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企業にゴマする日経新聞は“日本財界新聞”だと大前研一氏

オリンパス・ショックで浮き彫りとなった大きな問題は、日本のマスコミの機能不全だ。日本経済新聞をはじめとする全国紙や通信社は、最後の最後までこの問題を無視した。大前研一氏がオリンパス問題とマスコミの報道姿勢について指摘する。

* * *
実はオリンパス問題は、すでに7月の時点で月刊誌『FACTA』が報じている。今回告発したマイケル・ウッドフォード元社長も、その記事を友人が英訳して持ってきてくれて初めて事の重大さを知り、外部機関に調査を依頼したと語っている。

しかし、日本経済新聞をはじめとする全国紙や通信社は、最後の最後までこれを無視した。

ジャイラス買収時などの不明朗な支出を指摘して臨時取締役会で社長を解任されたウッドフォード氏が『フィナンシャル・タイムズ』に駆け込んで内幕を暴露しても、まだ報じなかった。それどころか、「独断専行的な経営判断で物事が進んだ」「他の経営陣と経営方針・手法が乖離した」という菊川剛会長(当時)が話す解任理由をそのまま垂れ流した。

日経新聞などがオリンパスの損失隠しを1面トップで大々的に報じたのは、『フィナンシャル・タイムズ』から3週間以上、『FACTA』からは4か月も遅れた11月8日で、東証や証券取引等監視委員会が動き始めてからである。

しかも、その記事は各紙とも極めて詳細な内容だった。つまり大新聞は、書き切れないほど多くの情報をそれ以前に集めていながら、書かなかったのである。今さら自分たちが知っていたとは書けないし、エリート意識が邪魔をして知らなかったとも書けない。だから書かない、という選択なのだ。

当局が調査を開始すると、それを建前にしてようやく克明に書く。これは報道機関の役割としては、実に不十分だ。

イギリスには『フィナンシャル・タイムズ』が、アメリカには『ウォール・ストリート・ジャーナル』があり、企業の不正に目を光らせる役割を果たしている。それが日経にはないのである。

広告主に対しておもねり、ゴマをするばかりで、よほどのことがなければ批判的な記事は書かない。報道機関としての機能を完全に喪失している。このお粗末な体質から卒業しない限り、日本経済新聞は“日本財界新聞”でしかない。

※週刊ポスト2011年12月9日号

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