なかでも目立つのが「自分のタイプを確認しよう」と呼びかける「学問診断チャート」。該当箇所をクリックすると、YES/NOで答える診断がはじまって、最後には自分にあった学部案内までしてくれる。試しに筆者もやってみたらこうなった。
<あなたの学びのタイプは…クリエータータイプ>
<自分のカンを信じて直感で動くあなた。センスもピカイチなので、新しいモノを考えたり作ったりする、デザインや工学向き>
<関連する学問領域|芸術・デザイン学、工学
東洋大学で、学ぶなら|ライフデザイン学部 理工学部>
センスもピカイチなクリエータータイプってことは、わー、ぼくはライターになって正解だったんだ!と喜んでいる場合ではない。正直なところ、占いかよと思った。大学受験生のレベルが落ちたとよく言われるが、たとえその通りだとしても、これは小馬鹿にされたと感じる受験生も少なくないのではないか。
でもまあ、コンテンツはひとまず世に出してみて、反応を見ながら適宜、更新してけるのがWebサイトの強みだ。内容はこれから改良を重ねていけばよい。出だしはちょっとアレな感じでも、全国に先駆けて紙の「大学案内」を捨てた東洋大学の勇気は讃えたい。東洋大学は、今では珍しくなった夜学(イブニングコース)を6学部9学科も抱えている。例えば、コストカットで浮いた経費をその維持にまわしてくれるのなら、私は拍手喝采である。
他では、やはり2014年度入試から、近畿大学と中京大学が紙の願書を廃止し、インターネット出願に完全移行している。東洋大学の2014年度入試が受験生集めで成功したら、この二大学はきっと「大学案内」も廃止するだろうし、後に続く大学があちこちで生まれることだろう。5年、10年後には、「大学案内のパンフを出してるって、情弱じゃね?」ともなりえる。
遅まきながら始まった大学業界のIT革命。その第一歩目を、控え目でマイペースなキャラの東洋大学が、踏み出した。哲学者の井上円了は1887年、「余資なく優暇な者のために」東洋大学の前身の私立哲学館を創設した。一人でも多くの人に門戸を開こうと、哲学館の授業料を低く抑え、通信教育のような仕組みもいち早く取り入れた。その想いが、2014年に引き継がれようとしているのなら、すばらしい話ではないか。