ビジネス

無線LAN機能搭載した東芝のSDメモリカード 販売目標100万枚

 この国を代表する重電である東芝が順調だ。2013年4~9月期は売上高が前年同期比13.2%増、営業利益が53.7%増という東芝の好調は、半導体事業の牽引が大きいが、事業をさらに飛躍させる“次の一手”は何なのか? ジャーナリストの永井隆氏と海部隆太郎氏がリポートする。

 * * *
 無線LAN機能が搭載されたSDメモリカード『FlashAir』が注目されている。コンパクトデジカメに差し込めば、スマートフォンやタブレット端末の無線LAN機能へと送信できる。例えば撮ったその場で仲間と画像をシェアしたり、フェイスブックにアップしたりして楽しめるというわけだ。フラッシュメモリ事業戦略部の笠原紗綾子氏(34)が語る。

「開発は約3年前から始まりました。若手社員の『飲み会で撮った画像はその場でシェアしたい』という声がきっかけでした」

 スマホで撮影すれば、すぐにデータの交換・アップロードは可能だ。しかし、スマホの画質では物足りないという「カメラ女子」などが増える中で、若者を中心にニーズがあると確信した。SDカードと無線LAN機能の合体。単純に思えるが、メモリ応用技術第二部の上岡裕一氏(42)はこう話す。

「これまでメモリしか入っていなかったSDカードの大きさの中に無線LANチップとアンテナを入れ込むのは、技術的には非常にハードルが高かった。試行錯誤した結果、無線LANの部分は既にある製品ではダメだとわかり、専用品を作りました。専用品の開発はコストがかかるため社内で賛否両論ありましたが、それは逆に、他社の追随が難しいことも意味します」

 2012年に8GBタイプを発売し、2013年7月に16GB、11月には32GBタイプを投入した。16GBは店頭では4000円台で販売されている。今年度の販売目標は100万枚。堅調に推移しているというが、まだ一般への認知度は高くない。

「これまでにない商品なので、どういう使い方をすれば面白いか、どんな売り方をすればいいか、量販店の店員さんなどに提案して販売チャネルを広げるよう工夫しています」(メモリ販売推進部の児玉英治氏・39)

 もし『FlashAir』がブレイクすれば、一般消費者にも「半導体の東芝」をアピールするチャンスになる。技術の壁を越えた今、この“飛び道具”を活用できるかは「売り方」にかかっている。

※SAPIO2014年1月号

関連記事

トピックス

現地取材でわかった容疑者の素顔とは──(勤務先ホームページ/共同通信)
【伊万里市強盗殺人事件】同僚が証言するダム・ズイ・カン容疑者の素顔「無口でかなり大人しく、勤務態度はマジメ」「勤務外では釣りや家庭菜園の活動も」
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
週刊ポストの名物企画でもあった「ONK座談会」2003年開催時のスリーショット(撮影/山崎力夫)
《巨人V9の真実》400勝投手・金田正一氏が語っていた「長嶋茂雄のすごいところ」 国鉄から移籍当初は「体の硬さ」に驚くも、トレーニングもケアも「やり始めたら半端じゃない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《まさかの“続投”表明》田久保眞紀市長の実母が語った娘の“正義感”「中国人のペンションに単身乗り込んでいって…」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン
フランクリン・D・ルーズベルト元大統領(写真中央)
【佐藤優氏×片山杜秀氏・知の巨人対談「昭和100年史」】戦後の日米関係を形作った「占領軍による統治」と「安保闘争」を振り返る
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《追突事故から4ヶ月》広末涼子(45)撮影中だった「復帰主演映画」の共演者が困惑「降板か代役か、今も結論が出ていない…」
NEWSポストセブン
江夏豊氏(右)と工藤公康氏のサウスポー師弟対談(撮影/藤岡雅樹)
《サウスポー師弟対談》江夏豊氏×工藤公康氏「坊やと初めて会ったのはいつやった?」「『坊や』と呼ぶのは江夏さんだけですよ」…現役時代のキャンプでは工藤氏が“起床係”を担当
週刊ポスト
殺害された二コーリさん(Facebookより)
《湖の底から15歳少女の遺体発見》両腕両脚が切断、背中には麻薬・武装組織の頭文字“PCC”が刻まれ…身柄を確保された“意外な犯人”【ブラジル・サンパウロ州】
NEWSポストセブン
山本由伸の自宅で強盗未遂事件があったと報じられた(左は共同、右はbackgrid/アフロ)
「31億円豪邸の窓ガラスが破壊され…」山本由伸の自宅で強盗未遂事件、昨年11月には付近で「彼女とツーショット報道」も
NEWSポストセブン
佳子さまも被害にあった「ディープフェイク」問題(時事通信フォト)
《佳子さまも標的にされる“ディープフェイク動画”》各国では対策が強化されるなか、日本国内では直接取り締まる法律がない現状 宮内庁に問う「どう対応するのか」
週刊ポスト
『あんぱん』の「朝田三姉妹」を起用するCMが激増
今田美桜、河合優実、原菜乃華『あんぱん』朝田三姉妹が席巻中 CM界の優等生として活躍する朝ドラヒロインたち
女性セブン