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渋谷のチームは六本木に行きそびれた人々が起源とZEEBRA情報

「渋カジ」から「チーマー」、「コギャル」まで、渋谷の街は常に新しい若者文化の発信地となってきた。1980年代の渋谷の状況について、消費社会とヤンキー文化に詳しい速水健朗氏が振り返る。

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 1980年代半ば、気取ったDCブランド全盛の時代に、それとは逆を行く、ワイルドな「アメカジ」ファッションできめた「チーム」が登場した。

 この当時の状況をよく知るのは、「東京生まれヒップホップ育ち」でおなじみのラッパーのZEEBRA。中学時代からチーム周辺に出入りしていた彼によると「六本木に行きそびれた」連中が渋谷を占拠し始めてチームが生まれたのだという。

 六本木のディスコのVIPルームで騒ぐリッチでバブルに浮かれた不良たちと、それより少し下の世代とで二分し、後者が渋谷のチームになる。六本木族が乗り回したのは、フェラーリやポルシェだったが、渋谷のチームは、大型の4WDやアメ車を乗り回した。渋谷には当時複数のチームが生まれ、センター街を縄張りとした宇田川警備隊が最大派閥だった。また、この当時のチーム出身で、渋谷でスカウトされた芸能人に東幹久がいる。

 このチームが真似たのは、『アウトサイダー』などのアメリカの青春映画だ。また、西海岸のサーフィン、スケボーなどのストリート文化も参照していた。それ以上に重要なのが、彼らの文化は東京生まれの富裕層の不良文化だったこと。しかも時代は、まさにバブル経済に差し掛かろうという時期だった。

 1990年代頃になるとチームの構成員を指す「チーマー」という言葉が、広く知られるようになる。当時の渋谷センター街には夜になると300人くらいの若者が集まってきたという。渋谷の状況を伝える当時の雑誌には「センター街のスラム化」という投書もあった。この頃から、渋谷は大人が近寄れない街になっていく。

 ちなみにこの頃のチーマーから出世した代表格がテイクアンドギヴ・ニーズの社長・野尻佳孝。野尻は高校時代にチーマーとして活動し、大学生を真似てパーティ券を売ったり、自分たちでデザインした10万円の革ジャンを何百着と売ることで、高校生としては考えられないほどの大金を動かすようになっていた。

●速水健朗/はやみず・けんろう。1973年生まれ。メディア論、都市論など幅広い分野で取材、執筆、編集活動を行なう。主な著書に『ケータイ小説的。──“再ヤンキー化”時代の少女たち』、『都市と消費とディズニーの夢 ショッピングモーライゼーションの時代』。

※週刊ポスト2013年6月28日号

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