国際情報

中国の教科書「731部隊」「南京百人斬り」などの捏造続行中

最近、中国の歴史教科書が変わりつつあるのだという。経済発展を遂げてようやく、中国共産党の主導してきた「反帝国主義闘争の歴史」が世界標準ではないことに気づいたというわけだ。しかし、全く変わっていない記述がある。捏造資料にもとづいた反日史観である。拓殖大学客員教授の藤岡信勝氏が解説する。

* * *
中国の歴史の教科書には、注目すべき動きがあるとはいえ、当局にとって都合の悪いことは記述しないという原則は不変だ。

『歴史と社会』は第2次世界大戦後の失敗と挫折として「大躍進」や「文化大革命」についても説明し、また改革開放による中国の発展を記述しているが、中国共産党が弾圧した「チベット」の歴史には一言も言及していない。

この歴史教科書の中で看過できないのは「抗日戦争」の部分である。 経済発展の中で、グローバルな人材を育成するために世界史の観点が大幅に導入され、かつ簡略化されているにもかかわらず、「抗日戦争」については「第五課 万民の心を一つにした抗日戦争」として7ページに渡って詳述している。写真もふんだんに掲載されている。

「731部隊の人間細菌実験」「南京の百人斬り」など、日本ではすでに間違いであると証明されている写真がたくさん使われているのである。

甚だしくは「東史郎」を写真とともに紹介し、英雄扱いしていることだ。「東史郎は当時南京大虐殺に参加した日本の老兵である。彼は、歴史の真実を世に知らしめるため、侵略戦争時期の日記を発表した」と説明しているが、彼は、その日記をめぐって元上官から名誉毀損で提訴され、2000年、日本の最高裁で敗訴している人物だ。

中国の歴史教科書は、その歴史観を変えても日本に対する記述だけは変わることがない。それは、唯一、中国共産党の正統性の根拠となる歴史だからである。

2008年に発行された『歴史と社会』の教師用指導書には、第五課の抗日戦争の「教学要求」として、「日本が始めた中国侵略戦争が前々からたくらんでいたもので、日本侵略軍は中国を侵略する過程で甚だ大きな犯罪行為を犯しており、血の教訓は永遠に心に刻むべきだということを認識できる」と書いている。

抗日戦争に関する限り、捏造された歴史は全く変わっていないのである。

※SAPIO2011年1月6日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
女優・趣里の結婚相手は“結婚詐欺疑惑”BE:FIRST三山凌輝、父の水谷豊が娘に求める「恋愛のかたち」
NEWSポストセブン
タレントで医師の西川史子。SNSは1年3ヶ月間更新されていない(写真は2009年)
《脳出血で活動休止中・西川史子の現在》昨年末に「1億円マンション売却」、勤務先クリニックは休職、SNS投稿はストップ…復帰を目指して万全の体制でリハビリ
NEWSポストセブン
中川翔子インスタグラム@shoko55mmtsより。4月に行われた「フレンズ・オブ・ディズニー・コンサート2025」には10周年を皆勤賞で参加し、ラプンツェルの『自由への扉』など歌った。
【速報・中川翔子が独立&妊娠発表】 “レベル40”のバースデーライブ直前で発表となった理由
NEWSポストセブン
『ザ・ノンフィクション』に出演し話題となった古着店オーナー・あいりさん
〈一緒に働いている男性スタッフは彼氏?〉下北沢の古着店社長・あいりさん(20)が明かした『ザ・ノンフィクション』の“困った反響”《SNSのルックス売りは「なんか嫌」》
NEWSポストセブン
“凡ちゃん”こと大木凡人(ぼんど)さんにインタビュー
「仕事から帰ると家が空っぽに…」大木凡人さんが明かした13歳年下妻との“熟年離婚、部屋に残されていた1通の“手紙”
NEWSポストセブン
太田基裕に恋人が発覚(左:SNSより)
人気2.5次元俳優・太田基裕(38)が元国民的アイドルと“真剣同棲愛”「2人は絶妙な距離を空けて歩いていました」《プロアイドルならではの隠密デート》
NEWSポストセブン
『ザ・ノンフィクション』に出演し話題となった古着店オーナー・あいりさん
《“美女すぎる”でバズった下北沢の女子大生社長(20)》「お金、好きです」上京1年目で両親から借金して起業『ザ・ノンフィクション』に出演して「印象悪いよ」と言われたワケ
NEWSポストセブン
奈良公園で盗撮したのではないかと問題視されている写真(左)と、盗撮トラブルで“写真撮影禁止”を決断したある有名神社(左・SNSより、右・公式SNSより)
《観光地で相次ぐ“盗撮”問題》奈良・シカの次は大阪・今宮戎神社 “福娘盗撮トラブル”に苦渋の「敷地内で人物の撮影一切禁止」を決断 神社側は「ご奉仕行為の妨げとなる」
NEWSポストセブン
“凡ちゃん”こと大木凡人(ぼんど)さんにインタビュー
《“手術中に亡くなるかも”から10年》79歳になった大木凡人さん 映画にも悪役で出演「求められるのは嬉しいこと」芸歴50年超の現役司会者の現在
NEWSポストセブン
花の井役を演じる小芝風花(NHKホームページより)
“清純派女優”小芝風花が大河『べらぼう』で“妖艶な遊女”役を好演 中国在住の実父に「異国まで届く評判」聞いた
NEWSポストセブン
第一子を出産した真美子さんと大谷
《デコピンと「ゆったり服」でお出かけ》真美子さん、大谷翔平が明かした「病院通い」に心配の声も…出産直前に見られていた「ポルシェで元気そうな外出」
NEWSポストセブン
2000年代からテレビや雑誌の辛口ファッションチェックで広く知られるようになったドン小西さん
《今夏の再婚を告白》デザイナー・ドン小西さんが選んだお相手は元妻「今年70になります」「やっぱり中身だなあ」
NEWSポストセブン