国際情報

韓国政治 反日は常に相手攻撃の最もおいしいカードと事情通

 従軍慰安婦問題が再燃するなど冷え込む日韓関係だが、その原因の一つが、韓国側がことあるごとに「反日カード」をもち出してくることだ。そのとばっちりが日韓の防衛協力にも及んできている。産経新聞ソウル駐在特別記者の黒田勝弘氏が報告する。

 * * *
 日韓が防衛協力の一環として進めてきた「軍事秘密情報保護協定」問題が大騒ぎになっている。双方が締結で合意し、4月には当局者間で仮署名までしていたのに、韓国側の都合で締結が流れた。

「北の脅威」を前に日米韓の協力体制強化は必須なのに、日本とはイヤだというのだ。マスコミや野党陣営は日本に支配された過去の歴史を思い出し、日本が軍事的に韓国にかかわるのは困るといって「反日キャンペーン」を展開している。

 北朝鮮の突然の武力侵攻で始まった朝鮮戦争は、南端に追い詰められた韓国が国連軍(主力は米軍)の支援で辛うじて盛り返した。北朝鮮の背後には国境を接した中ソの支援があった。あの時、米軍参戦と日本の後方支援が無ければ韓国は滅亡していただろう。

 韓国では朝鮮戦争(1950~1953年)が勃発した6月を「護国の月」といい、戦争回顧など関連行事が毎年、大々的に行なわれるが、その「護国の6月」なのに韓国世論は朝鮮戦争の教訓に顔をそむけ、迂遠な歴史(大過去?)を持ち出し「反日情緒」に浸っていた。

 今回の協定は、両国が協力過程で交換する軍事関連情報を第三国に流出しないよう取り決めるもの。これがないとお互い安心して情報交換ができない。そしてどんな情報を提供するかはその国の判断による。

 日本はすでに米、仏、豪、NATOなどと締結しているが、韓国は日本よりはるかに多い24か国と結んでいる。その中には朝鮮戦争時の“旧敵”といっていいロシアまで含まれている。

 なのに日本とは困るというのだ。国際事情と国際常識にはそれなりに通じている軍や外交当局は当然、積極推進でやってきたが、締結目前で反日世論の壁にぶつかってしまった。野党陣営にとって反日は政府・与党揺さぶりの格好のネタだ。

 韓国政治で反日は、昔から相手攻撃のもっともおいしいカードである。「いまだ過去を反省していない(と韓国では常時、虚偽キャンペーンが展開されている)日本のような国と軍事協定を結んでいいのか!」と言いがかりを付けられると、とたんに政府・与党は腰砕けだ。

※SAPIO2012年8月1・8日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
ジャンボな夢を叶えた西郷真央(時事通信フォト)
【米メジャー大会制覇】女子ゴルフ・西郷真央“イップス”に苦しんだ絶不調期を救った「師匠・ジャンボ尾崎の言葉」
週刊ポスト
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
前回のヒジ手術の時と全く異なる事情とは(時事通信フォト)
大谷翔平、ドジャース先発陣故障者続出で急かされる「二刀流復活」への懸念 投手としてじっくり調整する機会を喪失、打撃への影響を危ぶむ声も
週刊ポスト
単独公務が増えている愛子さま(2025年5月、東京・新宿区。撮影/JMPA)
【雅子さまの背中を追いかけて単独公務が増加中】愛子さまが万博訪問“詳細な日程の公開”は異例 集客につなげたい主催者側の思惑か
女性セブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン
連日お泊まりが報じられた赤西仁と広瀬アリス
《広瀬アリスと交際発覚》赤西仁の隠さないデートに“今は彼に夢中” 交際後にカップルで匂わせ投稿か
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《離婚するかも…と田中圭は憔悴した様子》永野芽郁との不倫疑惑に元タレント妻は“もう限界”で堪忍袋の緒が切れた
NEWSポストセブン
成田市のアパートからアマンダさんの痛いが発見された(本人インスタグラムより)
《“日本愛”投稿した翌日に…》ブラジル人女性(30)が成田空港近くのアパートで遺体で発見、近隣住民が目撃していた“度重なる警察沙汰”「よくパトカーが来ていた」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! トランプ圧力で押し寄せる「危ない米国産食品」ほか
「週刊ポスト」本日発売! トランプ圧力で押し寄せる「危ない米国産食品」ほか
NEWSポストセブン