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スカイツリー 地上500mのアンテナ設置作業の試行錯誤

アンテナが設置された東京スカイツリー先端部

 完成間近、東京スカイツリーの先端には地デジアンテナが設置されている。地上500メートルを超える高さでの設置作業は、いかにして行なわれているのか、日立電線・東京スカイツリープロジェクト室・設計グループ・マネージャーの宮田剛志氏に聞いた。

 * * *
 これまでに経験のない国内最高の高さとなる地上500メートルの場所での作業ですので、安全に工事を進めるため、ゲイン塔(※)と同じ寸法の模擬塔を当社の茨城県・高砂工場内に作り、作業スタッフ全員で何度も設置工事のリハーサルを重ねてきました。懸念があれば即座に検討をするわけです。

 たとえば、凧のようなアンテナの形状が風に煽られやすいことがわかると、直ちにゲイン塔の6本の支柱にレールを設置。アンテナを一度レールに固定し、風の影響を受けないように、人力で所定の位置まで引き上げ、すぐにボルトで留める対策をとりました。地デジ放送用のアンテナは、秒速110メートルの風にも耐えるよう設計され、先端のゲイン塔を囲むように、全部で640 面を設置しています。

 徹底した事前シミュレーションのかいもあり、今年1月末、無事設置工事は完了。

 高さが634メートルに到達した際、アンテナに放送用の信号を送るためのケーブルの配線工事を行ない完成となります。1メートルあたり7~8キロある数百メートルのケーブルを、傾斜70度の階段を登ってつないでいく作業が待ち構えています。

【※】ゲイン塔/東京スカイツリーの頂上部でアンテナが取り付けられている部分。アンテナは1ユニット4段20面2システムの多面合成式で、4ユニット合計640面から構成される。

撮影■丹羽敏通

※週刊ポスト2011年3月11日号

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