国内

金融円滑化法終了で100万人超の中小企業社員に影響との推測

 2013年は企業倒産が相次ぎ経済格差がさらに拡大するその引き金を引くのは3月末の金融モラトリアム法(中小企業金融円滑化法)の終了だ。その時、何が起きるのか。金融ジャーナリストの森岡英樹氏が解説する。

 * * *
 中小企業金融円滑化法(以下、円滑化法)により金融機関が融資条件を緩和した中小企業は、全国420万社の約1割に相当する30万~40万社に上ると見られている。累計の融資金額は約80兆円に達する。特に目立つのは同一企業が何度も申請するケースで、30万~40万社のうち「5万~6万社は転廃業が必要」(金融庁幹部)と指摘されている。本業で再生する見込みのない“倒産予備軍”という意味だ。

 2009年に施行された円滑化法は、もう1年、あと1年と繰り返し延長されてきたが、昨年の延長が「最後」と定められ、この3月に終了する。シャープやパナソニックなど電機メーカーによる大規模なリストラの皺寄せも取引先中小企業に及んでおり、そこに円滑化法の終了が重なれば“首の皮一枚”で生き延びてきた中小企業の資金繰りが一気に悪化し、バタバタと倒産しかねない。

 前出の5万~6万社で働く55万人強(推計)以外にも解雇される、あるいは正社員から非正規などに契約変更される被雇用者は2013年にはますます増えるだろう。仕事を失わないまでも、待遇の悪化など、100万人を超える中小企業社員に影響が及ぶと推測される。

 たとえ “倒産予備軍”に入っていなくても、円滑化法で一時的に資金繰りが改善されている中小企業30万~40万社の「儲からない」実態は円滑化法施行後も変わっていない。「倒産の先送りで“ゾンビ企業”を増やした」という指摘すらある。

 根本的な再建にはリストラと新たな成長戦略が必要だが、中小企業が自ら改革するのは難しく、円滑化法が定めた「1年以内の再建計画」すら、まともに作れない企業が多い。

※SAPIO2013年2月号

関連記事

トピックス

大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
焼酎とウイスキーはロックかストレートのみで飲むスタイル
《松本の不動産王として悠々自適》「銃弾5発を浴びて生還」テコンドー協会“最強のボス”金原昇氏が語る壮絶半生と知られざる教育者の素顔
NEWSポストセブン
沖縄県那覇市の「未成年バー」で
《震える手に泳ぐ視線…未成年衝撃画像》ゾンビタバコ、大麻、コカインが蔓延する「未成年バー」の実態とは 少年は「あれはヤバい。吸ったら終わり」と証言
NEWSポストセブン
米ルイジアナ州で12歳の少年がワニに襲われ死亡した事件が起きた(Facebook /ワニの写真はサンプルです)
《米・12歳少年がワニに襲われ死亡》発見時に「ワニが少年を隠そうとしていた」…背景には4児ママによる“悪辣な虐待”「生後3か月に暴行して脳に損傷」「新生児からコカイン反応」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン
“1日で100人と関係を持つ”動画で物議を醸したイギリス出身の女性インフルエンサー、リリー・フィリップス(インスタグラムより)
《“1日で100人と関係を持つ”で物議》イギリス・金髪ロングの美人インフルエンサー(24)を襲った危険なトラブル 父親は「育て方を間違えたんじゃ…」と後悔
NEWSポストセブン
自宅への家宅捜索が報じられた米倉(時事通信)
米倉涼子“ガサ入れ報道”の背景に「麻薬取締部の長く続く捜査」 社会部記者は「米倉さんはマトリからの調べに誠実に対応している」