芸能

「僕は居心地がよくなかった」 噺家生活15年・月亭方正が落語にのめり込んだ理由 立川志の輔に「『鼠穴』を教えてください」と直談判

噺家生活15周年を迎えた月亭方正(撮影/小倉雄一郎)

噺家生活15周年を迎えた月亭方正(撮影/小倉雄一郎)

 40歳にして落語家への転身を志し、今年で噺家生活15周年を迎えた月亭方正(56)。『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』をはじめ、テレビで活躍していた方正が2008年、落語への挑戦を発表すると衝撃をもって受け止められた。テレビタレントから落語の道を選んだ経緯を、ノンフィクションライターの中村計氏が聞いた。(全3回の第1回)

──私はおそらく方正さんが落語家になってまだ2年目か3年目くらいのときに高座を観たことがあるのですが、その舞台度胸に驚きました。やはりテレビで長年、活躍してきた人はこんなにも違うものなのか、と。

方正:必死やったんで、僕にはわからないんですけど。でも、どんな世界でも20年はかかると思いますよ。僕は19歳でこの世界に入って、20年ぐらいでやっとテレビの職人になれたんです。たとえば、『アッコにおまかせ!』で、勝俣(州和)さんが病欠して、「方正、ちょっと頼むわ」って30分前に言われたとしても現場で何とか対応できる。それができるようになるまで20年かかったんですよ。

──せっかくテレビの職人になれたのに、なぜ落語家に転身されたのですか。

方正:僕は本籍地が欲しかったんです。本籍地というか、これが職業ですと言えるものが。たとえば、千鳥やったら漫才師ですと言えるわけですよね。かまいたちなら、漫才師ですとも言えるし、コント師ですとも言える。ただ、僕にはそういうものがなかった。それがすごいストレスだったんです。

──でも、いわゆるテレビタレントと呼ばれる人たちは、そういう人が多いような気もしますが。

方正:もちろん、そういう人はいっぱいます。でも、僕は嫌だったんです。僕はテレビでいつもダメ人間のような扱いを受けていたんですけど、それも居心地はよくなかった。ダメ人間やと思ったこともないですし。ただ、いじめられっ子だったり、スベり芸を得意とする芸人みたいな着ぐるみを着ていると、お金が回るし、ちやほやもされる。最初の20年は、お金を稼ぐとはこういうことなんやと思っていたんです。嫌なものを受け入れなあかんのやな、と。でも40歳を目の前にして、自分がこうなりたいと思っていた芸人像とのギャップがあまりにもすごくて。僕は目の前のお客さんを笑わせたいという思いでこの世界に入ってきたんですけど、自分の核というか、そのための武器を何も持っていなかったんです。

関連記事

トピックス

今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
国仲涼子が語る“46歳の現在地”とは
【朝ドラ『ちゅらさん』から24年】国仲涼子が語る“46歳の現在地”「しわだって、それは増えます」 肩肘張らない考え方ができる転機になった子育てと出会い
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン
インフルエンサーの景井ひなが愛犬を巡り裁判トラブルを抱えていた(Instagramより)
《「愛犬・もち太くん」はどっちの子?》フォロワー1000万人TikToker 景井ひなが”元同居人“と“裁判トラブル”、法廷では「毎日モラハラを受けた」という主張も
NEWSポストセブン
兵庫県知事選挙が告示され、第一声を上げる政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏。2024年10月31日(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志容疑者、14年前”無名”の取材者として会見に姿を見せていた「変わった人が来るらしい」と噂に マイクを持って語ったこと
NEWSポストセブン
千葉ロッテの新監督に就任したサブロー氏(時事通信フォト)
ロッテ新監督・サブロー氏を支える『1ヶ月1万円生活』で脚光浴びた元アイドル妻の“茶髪美白”の現在
NEWSポストセブン
ロサンゼルスから帰国したKing&Princeの永瀬廉
《寒いのに素足にサンダルで…》キンプリ・永瀬廉、“全身ブラック”姿で羽田空港に降り立ち周囲騒然【紅白出場へ】
NEWSポストセブン
騒動から約2ヶ月が経過
《「もう二度と行かねえ」投稿から2ヶ月》埼玉県の人気ラーメン店が“炎上”…店主が明かした投稿者A氏への“本音”と現在「客足は変わっていません」
NEWSポストセブン
自宅前には花が手向けられていた(本人のインスタグラムより)
「『子どもは旦那さんに任せましょう』と警察から言われたと…」車椅子インフルエンサー・鈴木沙月容疑者の知人が明かした「犯行前日のSOS」とは《親権めぐり0歳児刺殺》
NEWSポストセブン
10月31日、イベントに参加していた小栗旬
深夜の港区に“とんでもないヒゲの山田孝之”が…イベント打ち上げで小栗旬、三浦翔平らに囲まれた意外な「最年少女性」の存在《「赤西軍団」の一部が集結》
NEWSポストセブン
スシローで起きたある配信者の迷惑行為が問題視されている(HP/読者提供)
《全身タトゥー男がガリ直食い》迷惑配信でスシローに警察が出動 運営元は「警察にご相談したことも事実です」
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月10日、JMPA)
《初の外国公式訪問を報告》愛子さまの参拝スタイルは美智子さまから“受け継がれた”エレガントなケープデザイン スタンドカラーでシャープな印象に
NEWSポストセブン