国内

NHK朝ドラ 「オリャー」と言う小林薫の「ドヤし顔」が凄い

毎朝放映中のNHK連続テレビ小説『カーネーション』の視聴率が好調だ。人気の秘密は? 作家で五感生活研究所の山下柚実氏は、岸和田だんじりオヤジを演じる小林薫に注目する。以下は、山下氏の視点だ。

 * * *
 今一番、父親像としてもっとも魅力的な男優は? と聞かれたら、迷わず真っ先にあげたくなるのが、小林薫の名前です。

 毎朝放映中のNHK連続テレビ小説『カーネーション』。

 ファッションデザイナー、コシノヒロコ・ジュンコ・ミチコ3姉妹を育てた母親、小篠綾子の人生を描く大正~昭和の物語。初回の視聴率16.1%からスタートし、じわじわと視聴率が上がってきている、話題のドラマです。

 中でもピカ一なのが、コテコテの岸和田だんじりオヤジを演じる小林薫。その「ドヤし顔」がすごい。眉間にシワを寄せて「オリャー」と怒鳴ると、こっちのり胸がすうっとすく。

 迷い無く思い切りのよいセリフまわし、頑固と気弱が同居する庶民的な呉服屋のオヤジを、実にリアルに演じています。

「どや顔」といえば、一般的には関西弁の「どうや?」から生まれた「得意げな顔」「したりげな顔」の意味で使われていますが、小林薫の場合、ドヤす顔、「ドヤし顔」が人を惹きつけて魅力的です。

 若い頃は唐十郎の状況劇場に参加し、りりしく美しい二枚目ながら妖しいアングラ・テント芝居を演じきった、伝説の役者。その小林薫が今、まるで清原和博にダブッて見えてくるから、すごい演技力。

 このドラマの人気の秘密は他にもあります。

 大正~昭和初期の大阪のまちという「異空間」を衣装、岸和田弁のイントネーション、祭りや路地の風俗、陰影を強調した照明、セットの作り含めて、細部にいたって実によく立ち上がらせている点でしょう。

 視聴者は思わず、過去のまち空間に引きずりこまれてしまうのです。

 だからこそ、一つ残念なこと。それは、ドラマ『カーネーション』が終わったとたん、余韻にひたる間もなく、次の番組『あさイチ』に切り替わってしまうことです。 

 先日は「セックスレス」特集で賛否両論、大沸騰した、あのベタな番組に。その冒頭でいちいち今日の「カーネーション」の中味についての陳腐な感想を、司会のイノッチや有働アナがしゃべるのも困ります。

 なぜなら視聴者は、昭和の岸和田の異空間に浸り、その芝居世界を楽しんでいるのです。もっともっとドラマの余韻に浸っていたい。それなのに、二つの番組を接続させる構成によって、背中に冷水を浴びせられ、たちまち日常へと無理矢理引き戻されてしまうからです。

 いったい誰が、この地続きの構成を考えたのでしょうか。とても視聴者サービスとは思えません。

関連記事

トピックス

ハワイの別荘と合わせて、真美子夫人との愛の巣には約40億円を投資
【12億円新居購入】大谷翔平、“水原一平騒動”で予想外の引っ越し 日系コミュニティーと距離を置き“利便性より静けさ”を重視か
女性セブン
パルテノン神殿での佳子さま
ギリシャをご訪問の佳子さま、パルテノン神殿では青と白の“ギリシャカラー”のカジュアルな装いでお出まし
女性セブン
殺害未遂の現場となった海辺
軽トラで海に突き落とし、雪の上にうつぶせにさせて除雪機で…青森轢き殺し事件の裁判でわかった被告の「凄惨すぎる手口」と判決で一蹴された釈明
週刊ポスト
早くも今夏から『SHOGUN 将軍』新シーズンの脚本に取り掛かるという(写真/CNP=時事)
【独占告白】真田広之と手塚理美の次男・日南人が俳優に 父からのエール「自分のやりたいことをやれ。何かあれば相談に乗る」
女性セブン
不倫疑惑に巻き込まれた星野源(『GQ』HPより)とNHK林田アナ
《星野源と新垣結衣が生声否定》「ネカフェ生活」林田理沙アナが巻き込まれた“不倫疑惑”にNHKが沈黙を続ける理由 炎上翌日に行われた“聞き取り調査”
NEWSポストセブン
1996年11月、山中温泉こおろぎ橋にて 
《大ヒット昼ドラマ『はるちゃん』》“老舗旅館の仲居役”の女優・中原果南が明かしたハマり役その後の葛藤「もがいた30代の10年間でした」
NEWSポストセブン
噺家生活15周年を迎えた月亭方正(撮影/小倉雄一郎)
「僕は居心地がよくなかった」 噺家生活15年・月亭方正が落語にのめり込んだ理由 立川志の輔に「『鼠穴』を教えてください」と直談判
NEWSポストセブン
主犯の十枝内容疑者
【青森密閉殺人】会社社長の殺人を支えた元社員は覚醒剤常習者「目がイッちゃって…」「人を殺すなら中国人に頼めば5〜6万円で跡形もなく……」の意味深発言
NEWSポストセブン
亡くなったことがわかったシャニさん(本人のSNSより)
《ボーイフレンドも毒牙に…》ハマスに半裸で連行された22歳女性の死亡が確認「男女見境ない」暴力の地獄絵図
NEWSポストセブン
殺人を犯すようには見えなかったという十枝内容疑者(Facebookより)
【青森密閉殺人】「俺の人生は終わった」残忍な犯行後にキャバクラに来店した主犯格の社長、女性キャストが感じた恐怖「怒ったり、喜んだり感情の起伏が…」近所で除雪手伝いの裏の顔
NEWSポストセブン
大谷が購入した豪邸(ロサンゼルス・タイムス電子版より)
大谷翔平がロスに12億円豪邸を購入、25億円別荘に続く大きな買い物も「意外と堅実」「家族思い」と好感度アップ 水原騒動後の“変化”も影響
NEWSポストセブン
杉咲花
【全文公開】杉咲花、『アンメット』で共演中の若葉竜也と熱愛 自宅から“時差出勤”、現場以外で会っていることは「公然の秘密」
女性セブン