国内

企業の義捐金金額 業界他社の金額を見てから決定との証言

 東北関東大震災では多くの企業が義捐金・支援物資を送ったが、金額は似たようなものになる傾向がある。たとえば、銀行業界は三菱東京UFJ銀行が3億円、みずほフィナンシャルグループと三井住友銀行が1億円。商社では、三菱商事が4億円、三井物産が4億円。生保業界では日本生命が1億円、第一生命が1億円といった具合だ。大手紙・経済部記者は、こう指摘する。

「業界ごとで金額が横並びでしょう。そこに日本企業の悪弊が現われています。おそらく義捐金額は、業界団体の繋がりで連絡を取り合い、例えば自動車業界なら『トヨタさんがこれくらいならウチは……』と決めているはず。普段はさほど連携していない業界がこんなときだけ結束を固めるのは皮肉です。同業他社より少ない金額で恥をかきたくないという思いもあるのでしょう」

 義捐金の決定経緯については、不明瞭さがまとわりつく。三菱東京UFJ銀行の広報部に話を聞いた。

「震災直後は1億円だったのですが、その後、被害状況が明らかになってきたので増額して3億円になりました。被害の状況がこれぐらいだからという定量的な判断基準はありません。企業の社会的責任を踏まえて、金額は算出しています」

 そして、同行は、業界団体との関わりについて、「最初に発表しているので他行と歩調を合わせて金額を決定したなんてありえない」ときっぱりと否定している。

 ただし、他行の広報部は匿名を条件にこう証言した。

「うちは三菱東京UFJがいくらぐらい出したかを見てから金額を議論しました。そして周りが全て出そろってから、義捐金を発表した。最大手は例外として、どこの業界もこうした金額決定の経緯を辿っているはず」

※週刊ポスト2011年4月8日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン