iPS細胞からつくった心筋細胞を重症の心臓病患者に移植したと主張したものの、そのほとんどが虚偽であることを認めた森口尚史氏の騒動。今回の大誤報の発信源である読売新聞では、処分問題でピリピリしている。そして、読売の報道を後追いし、各地方紙に配信して誤報を広げた共同通信のダメージは非常に大きかったようだ。
共同通信の社内状況について社員のひとりはこう話す。
「読売のスクープに慌てた編集局幹部が、医療・科学に疎いニューヨーク特派員に“現地にいる森口を取材しろ!”と怒鳴って取材させたんです。それと同時に国内でも科学部が取材を始めていたはずなのに、なぜ記事を止められなかったのか……。
そのニューヨーク特派員は東京に呼び戻されて、今“事情聴取”の最中ですが、加盟社の怒りは収まらない。当然、適切なアドバイスをしなかった科学部にも責任は及ぶと見られている」
その後、共同通信は19日に、編集局長の報酬を減額するなど計5人を懲戒処分とし、そのなかには科学部長も含まれていた。
※週刊ポスト2012年11月2日号