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ピロリ菌減少の欧米では胃がんも減少 日本も若い世代で激減

 慢性胃炎はかつて食後の胃の不快感や胃もたれ、胃痛など胃の不定愁訴の総称として付けられた病名である。その後、ピロリ菌の存在が確認され、慢性胃炎はピロリ菌の感染で長期間にわたり慢性的に炎症が起こっている状態であることがわかってきた。

 感染し、炎症が起こっていても自覚症状が全くない人も多い。現在60歳以上の日本人約70%がピロリ菌を持っているが、40代では約20%、高校生ではわずか5%しか持っていない。

 東京医科大学病院消化器内科の後藤田卓志准教授に話を聞いた。

「ピロリ菌は途上国の感染症といわれ、経済的発展で環境がよくなるにつれて減少します。欧米は100年かけて経済がゆっくり発達し、それに伴いピロリ菌が減り胃がんも減少しました。知り合いの米国内視鏡医が『最後に診た胃がんは1975年だった』といったのは衝撃的でした。日本は戦後、急激に経済発展を遂げたので現在の60歳以上の方に保菌者が多いのです」

 ピロリ菌は通常5歳までに感染し、除菌をしない限りずっと生息し炎症が続く。日本でも若い世代ではピロリ菌保菌者が激減しており、将来的には胃がんが減少に向かうことが予測される。

■取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2013年1月1・11日号

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