国内

メガバンク誕生十余年 みずほは行員履歴から出身銀行欄削除

「これまで最も腐心したのは旧行間の融和」──とあるメガバンクの幹部は語る。1990年代後半から金融危機を経て集約された3メガグループ(三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行)。合併の背中を押したのは不良債権処理と公的資金の圧力であり、「好きで一緒になったわけではない」(同前)というのが本音だ。  

 金融ネットワークを支えるシステムという「装置産業」の側面はあるが、銀行経営を支えるのは何よりも「人材」である。「旧行意識が蔓延している」と言われた時代もあったが、今、人事や組織体制はどうなっているのか。金融ジャーナリストの森岡英樹とジャーナリストの永井隆の両氏がリポートする。

 * * *
 当初、3メガバンクは旧行融和を優先するため、役員や管理職ポストはほぼ旧行の規模や合併比率に応じて配分してきた。とくに旧UFJの救済色が強かった三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の場合は、「合併比率(1対0.62)よりもUFJ出身者にポストを多く配分することで、旧UFJ行員の心情に配慮した」(MUFG関係者)と言う。それでも「40代を中心に辞めていく旧UFJ行員は少なくない」(同)という現実がある。

 旧住友銀行と旧さくら銀行が合併した三井住友も行内融和には腐心した。組織的にも「個人部門」「法人部門」などといった部門制度によって“縦割り”の弊害が出ていたが、「2007年に発足したプライベート・アドバイザリー本部をはじめ横断的な組織が生まれており、人材の流動化は一層高まっている」(三井住友中堅幹部)という。

 旧行の融和に最も苦労したのは3行統合という例を見ない合併を経験したみずほ。2度のシステム障害に見舞われ、トップの退任も余儀なくされた。しかし、逆に危機が行内融和を促進した面もある。2011年には行員の履歴データから出身行の記載を削除したのをはじめ、現在では持ち株会社傘下のみずほ銀行、みずほコーポレート銀行、みずほ信託銀行の3行の人事は「一つのプラットフォーム」で運用されている。

「明日は銀行から信託に移るかもしれない。もう旧行を意識していては仕事は回らないし、実際に同僚の出身行を知らないことも多い」(みずほ中堅行員)

※SAPIO2013年3月号

関連記事

トピックス

安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
ブラジルにある大学の法学部に通うアナ・パウラ・ヴェローゾ・フェルナンデス(Xより)
《ブラジルが震撼した女子大生シリアルキラー》サンドイッチ、コーヒー、ケーキ、煮込み料理、ミルクシェーク…5か月で4人を毒殺した狡猾な手口、殺人依頼の隠語は“卒業論文”
NEWSポストセブン
9月6日に成年式を迎え、成年皇族としての公務を本格的に開始した秋篠宮家の長男・悠仁さま(時事通信フォト)
スマッシュ「球速200キロ超え」も!? 悠仁さまと同じバドミントンサークルの学生が「球が速くなっていて驚いた」と証言
週刊ポスト
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン