゴールポストを動かす東:コロナの危機って、いわゆる、生物学的な危機から社会の危機にだんだん移ってきてると思う。国民と政府の信頼関係も失われているし、国民と医療の信頼関係もかなり壊れてきている。三浦:「最後の宣言にしたい」という言葉を、いったい何回聞いたでしょうか。ワクチン接種で高齢者の致死率が低下すれば、そこを妥協点として社会を正常化できると私は思ってました。しかし、ゴールポストはどんどん動かされ、国民の7割が接種しても不十分だと。全年代が9割接種しないとだめだという意見さえ出てきています。東:それは医者の性なのかもしれないですね。医者はゴールポストを動かすのが仕事なところがある。平均寿命が80歳になったら、よし、次は85歳だ、次は90歳だと。きりがないんですよね。小林:だから、「ワクチン打ってもマスクはずすな、会食するな」って言われた時点で、みんなブチ切れるべきだった。東:大事なのは、いまはもう、1年前と違って政治家や専門家の話をみんな聞かなくなっているということです。それに対して政治家や専門家はどうするのか。ボールは彼らの手にある。 自粛路線を続けてもいいけど、法的強制力がないんだから国民は無視するだけ。その現実を認め、今後は病床拡大など別の方向に舵を切るしかない。欧米に比べると遅れると思うけど、日本も日常に戻るしかないでしょう。小林:わしはずっと日常だけどね(笑)。だいたい、人の力でウイルスをコントロールできると思っているのが、おこがましいんだよ。三浦:私も日常に戻ることにします。【プロフィール】東浩紀(あずま・ひろき)/1971年東京都生まれ。批評家・作家。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。株式会社ゲンロン創業者。近著に『ゲンロン戦記――「知の観客」をつくる』(中公新書ラクレ)。小林よしのり(こばやし・よしのり)/1953年福岡県生まれ。漫画家。近著に『ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論3』(扶桑社)。井上正康氏との共著『コロナとワクチンの全貌』(小学館新書)が9月30日発売予定。三浦瑠麗(みうら・るり)/1980年神奈川県生まれ。国際政治学者。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。株式会社山猫総合研究所代表。近著に『日本の分断 私たちの民主主義の未来について』(文春新書)※週刊ポスト2021年10月8日号
2021.09.29 16:00
週刊ポスト
「人流データ」をどう見るか(写真は国際政治学者の三浦瑠麗氏)
【緊急鼎談】三浦瑠麗氏がコロナ自粛に異論「人流データは誤差が大きい」
 ワクチンを打っても、感染者数が減っても、緊急事態が解除されたとしても、一向に元の世界に戻る様子はない。私たちはいつまでコロナに怯えて閉じこもるだけの日々を送るのだろうか。東浩紀氏(批評家・作家)、小林よしのり氏(漫画家)、三浦瑠麗氏(国際政治学者)が討論した。(全3回の第2回)東:人流という“謎数字”についてどう思いますか?小林:人流と新規陽性者の増減がたまたま一致した部分だけ切り出してきて、わーわー言っているだけでしょう。三浦:人流の感染に与える影響は複合要因の一つでしかないのは明らかですね。そのため、正確な交通量のデータを用い、ビッグデータ分析の専門家チームで検証してきました。メディアが報じるスマホの位置情報に基づくデータには元々かなりの誤差があります。前週比8%増などと報じていますが、この程度は誤差の範囲内なんですよ。小林:人流と感染拡大に相関があるかどうかという以前に、使っているデータの誤差が大きいと。三浦:はい。分科会に提出される研究者のシミュレーションも、誤差の大きい人流データに基づいています。飲食店に酒の提供を自粛させ、時短営業を強制するといった私権制限が、そうした粗いデータに基づく「何万人感染」といった予測から導き出されているんです。東:テレビが垂れ流している京大の西浦博教授の「予測」にしたって、直近の感染者数の伸び率を未来に当てはめているだけで、エクセルで計算できるレベルなんですよね。彼は、第五波で東京都は8月末に1日の新規陽性者が1万人に達すると予測していましたが、実際はお盆明けから下がり始めて3000人程度だった。三浦:ビッグデータ分析の利点は、過去の波にまつわるデータをすべて投入することで、人間にとって不可知の要因を束ねた変数にすることができることです。人流抑制に意味がないわけではない。他の要因も大きいというだけです。 うちのチームは、お盆に人流が減少し翌週にピークアウトすると予測しており、現実とほぼずれませんでした。西浦氏が休暇を危険視していたのと正反対ですね。 いわゆる専門家が一定の前提を置いたモデルは西浦氏に限らず軒並み外している。それは、不可知の要素をモデルには入れ込めないから。だから外れるのです。東:西浦さんを擁護する人たちは、あれは予測ではなく試算であって、極端なことを言って警告しているんだと言うんですけど、それを根拠に五輪は中止しろとか、政策にまで踏み込んでいる。責任は生じます。三浦:メディアを通じて「予測」が過信され、政府の政策を直接左右してしまうところに問題があります。いま、政治家は専門家の助言に必ず従うべきだとされていますよね。予測は厳密なものではないのに、それに基づく営業自粛で店が潰れ、人々が自殺してしまっても、専門家は決して責任を負えません。小中学生や女性の自殺が増えても、専門外だからと思考の範疇に入れないのです。コロナ死だけ減ればいいわけではないのですが。小林:2020年の超過死亡はマイナスで、例年より死者が減ったんです。死者が減るパンデミックって何なのか。過剰対策だったことは間違いなくて、例年なら死んでいた多くの高齢者が生き延びたんですが、その陰で、自粛の影響で子供や女性が犠牲になっている。(第3回に続く)【プロフィール】東浩紀(あずま・ひろき)/1971年東京都生まれ。批評家・作家。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。株式会社ゲンロン創業者。近著に『ゲンロン戦記――「知の観客」をつくる』(中公新書ラクレ)。小林よしのり(こばやし・よしのり)/1953年福岡県生まれ。漫画家。近著に『ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論3』(扶桑社)。井上正康氏との共著『コロナとワクチンの全貌』(小学館新書)が9月30日発売予定。三浦瑠麗(みうら・るり)/1980年神奈川県生まれ。国際政治学者。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。株式会社山猫総合研究所代表。近著に『日本の分断 私たちの民主主義の未来について』(文春新書)※週刊ポスト2021年10月8日号
2021.09.28 16:00
週刊ポスト
「日本人の特性について発見があった」とも語る小林よしのり氏
【緊急鼎談】小林よしのり氏、コロナ自粛に「そんなに自由が嫌いなの?」
 ワクチンを打っても、感染者数が減っても、緊急事態が解除されたとしても、一向に元の世界に戻る様子はない。私たちはいつまでコロナに怯えて閉じこもるだけの日々を送るのだろうか。この状況を打破すべく、東浩紀氏(批評家・作家)、小林よしのり氏(漫画家)、三浦瑠麗氏(国際政治学者)が討論した。(全3回の第1回)東:8月末に苗場でフジロックが開催されたときに、参加したアーティストがいろいろ言い訳しているのを聞いて、私は「一時のノリで五輪反対とかいうべきじゃなかった」とツイートしました。何が言いたかったかというと、「フジロックをやってもいいけど、それなら他の人の行動にも寛容になろうよ」ということ。みんなそれぞれ我慢できないものがある。それをお互いに認め合うのがリベラリズムで、個人の自由を尊重する社会の基本だと思うんです。 もともと日本は、「自分が我慢しているんだから他の人も我慢すべき」という自粛社会、村社会だったところへ、コロナ対策というお墨付きが出たために、暴走してしまった感がある。小林:わしはもう、最初からコロナ騒動はくだらない馬鹿騒ぎだと思っていたけどね。ただ、その中でも日本人の特性について発見があった。 一つは、お上の言うことにまったく従順に従う権威主義。もう一つは、東さんが指摘したのと同じで、同調圧力で徹底的に縛りつけてくる集団主義。みんなそんなに自由が嫌いなの? って呆れたよ。リベラルを標榜する者ほど、検査して全員隔離しろとか言うわけじゃない。東:立憲民主なんて、感染者数がどんどん下がっているこの時期に、3週間くらい休業要請を拡大して封じ込めろって言い出したので驚きました。小林:“ゼロコロナ”ね。まだ完全に封じ込められると思っている。三浦:9.11同時多発テロのときの米国を思い出しますね。人々が恐怖でパニックを起こし、“魔法の杖”の一振りですべてを解決できると思って、対テロ戦争の泥沼にはまっていった。現実には、テロ対策はできてもテロを撲滅することはできないのに。国民が自由を放棄し、差別や監視に走った構図も似ている。 コロナ対策でも、ロックダウン法制とか、検査拡大とか、魔法の杖のように振れば解決できるという人がいますが、そんなのは幻想なんですよ。東:人流抑制が本当に感染拡大防止に結びついているのかもわからなくなっていますよね。今、急激に減っているのだって、専門家は理由がわからないと首を傾げている。仮に人流抑制に効果があったとしても、もう我慢の限度を超えてしまったので、みんな言うことを聞かなくなっている。 それならば、感染拡大を一定程度、許容して、それでも社会が回るように、病床の拡大やワクチン接種などを進めていくしかないと思うんです。憲法よりも同調圧力小林:結局、日本では、法の支配ができてないわけですよ。移動の自由や集会の自由を定めた憲法よりも、同調圧力や村社会のルールのほうが強い。 スウェーデンは、国民の行動を縛る規制や、子供から教育機会を奪う休校は憲法違反だからしないといって、実は集団免疫を目指そうとしてきた。人口当たりの死者数で比較したら、ロックダウンなど厳しい規制をしたイタリアやイギリス、アメリカ、フランスなどより少ないんです。東:一時期は「スウェーデンのように集団免疫に失敗した国」みたいな枕詞になっていたんだけど、最近ではスウェーデンの戦略が見直されてきていますね。小林:わしはずっと成功しているって言い続けてるよ。オーストラリアなんて年中ロックダウンしていて、公園をマスクなしで歩いていたら、警察に逮捕されるんですよ。そのほうがいいの?東:ロックダウンやれって叫んでる人たちには、やれるものならやってみろと言いたいね。街中に警察官を立たせて、検問やって、どれだけコストがかかるか。街の構造もロックダウンするようにできていない。そもそも日本人って統一された身分証明書を持っていないんですよ。それでどうやって検問をやるのか。小林:みんなロックダウンがどういうものかわかってないんだよ。東:身分証明としてワクチンパスポートを発行するという話も出ていますが、国は個人のワクチン接種情報を集約的に持っていない。だから、自治体ごとに発行し、スマホを持っていないお年寄りのために紙になるでしょう。マイナンバーに紐づけすれば便利なのに、個人情報が漏れるのが怖いといって反対してきたわけです。そんな遅れた国でロックダウンなんてできるわけない。三浦:国がプライバシーに踏み込んでくるのは嫌だって反対した人たちと、今、ロックダウンやれって言っている人たちは重なっているんですよね。 若者の屋外飲みを報じたTV番組で、コメンテーターが、自分が学生の時分に河川敷で騒いだら機動隊に徹底的にやられたと発言し、警官の導入に言及したというのでびっくりしました。河川敷で若者がバーベキューをしているだけですよ?小林:バーベキューに機動隊突入? すごいな、それ(笑)。三浦:若者を悪者に仕立てて、強権を発動せよというのは簡単です。だけど、特定の層を叩くために警察力や軍事力を使うというのは、絶対やっちゃいけないことのはず。 オーストラリアはロックダウンに軍まで投入していますが、我々は災害救助に自衛隊を派遣するけど、学生運動の鎮圧は機動隊だったじゃないですか。感染症対策のためなら軍を投入してもいいというのが先進国の常識になったら、中国と何が違うのかと。小林:天安門事件まであと一歩だ。これこそが全体主義東:フランスの哲学者フーコーは、昔の王様は「従わない者は殺す」と言って権力を振るったけど、近代以降の権力は「隣人にヤバいやつがいる」と言って相互に監視させることで従属させるという「生権力」の概念を示しました。日本も戦時中は国民に相互監視させていたことは知られたとおりです。過去にはそうした政治哲学的、社会哲学的な研究の蓄積があったのに、それを大学で勉強したリベラルの人たちが、今、バーベキューを取り締まれ、ロックダウンをやれと主張している。 戦後70年も経つとみんな忘れてしまうんですが、これこそが全体主義なんですよ。全体がよくなるように一人ひとりが自分を律するべし。そして、律することができない人間に対しては全体が介入すべしっていうのが全体主義だから。 そもそも感染症や公衆衛生の専門家から出てくる政策には、危険があるんです。三浦:そうそう。管理のための管理ですからね。ワクチンは自らの身を守る手段としては優れていますが、若者に利他を強要してはいけない。東:専門家は、社会全体を病院にしたいんじゃないかな。小林:そうなんだよ。国民を全員、病室に入れて管理して、勝手に出歩くなって言うんだよ。三浦:健康のためだけに閉じこもって生きよと。小林:全体主義と言えば、情報統制もすごいんだよ。ユーチューブでやっている番組で、ワクチンについて少しでもネガティブなことを言うと、一方的に削除されるんだよ。今月末に大阪市立大名誉教授の井上正康氏との対談本『コロナとワクチンの全貌』が出るんだけど、本の宣伝動画さえ削除される。ネットには言論の自由がなくて、むしろオールドメディアの“紙”にしか自由がない。東:私はワクチンは打ったほうがいいと思っていますが、理由も示さず一方的に削除するっていうのはおかしい。三浦:私も小林さんとは立場が違いますが、巨大プラットフォーマーが異なる価値観の人間を簡単に排除できてしまうというのは恐ろしいことだと思います。(第2回に続く)【プロフィール】東浩紀(あずま・ひろき)/1971年東京都生まれ。批評家・作家。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。株式会社ゲンロン創業者。近著に『ゲンロン戦記――「知の観客」をつくる』(中公新書ラクレ)。小林よしのり(こばやし・よしのり)/1953年福岡県生まれ。漫画家。近著に『ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論3』(扶桑社)。井上正康氏との共著『コロナとワクチンの全貌』が9月30日発売予定。三浦瑠麗(みうら・るり)/1980年神奈川県生まれ。国際政治学者。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。株式会社山猫総合研究所代表。近著に『日本の分断 私たちの民主主義の未来について』(文春新書)※週刊ポスト2021年10月8日号
2021.09.27 07:00
週刊ポスト
発生から1年半近くが過ぎたが…(AFP=時事)
もはや新型コロナは「お笑い」状態 右往左往させられる人々
 漫画家の小林よしのり氏と京都大学ウイルス・再生医科学研究所ウイルス共進化分野准教授の宮沢孝幸氏が新型コロナウイルスについて語り合った『コロナ脳 日本人はデマに殺される』が発売後すぐに重版となるなどヒットしている。2人と一緒にコロナ関連のイベントに登壇したこともある、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏は本書をどう読んだか。 * * * とにかく明るい対談なのである。これは初めての読書体験だ。病気やウイルスという深刻なイシューについて対談しているのに、宮沢氏がやたらと「ディープキス」の話ばかりしているのである。いや、言い過ぎた。2回ぐらいしか出てこない(と思う)。同氏がイベントの時にディープキスの話ばかりしていたので、その印象に引きずられてしまった。 小林氏は『コロナ論』(扶桑社)を執筆するなど、コロナに関してはこの1年以上「素人」ながら研究を続けてきた。そして専門家や政治家、テレビに登場するコメンテーターがいかに信用ならないかを主張し続けてきた経緯がある。 互いに「完全同意」という状態ではなく、小林氏も宮沢氏も「ですよね~」というばかりの「慣れ合い対談」をしているわけではない。宮沢氏は「あとがき」で互いに異論があることは認めながら、「基本的には同じ姿勢、同じ考え方に立つ人であることを改めて確認できました」と述べている。 さて、冒頭で「とにかく明るい対談」と書いたが、それが一体何なのかを考えると、2人が語っているテーマが「新型コロナ」なのだが、そのテーマ自体がもはやお笑いである、ということではなかろうか。陽性者が苦しむ様は当然お笑いではないのだが、とにかくメディアや政治家がビビりまくり、これを真に受けて「ヤバ過ぎる殺人ウイルス」と解釈した一般大衆が「コロナ脳」になっている点が「お笑い」ということである。 2020年の死亡者は138万4544人で、前年より9373人(0.7%)減った。コロナ死は1年2ヶ月で約9000人である。しかも、若者はほぼ死なず、10代以下はゼロ。死者のほとんどは高齢者で、「寿命が来た」とも解釈できるような状況なわけで、全然「ヤバ過ぎる殺人ウイルス」ではないのにエラい人も一般人も右往左往するって一体なんなのだ? 政治家や医師会等は「正念場」「瀬戸際」「勝負の2週間」「真剣勝負の3週間」「危機的状況」などともはや「世界の終わり」的な発表をする。テレビは「今日の感染者は〇名です。火曜日としては過去最高です」や「イギリス由来の変異株が猛威を振るっています」などと眉をひそめながら悲壮感を漂わせてそのヤバさを報じている。これを受けて「政府の対応はダメだ!」「人々の気の弛みが発生している!」「ステイホームを徹底せよ!」などとコメンテーターが絶叫するが、どうも小林氏も宮沢氏もこの状況をコメディのように捉えているのである。それがこの対談の「明るさ」に繋がっているのだろう。 宮沢氏による小林氏に対する「同じ姿勢、同じ考え方」というのは、実は私にも一致する。だから2021年1月9日に東京で行われた小林氏主催のイベント「オドレら正気か?新春LIVE」に私も呼ばれたし、宮沢氏も来た。その「同じ姿勢、同じ考え方」とは以下である。 コロナって実は日本ではたいしてヤバいウイルスじゃないんじゃねーの? なんで日本中がこんな雑魚ウイルスに右往左往させられているの? バカなの? である。こうしたことを我々3人は日々述べているだけに「大切な命が奪われたらどうするんだ!」「お前は身近な人が感染しても同じことが言えるのか!」「小林よしのりだって高齢者だろ!」みたいなことを言われてしまう。リスクを言っておけば叩かれない専門家(笑) そんなことを言われようが我々は「かかったらしょうがないじゃん。しかも基礎疾患持ちの高齢者以外あんまり死なないよな。子供の死者数、ゼロじゃん」とヘーゼンと冷静に言い放つ。だが、「楽観論で人々の命を奪わせる悪魔のような連中」扱いされているため、我々はリスクを背負って発信を続けているのである。これで本当に感染症の数理モデルの専門家・西浦博氏が言うように「42万人死ぬ」となったら我々は言論の場は奪われるだろう。最悪の事態を言って世の中の動きを止めさせ、そのうえでカネをもらえて一定数の「信者」を得られる専門家(笑)とは違うのです! 我々のこの考え方は正直2020年秋までは「異端」だったし、2021年の同イベントでも私は「我々は“邪教のミサ”をやっていると世間様は思うことでしょう。ここにいらっしゃる皆さんは“邪教の信者”です!」と述べ、少数派であることを認めていた。これに続けて「ただ、いずれ我々が正しかったことが分かる日が来ます! いずれ、我々は“賢者の会合”をやっていたと理解されることでしょう」と高々と宣言した。 コロナについては、「テレビの破壊力の凄まじさ」「ゼロリスク信仰の浸透力の凄まじさ」を示した。それとともに、「“何かがあったら……”とビビりまくり石橋を叩いてアロンアルファを塗りまくる責任回避したいバカ」「最悪の事態を言っておけば責任は問われないし非難されない」「人の命は地球よりも重い」派の皆様方により日本人は完全に洗脳された。 我々3人を含め、「オドレら正気か?新春LIVE」に出演した8人(他には泉美木蘭・倉持麟太郎・萬田緑平・木村もりよ・藤井聡)は、「コロナヤバ過ぎ」の論調で一致する東京の情報番組からは呼ばれないだろう。何しろ数千万人が見る民放テレビで「コロナにビビり過ぎて皆さんバカですか? なんでこの番組の出演者、ここまで恐怖を煽ったんですか? 死者なんて1年2ヶ月で9000人台、1万3000人に一人ですよ。これになんで日本全体が経済活動を止めたんですか? 癌で死ぬのは年間37万人超ですよ」なんてことを言ったら「放送事故」になることは間違いないからである。もしも我々が『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)でコロナについてゲストスピーカーになったら山口真由氏と長嶋一茂氏以外とは全員とケンカするだろう。 本書の内容はまさにその「放送事故」を徹底的にやり続けているのである! テレビの論調を疑い、「コロナって茶番じゃね?」と考えている人にとっては実に心地よい文言が並ぶ。小林氏の2つの発言をまずは紹介しよう。小林よしのり氏と宮沢孝幸氏の主張〈なんていうんかな、作り物の恐怖、非科学的な恐怖に脅えていて、お化け屋敷でキャーキャー騒いでいるみたいな感じというか。女の子が本気で怖がってキャーキャー叫んでいるけど、作り物だとわかっていて怖くも何ともない人は、全然怖がらない。わしはお化け屋敷って全然怖くないんよ。ジェットコースターは怖いけど。だから、まったくの幻想だよね。幻影を見せるやつらがいて、それを見て怖がっている。それで、怖がりすぎてコロナ脳になると、「経済より命」なんて言い出すんだよ。〉〈「経済より命」と主張するなら、「全員休め」って言うべきだよ。コンビニも休め、スーパーも休め、ごみ収集車も全部休めと言わないと。そうしたら、初めてみんな目が覚める。食べるものがない、ごみはどんどん溜まっていく。経済が動いていないと生活できない、生きていけないことに気付く〉 続いては宮沢氏だ。4月上~中旬現在の民放テレビの「恐怖煽りの期待の星」である変異株について宮沢氏はウイルスの専門家としてこう述べる。〈今、日本人は、外国のやつがすごく怖いとか言うんですが、違うって、逆やって。もし外国からのウイルスのほうが日本でも流行りやすいのなら、弱毒化している可能性高いから。もしすごい病原性が高かったら広がらないから大丈夫です。広がるとしたら病原性が低いやつだから、よりいいじゃないかと思うんですけど。ただ、私がどんどん弱毒化すると言ったら、学生から、「宮沢さん、これ以上、弱毒化しないっすよ。すでにほとんど弱毒じゃないですか」と言われて、そうだねって。これ以上弱毒化しようがないかもねって〉 さらに、宮沢氏は、いわゆる「専門家」と称されるエラい人についてはこう述べる。〈そもそも風邪という感染症をいくら研究したって、医学の世界では偉くなれないんです。大した病気じゃないから出世しない。分科会に呼ばれるのは偉くなった先生方だから、そこにコロナウイルスや風邪の専門家は入ってこないんです。それでどうやって対策を考えるんだって思いますよ〉 私のこの書評を読んで「なんでこいつらは人命軽視してこんな危険なことを書いてカネもらってるんだ!」と思う人は絶対にこの本を買ってはいけない。多分、怒りのあまり目の前のコーヒーカップをカフェで投げて誰かにぶつけて損害賠償を求められてしまう。私の評を読み「そうそうwww」と思ったのであれば是非とも一読することを勧める。「私と同じこと考えている人いたんだ!」という穏やかな気持ちになれ、コーヒーカップを投げる気持ちになどならないだろう。おいしくコーヒーを飲めるはずである。さて、これから社会はどうなるか? ずーっと「コロナヤバ過ぎ」の今の路線で行くか? 小林・宮沢両氏が主張する「もう日常に戻れ」になるか? 後者になった場合、2人の高笑いが聞こえてきそうである。多分なるけどね。
2021.04.14 11:00
NEWSポストセブン
コロナ変異株は怖いのか 「弱毒だから広がる」という指摘も
コロナ変異株は怖いのか 「弱毒だから広がる」という指摘も
 イギリス型にブラジル型、南アフリカ型と世界各地で新型コロナウイルスの変異株が見つかっている。この変異株はどのようなもので、どう対処すればいいのだろか。 小林よしのり氏(漫画家)と宮沢孝幸氏(京大准教授・ウイルス学者)の対談本『コロナ脳』(小学館新書)より、変異株について宮沢氏が解説した部分を抜粋して掲載する(対談は2021年1月下旬に行なわれ、情報はその時点のもの)。  * * *小林:今、マスコミは変異株で大騒ぎしているよね。「イギリスで変異株が出た」「日本でも感染者がいた」と大騒ぎして、ものすごく恐ろしいもののように報道しているんだけど、実際はどうなの?宮沢:答えるのがけっこう難しい問題なんですけど、変異というのはいくらでも起こります。私がコロナウイルスにかかったとして、鼻だの喉だのいろんなところで増殖したとすると、私の体の中で変異したウイルスが何種類も見つかると思います。小林:2週間に1回変異すると言われているけど。宮沢:2週間じゃないです。変異そのものは体の中で毎日何回も起きています。 ただ、変異したウイルスを遺伝子解析すると、何か所か変異が入っているんだけど、特徴的な配列がある、共通して変異が入っているところがあって、それで系統樹を書いて、何々系統、何々変異型と分けているんですね。たとえば、イギリスで特定の系統だけがぱぁーっと広がったから、変異型が出たと。変異はしょっちゅう起きているけど、その中で特定の系統だけが広がったから、出た出たと言っている。遺伝子配列の501番目のアミノ酸が変わった型が、イギリスだけでなく南アフリカにもあった、ブラジルにもあった、日本にもあったという話なんですよ。その系統がイギリスで増えて、全世界40か国ぐらいで確認されている。 じゃあ日本でも広がるんですかって聞かれても、そんなのわかりません。日本株のほうが強い可能性もあります。小林:変異していくうちに、だんだん弱毒化していくっていうよね。強毒化すると、宿主が死んだり、重い症状で動けなくなったりして、感染が広がらなくなるので、結果的に弱毒化したウイルスだけが広がると。宮沢:その通りで、弱毒化したウイルスのほうが広がりやすい。ウイルスには意識も戦略もなく、どっちが有利かを考えたりしないので、変異して強毒にいく方向と弱毒にいく方向はイーブンですが、強毒に進んだウイルスは宿主を動けなくするので、医療従事者や家族など近い人にうつるかもしれませんが、そこで止まる。弱毒化したウイルスは、軽症で宿主が動き回れるので、感染を広げられる。だから、弱毒のほうが広まりやすい。 今回の変異型は、宿主細胞の受容体と結合しやすいとされています。だからといって感染が広がりやすいとは限らなくて、結合が強すぎると今度は離れにくくなり、ウイルスは離れないと外に感染を広げられませんから。適度な強さが必要なんです。 今回の変異型はそれなりに広がっているようなので、広まりやすいといえそうですが、強毒化しているか、弱毒化しているか、今のところまだ見えない。というか、今広がっているコロナウイルスはすでに弱毒化しきっているので、これ以上、弱毒にならないかもしれない。小林:そういう見方もあるのか。宮沢:変異型が怖い怖いとギャーギャー騒いで、イギリスやブラジルからの侵入を止めろ、みたいな話になっていますが、あれと同じ変異は日本でも必ず起きますからね。小林:どういうこと?宮沢:鎖国したって、日本でも同じ型が必ず生まれるということです。だって、年がら年中、ランダムに変異が起こっていくんですよ。その中で感染を広げるのに有利だったのが、イギリスで広がった変異型なんです。日本国内のどこかの誰かの体の中で、いつか必ず生まれて、それが本当に強いんだったら、増えていきます。当たり前です。 日本でも見つかって、報道では「渡航歴がないのに」「誰から感染したかわからない」と騒いでいますが、海外から入ってきたのではなくて、国内で生まれていても不思議ではない。宮沢:昔、私、犬のパルボウイルス(犬が感染すると激しい嘔吐や下痢を引き起こす)の研究をやっていたんですが、1978年ごろに急にイギリスで犬に強毒のパルボウイルスが出てきて、犬がばったばった死によったんですよ。ところが、1981年に弱毒タイプが見つかったんですね。そうしたら、あっという間に世界中、弱毒タイプに変わって、犬が死ぬ強毒タイプがこの世から忽然と消えたんですよ。 そのときに、パルボウイルスの研究をしていたアメリカのコリン・パリッシュというプロフェッサーが、これはおかしいと。犬は飛行機に乗らないのに、何で世界中のウイルスがこんな同じ弱毒型になったんだって騒いでいた。 それで私らが1998年に、ベトナムや台湾の犬を調べたんですよ。そうしたら、何てことはない、世界同時多発で同じ変異が起こっていた。その変異型が広がりやすいのなら、世界中で同じ変異型が広がるんですよ。小林:しょっちゅう変異が起きているから、そうなるんだと。宮沢:そうです。いろんな変異がランダムに起きるんですが、感染を広げるのに有利な変異だったら、それが広がっていく。ここが有利だという変異があるわけですよ。そこに変異が入るのは時間の問題で、確率論です。ちょっとは時間差があるかもしれないが、イギリスに限らず、世界中どこでも同じ。世界同時多発。小林:生き残るやつだけがどんどん増えて、生き残るやつはどこの国でも一緒。宮沢:そう、そう。広がりやすいやつは恐らくは弱毒だから。今、日本人は、外国のやつがすごく怖いとか言うんですが、もし外国からのウイルスのほうが日本でも流行りやすいのなら、弱毒化している可能性高いから。もしすごい病原性が高かったら広がらないから大丈夫です。広がるとしたら病原性が低いやつだから、よりいいじゃないかと思うんですけど。※小林よしのり、宮沢孝幸の共著『コロナ脳 日本人はデマに殺される』(小学館新書)より一部抜粋・再構成【プロフィール】小林よしのり(こばやし・よしのり)/1953年福岡県生まれ。漫画家。『東大一直線』でデビュー。『おぼっちゃまくん』でギャグ漫画に旋風を巻き起こす。92年スタートの「ゴーマニズム宣言」は新しい社会派漫画、思想漫画として話題に。近著に、『コロナ論』など。宮沢孝幸(みやざわ・たかゆき)/1964年東京都生まれ。兵庫県西宮市出身。東京大学農学部獣医畜産医学科、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程獣医学専攻修了。獣医学博士。現在、京都大学ウイルス・再生医科学研究所 ウイルス共進化分野准教授。
2021.04.10 16:00
NEWSポストセブン
『コロナ論』著者・小林よしのり氏、京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授の宮沢孝幸氏
ウイルス専門家「病院で治療現場見るより感染現場へ行く」理由
 メディアには数多くの「感染症の専門家」が登場し、さまざまなコロナ対策を提示してきた。そういった対策には本当に効果があったのか。 小林よしのり氏(漫画家)と宮沢孝幸氏(京大准教授・ウイルス学者)の対談本『コロナ脳』(小学館新書)より、「感染症の専門家」に関する両者の議論を抜粋して掲載する(対談は2021年1月下旬に行なわれ、情報はその時点のもの)。 * * *小林:今回のコロナ騒動ほど、メディアに医学の専門家が次から次へと出てきたことはないと思うんだけど、これでよくわかったのは、医学の専門家というのは、自分の専門分野には詳しいかもしれないが、同じ医学でも別の分野になると意外に知らないということ。宮沢:政府の専門家会議にも、その後の分科会にも、感染症や防疫、分子ウイルス学の専門家はいるけど、コロナウイルスの専門家はいない。感染症が専門なら、コロナ風邪のことだってわかるだろうと思うかもしれませんが、感染症と風邪の専門家はまったく違います。これも別のジャンルです。 今回のコロナ騒動でウイルスというものがメジャーになりましたが、お医者さんでウイルスをちゃんと勉強している人って少ないです。そもそも感染症という分野が医療の世界ではメジャーではない。なぜかというと、動物と違って人の場合、感染症はかなり制御されていて、これまであまり問題にならなかったから。特に先進国ではそうです。だから、感染症、ウイルスの専門家が少ない。 だけど、動物の場合は、鳥インフルだのBSE(牛海綿状脳症)だのコロナだの、いろんな細菌やウイルスがいて、感染症があって、それに対処しなければいけないから、感染症が研究のメインです。いくつかの大学にウイルスや感染症の研究所がありますが、教授になっているのはけっこうな割合で獣医、獣医学部出身者なんです。 SARS(重症急性呼吸器症候群)のときも、感染研は医者でコロナの専門家がほとんどいなかったから、獣医から人を呼んだんですよ。だけど、SARSがすぐ収まっちゃったから予算が削られちゃったんです。今回もそうでしょう。小林:ひでえ話。宮沢:獣医は使いっぱしりだと思っている。だけど、私ら獣医はプロフェッショナル意識があるから、変なウイルスに感染して殉死してもそれはしょうがないと思っている。だって、仕事だから。消防士が火事があったら駆けつけて、ホースで水かけるのと一緒です。新興感染症って動物のウイルスがヒトに感染して起きるわけで、どこのどんな動物がそのウイルスをもっていて、どうやって感染したのか調べるのも獣医の役目なんですよ。もちろんヒトの検査もします。血液も検査します。海外に調査に行くのは、ほとんど獣医なんですよ。小林:ウイルスの最前線にいる。宮沢:医学の世界の感染症専門家って、「感染症を治す専門家」じゃないですか。医者というのは、ヒトの症状を治す専門家ですよね。そのウイルスをもつ動物や、感染の現場を突き止めるとか、感染を止めるのは、獣医の仕事なんですね。だから、キャバクラ、ホストクラブなどに実際に行って、どういう状況で感染しているか調べるんですよ。 そしたら、お医者さんから「宮沢君、そんなことやってるよりも、論文読んでるほうが勉強になるだろう」って言われるんです。いや、論文読んでても、感染してる現場を見ないと何にもわからないんですよ。さらにお医者さんから「宮沢君、病院に行け。病院を見ればどんなに大変かわかる」って言われる。違う、私たちは、感染が起こっている現場を知りたいんやという話でね。病院が大変なのはわかっていますが、病院行って治療の現場見たって、感染拡大を止める役に立たないでしょうって。小林:そりゃそうだよな。宮沢:現場でどういうふうに感染が起きているのかが知りたいんです、リアルで。だから、キャバクラやホストクラブに行って調査するのは当たり前じゃないかと。文献読んだってわかるわけない。医者も現場に出てこいよ。現場はどこなんだ、病院ちゃうやろ。小林:「踊る大捜査線」みたいだな(笑)。 でも、そういうことは外部の人間にはまったくわからないからなあ。感染症の専門家だと言われたら、コロナウイルスにも詳しいと思っちゃうよね。※小林よしのり、宮沢孝幸の共著『コロナ脳 日本人はデマに殺される』(小学館新書)より一部抜粋・再構成【プロフィール】小林よしのり(こばやし・よしのり)/1953年福岡県生まれ。漫画家。『東大一直線』でデビュー。『おぼっちゃまくん』でギャグ漫画に旋風を巻き起こす。92年スタートの「ゴーマニズム宣言」は新しい社会派漫画、思想漫画として話題に。近著に、『コロナ論』など。宮沢孝幸(みやざわ・たかゆき)/1964年東京都生まれ。兵庫県西宮市出身。東京大学農学部獣医畜産医学科、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程獣医学専攻修了。獣医学博士。現在、京都大学ウイルス・再生医科学研究所 ウイルス共進化分野准教授。
2021.04.06 16:00
NEWSポストセブン
発生から1年半近くが過ぎたが…(AFP=時事)
感染拡大から1年超 新型コロナはインフルエンザより怖いのか
 新型コロナの流行から1年以上経過して、さまざまな科学的データも集まってきた。季節性インフルエンザとの比較も可能になりつつあるが、そこから得られた事実とは何か。 小林よしのり氏(漫画家)と宮沢孝幸氏(京大准教授・ウイルス学者)の対談本『コロナ脳』(小学館新書)より、新型コロナとインフルエンザのデータを比較した対談部分を抜粋して掲載する(対談は2021年1月下旬に行なわれ、情報はその時点のもの)。 * * *小林:コロナはこの冬に第三波が来て、2021年1月下旬に、死者は累計5600人くらいになったけど、それでもインフルエンザの1万人に比べれば全然少ない。「いや、コロナの死亡者はまだまだ増えるじゃないか」と反論する人がいるけど、今、政府やメディアが発表している検査陽性者数や死亡者数の数字は、昨年からの累計なんですよ。発生してからずっと足し続けてきた数字です。 日本で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されたのは2020年1月15日で、それからもう1年たったんです。統計の数字で比較するなら、1年で区切って比較するべき。1年でリセットして0に戻し、2年目の数字としてまた1からカウントするのが正しい。 だから、コロナの1年目は2021年1月14日の時点で、「検査陽性者30万2623人」「死亡者数4233人」(ダイヤモンド・プリンセス号の数字を除く)ということで確定なんですよ。宮沢:統計なので、1月1日から12月31日までの1年で、2020年の数字として区切るという考え方もありますね。それで言えば、1年目の死亡者数の累計は、2020年12月31日の時点で3400人くらいです。小林:ああ、そうか。そういう考え方もあるか。いずれにしても、これからコロナが日本に定着するのはほぼ確実なので、1年で期間を区切っていったんリセットしないと、インフルエンザとの比較はできない。だけど、政府もメディアも、ずーっと昨年からの数字に足し続けているよね。だから、数字がどんどん膨れ上がっていく。政府もマスコミも過剰対策だったことを認めたくないために、数字を足し続けて何か大変な事態が起きているかのように見せかけようとしているんです。 だけど、わしはそんな印象操作には引っかからない。1年間で区切った数字できっちり比較する。 インフルエンザの「感染者」は、2018年〜2019年の冬季シーズンで約1200万人、2017年〜2018年は約1458万人、2016年〜2017年は約1046万人で、毎年1000万人を優に超えています。毎年1000万人以上出ています。宮沢:インフルエンザの数字は、発熱や頭痛、せきなどの症状が出て病院に行った「感染者数」の推計値ですね。 「コロナのほうが死者が多い」は間違い小林:一方のコロナの「検査陽性者数」は約30万人です。これは「感染者数」ではなくて、無症状だろうが何だろうが、PCR検査で陽性になった人を全部合わせた数字で、それでも30万人で、インフルエンザの「感染者数」とは2桁違う。とんでもなく少ないんです。宮沢:コロナでは当初、「感染者数」と呼んでいましたが、途中から「検査陽性者数」と言い換えましたからね。感染者と陽性者はイコールではない。これまでの急性感染症の統計では、発症した人が「感染者」です。小林:無症状の検査陽性者で水増ししても、インフルエンザの感染者数にまったく届かないということです。 次に、死亡者数を比較してみます。厚労省の人口動態統計によれば、インフルエンザによる直接死は2019年に3575人、2018年は3325人と、3000人をオーバーしている。この数字はインフルエンザが直接的な原因となって死亡した人数です。 この直接死の人数と比較して「コロナのほうが死者が多い」と主張する人がいるけど、それも間違い。厚労省が発表しているコロナの死者数は「直接死」だけではなく、持病が悪化して亡くなった「関連死」の人を含む人数だから、インフルエンザも「直接及び関連死」の数で比較する必要がある。 インフルエンザの「直接及び関連死」はおおよそ1万人と推計されている。一方のコロナは、期間をどこで区切るかによるけど、1年でおおよそ3400〜4200人。インフルエンザと比べたらやはり圧倒的に少ない。 つまり、コロナは最大限に水増ししても、インフルエンザにまったく届かないということ。これが1年目の結果ですよ。これが確定した事実です。宮沢:でも、そういうことを言うと、「みんなが自粛して頑張って対策したから、この程度で抑えられただけで、何も対策をしていなかったら42万人死んでいた」と言う人がいるわけじゃないですか。 だけど、何も対策していなかったとしても、感染者や死者ってそんなに増えなかったと思うんですよ。みんな頑張って“コロナ対策”と称する対策を実行したのは事実ですが、ほとんど成果につながっていない。やってもやらなくても同じだった。全部が全部、効果がないわけではなくて、確かに、飲食店が営業を自粛して、ビジネスマンもテレワークにして、ステイホームすれば、その間だけは感染拡大を抑え込めますが、緩めたらまた広がるのだから、結果的にはやってもやらなくても同じくらいの数になる。小林:そうだよね。インフルエンザは一冬にドカンと感染が広がって一気に集団免疫に達して収束し、また翌年の冬に同じように流行るわけだけど、コロナは自粛によってピークを下げたから、緩めるとまた増え、第二波、第三波と増減を繰り返した。結局、やってもやらなくても大差なかったんだろうと思う。 最初の頃は、頑張ればコロナを封じ込められるとみんな思っていたんだよね。だけど、それは無理だということがわかった1年でもあったわけで。自粛で抑え込んでも、やめればまた増えるだけで、感染を先延ばしにしているだけなんだよな。※小林よしのり、宮沢孝幸の共著『コロナ脳 日本人はデマに殺される』(小学館新書)より一部抜粋・再構成。【プロフィール】小林よしのり(こばやし・よしのり)/1953年福岡県生まれ。漫画家。『東大一直線』でデビュー。『おぼっちゃまくん』でギャグ漫画に旋風を巻き起こす。92年スタートの「ゴーマニズム宣言」は新しい社会派漫画、思想漫画として話題に。近著に、『コロナ論』など。宮沢孝幸(みやざわ・たかゆき)/1964年東京都生まれ。兵庫県西宮市出身。東京大学農学部獣医畜産医学科、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程獣医学専攻修了。獣医学博士。現在、京都大学ウイルス・再生医科学研究所 ウイルス共進化分野准教授。
2021.04.05 16:00
NEWSポストセブン
『コロナ論』著者・小林よしのり氏、京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授の宮沢孝幸氏
新聞・テレビが懸命に「コロナ怖い」と煽る理由 高齢者への迎合も
 外出や会食する人への非難も高まるなか、コロナへの恐怖とどう向き合うべきなのか──。ベストセラー『コロナ論』著者・小林よしのり氏と京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授の宮沢孝幸氏が語り合った。SNSで通報する人たち小林:抗議とか脅迫とかそういう行為によって、発言の場が奪われたりすることが一番の問題。ツイッターでの発信をやめろとかね、それが言論封殺だってことをわかっていないんじゃないか。 わしが『コロナ論』を書いてベストセラーになったときに新聞はみんな無視したけど、毎日新聞だけが取材に来て、ネットにわしのインタビュー記事を載せた。そうしたら、ものすごいバッシングが来て、「毎日新聞が小林よしのりなんかにインタビューした記事を載せるのか」というコメントで埋め尽くされたんよ。宮沢:酷いですね。小林:うん。だけど、毎日新聞はインタビューに来ただけ偉い。新聞の読者はみんな高齢者で、全部「コロナ怖い」だから。宮沢:『羽鳥慎一 モーニングショー』(テレビ朝日系)など、朝のワイドショーの視聴者層も、高齢者と専業主婦がメインですからね。これも「シルバー民主主義」の一種。小林:そう、そう。メインの視聴者が高齢者だから、そこに迎合している。「老人の命を守れ」「若いヤツらは出歩くな」でしょ。それで経済が崩壊して、子供や女性の自殺が増えたって平気なんだから。ただ、テレビが全然ダメだから、ネットでなんとかと思っても、言論封殺はネットにも及んでいるんですよ。 わしが作家の泉美木蘭さんとやっている『よしりん・もくれんのオドレら正気か?』のユーチューブの動画も削除されたからね。向こうから送り付けられてきたメールには、昨年6月20日配信分の内容がガイドラインに反していると書かれていて、一方的に削除された。 メールには「社会的距離や自己隔離に関する世界保健機関(WHO)や地域の保健当局のガイダンスの有効性に明示的に異議を唱え、人々をそのガイダンスに反して行動させる可能性があるコンテンツ」は許可しないと書かれていて、ガイドラインのページには、「特定の気候や地域、特定の集団や個人では感染が拡大しないと主張するコンテンツは削除対象になる」とあった。 だけど、日本や韓国、中国、台湾など東アジアの感染率や重症化率が欧米より低いのは明らかで、数字を見れば誰でもわかるのに、それを語ったら削除されるんだよ。こんなバカな話があるかと。宮沢:民族によってウイルスの感受性が違うことは、普通にあります。エイズはそうです。ウイルス感染によって引き起こされる白血病もそうですね。個体差はあるし、民族差も厳然と存在します。だから、ヨーロッパで重症化するウイルスが日本で重症化するとは限らないのです。小林:だけど、それが理由で削除されたんだよ。宮沢:通報する人がいるんですよね。小林:そう、そう。洗脳された連中がSNSで人を集めて大勢で通報するんだよ。一般の人たちが言論封殺に加担するんですよ。 しかし、著作権侵害だとか犯罪を誘発するとか、そういう理由じゃなくて、今まさに国を挙げて議論になっているテーマで、国や自治体の政策に対して異議を唱えたら削除するって、これこそ全体主義じゃん。宮沢:いや、もう、信じられないですよね。小林:だけど、みんなコロナ脳になってしまって恐怖に支配されているから、それがおかしいと思わない。感染者が自由に歩き回っていたら危険だから隔離は仕方がない、政府の指示に異議を唱える言説は削除されても仕方がない、と思っている。それが全体主義だということに気づかない。宮沢:自由を捨ててもいいと思わせるほど、マスコミがコロナは怖いと脅かしたということでもありますね。【プロフィール】宮沢孝幸(みやざわ・たかゆき)/1964年東京都生まれ。兵庫県西宮市出身。東京大学農学部獣医畜産医学科、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程獣医学専攻修了。獣医学博士。現在、京都大学ウイルス・再生医科学研究所 ウイルス共進化分野准教授。小林よしのり(こばやし・よしのり)/ 1953年福岡県生まれ。漫画家。『東大一直線』でデビュー。『おぼっちゃまくん』でギャグ漫画に旋風を巻き起こす。1992年スタートの「ゴーマニズム宣言」は新しい社会派漫画、思想漫画として話題に。近著に、『コロナ論』。●2人の対談が収録された『コロナ脳』(小学館新書)は、4月1日発売。撮影/太田真三※週刊ポスト2021年4月9日号
2021.04.03 07:00
週刊ポスト
『コロナ論』著者・小林よしのり氏、京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授の宮沢孝幸氏
小林よしのり×宮沢孝幸 コロナの敵はデタラメ言い続けてきた専門家
 緊急事態宣言が解除されても、人々のコロナへの恐怖は消えない。それどころか、外出や会食をする人への非難は増すばかりだ。恐怖に支配された「コロナ脳」の“暴力性”を、ベストセラー『コロナ論』著者・小林よしのり氏と京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授の宮沢孝幸氏が語り合った。洗脳したのはテレビ小林:わしが「コロナはインフルエンザより怖くない」「過剰対策をやめろ」と発言すると、「コロナは怖い、怖い」とひたすら煽る連中に洗脳された“コロナ脳”の人たちがSNSなどで猛然と叩いてくるわけです。いくらデータを示して説得しても、洗脳されてコロナ脳になっているから、信じないし、「お前は嘘つきだ」と批判してくる。テレビから流れてくる情報やSNSで自分の周りの人間が言っていることを鵜呑みにするだけで、自分で調べようとしない。宮沢:おっしゃる通りで、私はウイルスを研究していて専門家のつもりですが、何か発言するたびにやたらと叩かれる。テレビにはウイルスどころか、感染症の専門家でもない町のお医者さんが出てきてデタラメをしゃべっているので、間違いをツイッターなどで指摘すると、「お前は専門家のくせにそんなことも知らないのか」と返ってきて唖然とするんです(笑)。小林:洗脳されてしまっているからね。宮沢:私も罵倒されれば腹が立ちますが、彼らは被害者でもあると思うんですね。だから、“コロナ脳”という言葉にはちょっとバカにしたニュアンスがあるので、本当はあまり使いたくない。洗脳したやつは誰やねんと。小林:それはわしも理解しています。ただ、洗脳を解くには、ちょっと強い言葉を使わないと、本人たちも気づかないと思うんですよ。ショック療法だと思って、あえて使っている。宮沢:ええ、わかります。小林:だから、本当の敵はコロナ脳の一般の人たちじゃなくて、テレビを中心とするマスコミであり、デタラメを言い続けてきた専門家であり、それらに引っ張られて過剰な対策をやり続けている政府なんですよ。 テレビは毎日、毎日、「今日の検査陽性者は何人。過去最多」ってやり続けているでしょう。あんなのを毎日見ていたら、心を病んでも不思議じゃない。宮沢:前日より減ったときでも、「火曜日としては最多」とか言って、なんとかして多く見せようとしている。爆破予告までされた小林:宮沢さんは関西のテレビにはよく出演しているんですよね。宮沢:ええ。昔から関西の番組と東京の番組では、論調が全然違うんですが、コロナに関してもまったくそのままですね。 大阪の番組だと、私の話をちゃんと聞いてくれる雰囲気があるんですよ。批判的な人ももちろんいますが、冷静に両者の意見を聞いてくれる。 ところが、たまに東京のテレビ番組に呼ばれると、空気が全然違う。事前の打ち合わせでディレクターさんから「宮沢さん、どんどん言ってくださいよ」って焚きつけられるんですが、いざ収録が始まると、私が何を話してもMC(司会)が全部ひっくり返していくんですね。他の出演者もまともに聞く気がなくて、私一人、暴論を吐いている悪者のようにされる。小林:新聞で言うところの「両論併記」ではなく、片方の情報しか流さないんだよな。 異論を唱える人間を呼んできて、みんなで袋叩きにして、面白がっているだけなんだよね。わしが見ていた番組でも、宮沢さんは完全に浮いていた(笑)。宮沢:ドン・キホーテみたいになっちゃうんですよ。つい熱くなってしまって。『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日系)でお医者さんが「感染者を1人も出しちゃいけないんです」って言うんですよ。ハァ?って思って、つい、指さして「お前なー!」って言ってしまったことがあります。反省しています。 団塊世代の男性タレントからも「老人を切り捨てていいのか。とにかく若者を止めろ」とか言われるから、頭に来て「お前なー!」と言いそうになった(笑)。自分だって若い頃、好き勝手していただろうに。小林:宮沢さんの場合、怒っているところが面白いと思われていて、冷静に科学的に説明しているところはキャラが出ていないから放送で使わない。テレビの基準なんてそんなもんですよ。宮沢:いつもこんな感じなので、東京の番組に出るたびに抗議の電話がかかってきたり、ネットに書き込まれるんですね。「暴力団雇って殺す」という脅しの電話や、「何月何日12時にどこそこを爆破する」という爆破予告まであった。その日時に本当にその場所に行く予定があったので、スケジュールがバレているってゾッとしましたよ。 嫌な思いしかしないので、今後は東京のテレビは断わろうかと思ったんですが、東京の番組は全国ネットだから、地方にもコロナへの恐怖感が拡散していくし、政策決定にも影響するんですよ。だから、これがどうにかならんかと思って。【プロフィール】小林よしのり(こばやし・よしのり)/ 1953年福岡県生まれ。漫画家。『東大一直線』でデビュー。『おぼっちゃまくん』でギャグ漫画に旋風を巻き起こす。1992年スタートの「ゴーマニズム宣言」は新しい社会派漫画、思想漫画として話題に。近著に、『コロナ論』。宮沢孝幸(みやざわ・たかゆき)/1964年東京都生まれ。兵庫県西宮市出身。東京大学農学部獣医畜産医学科、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程獣医学専攻修了。獣医学博士。現在、京都大学ウイルス・再生医科学研究所 ウイルス共進化分野准教授。●2人の対談が収録された『コロナ脳』(小学館新書)は、4月1日発売。撮影/太田真三※週刊ポスト2021年4月9日号
2021.04.02 07:00
週刊ポスト

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