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弔辞読む能力のある友人と御弔辞倶楽部結成すべきとみうら氏

 みうらじゅん氏は、1958年京都生まれ。イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャン、ラジオDJなど幅広いジャンルで活躍。1997年「マイブーム」で流行語大賞受賞。仏教への造詣が深く、『見仏記』『マイ仏教』などの著書もある同氏が、生前に御弔辞倶楽部(ごちょうじくらぶ)を作っておくほうがいいと訴える。

 * * *
 感動も余韻もなにもない、つまらない弔辞っていうのは、人が死んでからあわてて考えているからそうなる。だから私は自分の弔辞にこのくらいの準備は絶対にしておきたい。

 もしかすると弔辞を頼んでいた人の方が私よりも先に逝ってしまうこともあるかもしれない。そんな時は、仕方ない。生前書いた原稿を、他の人に代読してもらってもいいかもしれない。

「この弔辞は、3年前に亡くなった、故人の友人が、生前にしたためていたものです」

 そんな前振りから始まってみな。弔問客も頭がこんがらがるだろう。まァ、もう誰が先に逝くか? なんていうのはたいした問題ではないかもしれない。

 仲のいい、そして弔辞を読む能力が“ある”と、お互いに認め合った友人3人くらいで、御弔辞倶楽部というのを生前に作っておくのがいいだろう。そして、お互いの弔辞を輪読して添削しておく。

 いざ誰かが死んだら、生き残っている人はそのまま弔辞を読み、2人目が亡くなった時には、最初に死んだ人の書いた弔辞を、

「この弔辞は既に亡くなられた○○さんが、生前に故人のために残しておいたものです」

 というアナウンスとともに誰かが代読。この代読者は最後まで生き残った人が人選すればいいだろう。

 そしてその最後まで生き残った人は直接自分で読む。

 最後まで生き残った3人目の葬儀の際は、2本の弔辞すべて代読になるが、代読する人は故人本人が人選することも簡単だろう。

 なにしろ、御弔辞倶楽部の中で、もう生き残ってるのは自分だけなのだ。2人目の葬儀の直後にでも、まだ当分死ぬこともないだろう若目の知人の中から、朗読のうまいヤツを指名しておけばいい。

 そんな実力を認めあう友人で作る御弔辞倶楽部をできる限り早く結成することを私は提案したい。

※週刊ポスト2013年2月15・22日号

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