■AO・推薦で入学した生徒は「第一志望でも楽しくない」
当然ながら、AOや推薦入試で合格した生徒は、一般入試を受験する生徒に比べて、高校3年生時の勉強時間は短い。26日に発表されたベネッセコーポレーションの調査によると、AO・推薦入学者の約半数が、高校3年生時の勉強時間は「1日1時間未満」と回答している。
ベネッセでは、そんな生徒たちが大学に入学したあとの学習意欲についても調査。すると、第一志望の大学にもかかわらず、「大学での勉強が楽しくない」「勉強や研究を続けていくことに対して喜びや自信を感じない」という生徒は、一般入試で入学した生徒に比べ、AO・推薦入試で入学した生徒のほうが多い。
「そもそも学習習慣がないことに加え、『どうしても入りたくて入った』わけではないので、意欲も低い。楽しいはずがありません。当然一般入試で入った子に比べ、だんだん行かなくなる率も高いです」(予備校講師、以下「」内同)
■一般入試でも「努力した」自信の有無が、その後の進路を左右する
さらにベネッセでは、一般入試で受験した生徒たちのなかで、「(受験生時代に)努力し続けた人」と、「努力し続けたとはいえない人」に分けて調査している。すると、「努力し続けた」人のほうが、「卒業後の就職」や「将来つく職業」などについて貪欲であることがわかった。「努力し続けたとはいえない」層は、「安定していて長く続けられる仕事をしたい」「普通の生活に困らない程度の仕事ができればいい」など、安定志向がみてとれる。
「その“安定”も、努力して得られる“安定”ではなく、“今のままでいけるところでいいや”という、淡白なスタンス。“自分に無理をしない”んです。
最初はまず、根拠のない夢や目標があって、それに向かって努力するもの。その努力をするなかで、自分のできること・できないことを見極めて、大人になっていくんです。そして努力というものには“無理”がつきものですが、“無理をしない”とはつまり、“努力をしない”と言い換えることができるかもしれません。
大学に“入ればいい”という時代はとっくに終わっています。むしろ入学の仕方が、その後の大学生活、そして就職に対するスタンスに関わってくることを、教育関係者が真剣に考える必要があるでしょう」