国内

名古屋ラーメン 極太・極長30本入りでメンマ消費量日本一?

名古屋ラーメンの極太・極長メンマ

 日本の中で独特の食文化を金のしゃちほこのように誇る名古屋。味噌カツ、天むす、手羽先の唐揚げ……しかしラーメンは? 名古屋に地元ラーメンはあるのか? あるのだ! しかも独自の松竹梅システムも存在した。食事情に詳しいライター・編集者の松浦達也氏が、驚愕の名古屋ラーメンをレポートする。

 * * *
 名古屋の「食」と言えば、手羽先の唐揚げ、ひつまぶし、天むす、味噌カツなど、明らかに他の地方と一線を画した独自色の強いものが、話題になることが多い。麺類も然り。きしめんという全国でも希少な平打ち麺があり、味噌煮込みうどんという独自の進化を遂げた煮込み麺料理もある。

 実際、こうした特徴のある麺類がメジャーだったからこそ、名古屋には「名古屋ラーメンがない」とも言われる。だが、名古屋は中京圏の出身者誰もが懐かしむ「スガキヤ」ラーメンの総本山。また、“台湾ラーメン”と言われる、炒めたひき肉とニラを具とした辛いスープのラーメンも名古屋のご当地ラーメンとして知られている。さらにもうひとつ、名古屋には“好来系”と言われるラーメンがある。

 1959年創業の「好来」をその祖とし、“インスパイア系”も含め、現在その遺伝子を組む店舗は約20を数えるという。枝分かれが進んだ現在では、独自の味わいを見せる店も多いが、そもそもは「薬膳系」とも言われる際だった特徴を備えていた。その象徴が卓上に置かれた「朝鮮人参酢」「高麗人参酢」と言われる酢である。

 スープの味自体は、豚骨や鶏ガラ、野菜などを使った濃すぎず、薄すぎずという万人向けのやさしいスープだ。それ故、途中でコショウやガーリックパウダー、自家製ラー油などを加えて、味の変化を楽しむ人も多いが、ここまでは薬膳感はほとんどない。〆に、前出の朝鮮人参酢を加えたところで、一気に薬膳感が丼から漂ってくる。あっさり系のラーメンが好みなら、途中の強い調味料を飛ばして「酢」の変化を楽しむだけでも十分かもしれない。

 そして直系店における、もうひとつの大きな特徴が、「松」「竹」「寿」などめでたい香りが漂う品書きだ。松はチャーシューとメンマが普通に入ったラーメン、「竹」はメンマ多め、「寿」はチャーシュー多めを指している。チャーシューは東京・千駄ヶ谷ホープ軒にも似たバラ肉ロールの煮込み系で、口に運ぶとほろりと崩れる。「寿」ではそのチャーシューがえりまきのように、丼の回りをグルリと敷き詰められている。

 だが何よりの衝撃は「竹」だ。好来系のメンマは太さ約1cm四方、長さも6~10cm程度はある、しっかりしたものが多い。歯ごたえが適度に残る程度に煮込まれた、その極太メンマが「竹」には、約20~30本、店舗によってはそれ以上の数が投入されている。麺の上に数枚のチャーシューが載り、さらにドッサリとメンマが載せられ、肉眼ではまったく麺が確認できない。太めのしっかりした麺なので、そう簡単には麺がのびるわけではないが、人によっては麺にたどり着く前に、メンマだけで満腹になりかねない。

 そういえば、名古屋人のソウルフードとしても挙げられる、前出のスガキヤのラーメンもメンマの存在感が強く、その味も地元では高い評価を得ているという。もし「市民1人あたりのメンマ消費量」調査があれば、名古屋は日本一になるのではないか。そう思えるほどの量だった。もっとも、国内のラーメンで使われるほとんどのメンマは中国・台湾産ということもあり、全国的な消費量調査は難しいかもしれないが。

関連キーワード

関連記事

トピックス

第1子を出産した真美子さんと大谷(/時事通信フォト)
《母と2人で異国の子育て》真美子さんを支える「幼少期から大好きだったディズニーソング」…セーラームーン並みにテンションがアガる好きな曲「大谷に“布教”したんじゃ?」
NEWSポストセブン
俳優・北村総一朗さん
《今年90歳の『踊る大捜査線』湾岸署署長》俳優・北村総一朗が語った22歳年下夫人への感謝「人生最大の不幸が戦争体験なら、人生最大の幸せは妻と出会ったこと」
NEWSポストセブン
コムズ被告主催のパーティーにはジャスティン・ビーバーも参加していた(Getty Images)
《米セレブの性パーティー“フリーク・オフ”に新展開》“シャスティン・ビーバー被害者説”を関係者が否定、〈まるで40代〉に激変も口を閉ざしていたワケ【ディディ事件】
NEWSポストセブン
漫才賞レース『THE SECOND』で躍動(c)フジテレビ
「お、お、おさむちゃんでーす!」漫才ブームから40年超で再爆発「ザ・ぼんち」の凄さ ノンスタ石田「名前を言っただけで笑いを取れる芸人なんて他にどれだけいます?」
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
「よだれを垂らして普通の状態ではなかった」レーサム創業者“薬物漬け性パーティー”が露呈した「緊迫の瞬間」〈田中剛容疑者、奥本美穂容疑者、小西木菜容疑者が逮捕〉
NEWSポストセブン
1泊2日の日程で石川県七尾市と志賀町をご訪問(2025年5月19日、撮影/JMPA)
《1泊2日で石川県へ》愛子さま、被災地ご訪問はパンツルック 「ホワイト」と「ブラック」の使い分けで見せた2つの大人コーデ
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で「虫が大量発生」という新たなトラブルが勃発(写真/読者提供)
《万博で「虫」大量発生…正体は》「キャー!」関西万博に響いた若い女性の悲鳴、専門家が解説する「一度羽化したユスリカの早期駆除は現実的でない」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《美女をあてがうスカウトの“恐ろしい手練手管”》有名国立大学に通う小西木菜容疑者(21)が“薬物漬けパーティー”に堕ちるまで〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者と逮捕〉
NEWSポストセブン
江夏豊氏が認める歴代阪神の名投手は誰か
江夏豊氏が選出する「歴代阪神の名投手10人」 レジェンドから個性派まで…甲子園のヤジに潰されなかった“なにくそという気概”を持った男たち
週刊ポスト
キャンパスライフを楽しむ悠仁さま(時事通信フォト)
悠仁さま、筑波大学で“バドミントンサークルに加入”情報、100人以上所属の大規模なサークルか 「皇室といえばテニス」のイメージが強いなか「異なる競技を自ら選ばれたそうです」と宮内庁担当記者
週刊ポスト
前田健太と早穂夫人(共同通信社)
《私は帰国することになりました》前田健太投手が米国残留を決断…別居中の元女子アナ妻がインスタで明かしていた「夫婦関係」
NEWSポストセブン
子役としても活躍する長男・崇徳くんとの2ショット(事務所提供)
《山田まりやが明かした別居の真相》「紙切れの契約に縛られず、もっと自由でいられるようになるべき」40代で決断した“円満別居”、始めた「シングルマザー支援事業」
NEWSポストセブン