ライフ

元金魚屋の六本木ヒルズ自治会長「かつてはクワガタもいた」

 六本木ヒルズがオープンから10年を迎えた。ヒルズといえば実業家など高所得層が住む豪華マンションという印象が強い。現実離れした印象が強い六本木ヒルズだが、住民の自治会もあれば、自治会長もいる。その六本木ヒルズ自治会長の原保氏が、かつての6丁目の思い出を語った。

 * * *
 今、ヒルズのレジデンス41階に住んでいます。上から数えて3階、東南を向いて見晴らしがよくて快適です。ヒルズの開発工事が始まる1999年まで「原安太郎商店」という金魚屋をやっていました。ご近所さんからは原金って呼ばれてね。江戸時代(天保11年)創業の金魚卸商で5代目でした。金魚はヨーロッパでも人気があってロンドン支店もあったんです。

 6丁目は下町の風情があった。うちは玄碩坂という坂の下の窪地にあって綺麗な水に恵まれていた。金魚屋やるのに適していて、いい水を求めて人が集まる土地でした。昔といっても25年前まで、この辺にクワガタとかカブトムシがいたんですよ。

 夜になるとフクロウがホーホー鳴いてね。私も子供の頃、毛利庭園の池でオタマジャクシをとったものです。

 170年続いた金魚屋を自分の代でつぶしてしまうのはご先祖様に申し訳なかったけれど、ここは道が狭くて防災上の問題があった。再開発の話がきた時、今が変える時だと思いました。私は戦争中に空襲を経験しているからいつも心配していたんです。

 500世帯いたうち400世帯、80%が地権者権利変換でヒルズに暮らしてます。意外に思われますが顔見知りがたくさんいるし、会うと挨拶しています。金魚屋はティファニーとルイ・ヴィトン、アルマーニに生まれかわりました。ご先祖様はアルマーニのことは知らないだろうけど、自分たちでこれほどの街を作ることができたのだから許してもらえると思います。

※週刊ポスト2013年6月21日号

関連キーワード

トピックス

モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
「港区女子がいつの間にか…」Nikiが親密だった“別のタレント” ドジャース・山本由伸の隣に立つ「テラハ美女」の華麗なる元カレ遍歴
NEWSポストセブン
米大リーグ、ワールドシリーズ2連覇を達成したドジャースの優勝パレードに参加した大谷翔平と真美子さん(共同通信社)
《真美子さんが“旧型スマホ2台持ち”で参加》大谷翔平が見せた妻との“パレード密着スマイル”、「家族とのささやかな幸せ」を支える“確固たる庶民感覚”
NEWSポストセブン
高校時代の安福容疑者と、かつて警察が公開した似顔絵
《事件後の安福久美子容疑者の素顔…隣人が証言》「ちょっと不思議な家族だった」「『娘さん綺麗ですね』と羨ましそうに…」犯行を隠し続けた“普通の生活”にあった不可解な点
デート動画が話題になったドジャース・山本由伸とモデルの丹波仁希(TikTokより)
《熱愛説のモデル・Nikiは「日本に全然帰ってこない…」》山本由伸が購入していた“31億円の広すぎる豪邸”、「私はニッキー!」インスタでは「海外での水着姿」を度々披露
NEWSポストセブン
優勝パレードには真美子さんも参加(時事通信フォト/共同通信社)
《頬を寄せ合い密着ツーショット》大谷翔平と真美子さんの“公開イチャイチャ”に「癒やされるわ~」ときめくファン、スキンシップで「意味がわからない」と驚かせた過去も
NEWSポストセブン
生きた状態の男性にガソリンをかけて火をつけ殺害したアンソニー・ボイド(写真/支援者提供)
《生きている男性に火をつけ殺害》“人道的な”窒素吸入マスクで死刑執行も「激しく喘ぐような呼吸が15分続き…」、アメリカでは「現代のリンチ」と批判の声【米アラバマ州】
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン