ビジネス

今夏の値上げ「衣・食・住」ばかりか行政サービスにも拡大中

 この夏、電気・ガスなど公共料金から食品、外食産業、靴や鞄、家具にトイレットペーパーまで、これでもかと「大幅値上げされる。いずれも円安による原材料費、燃料費、飼料代や物流コストの上昇が原因で、「食」については、食パンなどは3~6%、マーガリンは5~10%、コーヒーも10%値上がりする。

「衣」や「住」は「食」より値上げ幅がさらに大きい。海外ブランドはルイ・ヴィトンが2月に過去最大の平均12%値上げしたのをはじめ、カルティエやティファニーなど各社が円安で値上げに踏み切っているが、サラリーマンの必需品でも、アサヒシューズはビジネスマン向け「通勤快足」をこの秋から約10%値上げし、スーツケース類も平均6%値上げされている。

「住」では、大塚家具がこの4~5月に輸入家具を平均4.8%値上げしたばかりだが、さらに6~7月には輸入品4400品目を平均5.9%アップする。

 それ以上の上昇率を見せているのが建設資材だ。鋼材価格は前年比2割アップ、外壁用コンクリート、断熱材など軒並み大幅値上がり中なのだ。

 一級建築士で女子美術大学講師の佐川旭氏は、「今後、住宅・マンションの建設費は大きく上がる」と見る。

「鋼材やコンクリート材に加えて、壁紙やキッチンなどの内装材に多く使われるポリウレタンなど石油化学製品価格も高騰している。さらに深刻なのは職人不足です。リーマン・ショック後の建設不況で型枠大工などの職人が減ったうえに、震災の復興事業で東北に集中している。職人不足で人件費は1割上がっています。トータルでは建設費が15~20%アップする。そうなると販売価格も値上げせざるを得ない」

 政府は来年4月からの消費税引き上げで住宅価格への課税が重くなることから、「今年9月までに注文住宅やマンションなどを契約すれば、完成が来年4月以降になっても支払う消費税を5%に据え置く」という特例措置をとることになったが、これほど資材価格が上がれば、その程度の“おまけ税率”など焼け石に水ではないか。

 その他、パソコンや車のタイヤからバイオリンなどの弦(ガット)まで一斉に上がり、トイレットペーパーや石けん、紙おむつ、生理用品などの日用品も今後の値上げ候補である。

 驚くべきは、値上げが行政にまで広がりを見せていることだ。千葉県市川市は「行財政改革」すなわち財源確保を理由に、住民票や印鑑証明の発行手数料から動植物園や体育館、市民プールの入場料や斎場の使用料まで値上げを検討している。実施すれば他の自治体にも波及していくことが予想されるが、これは円安とも原材料費上昇とも関係がない明らかな「アベノミクス便乗値上げ」だろう。

 まさに国民は「揺りかご(紙おむつ)から墓場(斎場)」まで値上げ攻勢にさらされている。

※週刊ポスト2013年6月14日号

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
山下智久と赤西仁。赤西は昨年末、離婚も公表した
山下智久が赤西仁らに続いてCM出演へ 元ジャニーズの連続起用に「一括りにされているみたい」とモヤモヤ、過去には“絶交”事件も 
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン