ビジネス

世界最小・最軽量一眼レフ開発した設計者「努力は報わせる」

 とどまるところを知らぬ、デジタルカメラの小型・軽量化。その流れは、一眼レフカメラの世界でも決して例外ではない。今年、キヤノンのエントリーユーザー向けブランド『EOS Kiss』の最新モデルとして登場した『EOS Kiss X7』は、APS-Cサイズの撮像素子搭載カメラとして世界最小・最軽量を実現。デジタル一眼レフカメラの世界に、新たな地平を拓いた。

 まるでミラーレス一眼のように、小さく軽いボディ。手で持ってみると、その圧倒的なコンパクトさに驚かされる。それもそのはず、『EOS Kiss X7』は先代モデルの『X6i』に比べて体積で約25%、重量で約28%もの小型・軽量化を果たしているのだ。

「でも、このカメラは小さく軽いだけではありません。操作性も先代モデルより向上しているんですよ」

 そう話すイメージコミュニケーション事業本部ICP第二開発センター室長の塚谷栄理は、『EOS Kiss』の歴代モデルの設計・開発に携わってきたベテランだ。

『EOS Kiss』は、キヤノンの看板ブランドである。1993年に銀塩フィルム一眼レフカメラとして発売され、10年後の2003年にはデジタル化。エントリーユーザー向けカメラとして絶大な支持を集め、店頭での指名買いも多い。

 そのブランド誕生20周年という節目に発売されることになった最新モデルには、“世界最小・最軽量”という高いハードルが設定されることになった。開発目標が設定されたとき、塚谷は凍りついたという。

「歴代の『EOS Kiss』も、モデルチェンジのたびに従来モデルを参考にしながら可能な限り小型・軽量化を図ってきました。しかし、“世界最小・最軽量”を実現するとなると、従来モデルよりもひとまわりどころか、ふたまわり以上も小さくしなければならない。

 これまでのように、部品を空いた隙間にパズルのように移動させるという方法では、もはや通用しないだろう。部品をゼロから見直す必要がある。そんな一眼レフカメラが本当に開発できるだろうか……」

 塚谷が最重要課題にあげたのは、シャッターユニットの小型化だった。シャッターユニットは、撮影時にミラーを上下させてシャッターを動かし、さらに次の撮影に備えてシャッターをチャージさせる機能をもった、一眼レフカメラの重要部分だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ロシアのプーチン大統領と面会した安倍昭恵夫人(時事通信/EPA=時事)
プーチンと面会で話題の安倍昭恵夫人 トー横キッズから「小池百合子」に間違われていた!
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
「日本人ポップスターとの子供がいる」との報道もあったイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
イーロン・マスク氏に「日本人ポップスターとの子供がいる」報道も相手が公表しない理由 “口止め料”として「巨額の養育費が支払われている」との情報も
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《会社の暗部が暴露される…》フジテレビが恐れる処分された編成幹部B氏の“暴走” 「法廷での言葉」にも懸念
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さん出産》“一卵性母子”と呼ばれた小室圭さんの母・佳代さんが「初孫を抱く日」 知人は「ふたりは一定の距離を保って接している」
NEWSポストセブン
長嶋茂雄さんとの初対戦の思い出なども振り返る
江夏豊氏が語る長嶋茂雄さんへの思い 1975年オフに持ち上がった巨人へのトレード話に「“たられば”はないが、ミスターと同じチームで野球をやってみたかった」
週刊ポスト
元タクシー運転手の田中敏志容疑者が性的暴行などで逮捕された(右の写真はイメージです)
《泥酔女性客に睡眠薬飲ませ性的暴行か》警視庁逮捕の元タクシー運転手のドラレコに残っていた“明らかに不審な映像”、手口は「『気分が悪そうだね』と水と錠剤を飲ませた」
NEWSポストセブン
金田氏と長嶋氏
《追悼・長嶋茂雄さん》400勝投手・カネやんが明かしていた秘話「一緒に雀卓を囲んだが、あいつはルールを知らなかったんじゃないか…」「初対決は4連続三振じゃなくて5連続三振」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《レーサム創業者が“薬物付け性パーティー”で逮捕》沈黙を破った奥本美穂容疑者が〈今世終了港区BBA〉〈留置所最高〉自虐ネタでインフルエンサー化
NEWSポストセブン
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! ミスター長嶋茂雄は永久に!ほか
「週刊ポスト」本日発売! ミスター長嶋茂雄は永久に!ほか
NEWSポストセブン