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Excel方眼紙めぐる論争 弊害あるのにやめられない理由とは

 Wordでは罫線が引きづらいため、思うような書類を作りやすいExcel方眼紙を利用して文書作成することは何か不都合を生み出すのだろうか。前出の直子さんのように、実際に引き継ぎがしづらいこと以外に問題があるのだろうか。

「セルひとつにデータはひとつでないと、本当に困るんですよ」とこぼすのは、かつて部署どうしで交していた内部の注文票データを移行するプロジェクトに関わったことがある40代のシステムエンジニアだ。

「いちいち印刷して使用していたそうですが、データファイルも全部残っていると聞いたのでデータを抜き出したいともらったのが膨大なExcelのファイル。結合セルが複雑に絡まり合っているうえ、ときどき結合具合が変更されて最近はいわゆる方眼紙タイプになっていました。おかげでcsvデータとして抜き出すことさえ苦労しました。結合セルはそのままコピー&ペーストもしづらくて、最終的にはかなり人力に頼りました」

 データの再利用性以外にも、Excel方眼紙は特定の機能を活用しすぎているため再現性を保てない問題も生じる。また表計算ソフトなので、ディスプレイでの見た目は印刷時に必ずズレを生じる。そしてWindowsパソコンで作成したExcel方眼紙を複雑に使用したファイルをタブレットやスマートフォンで開くなど環境が変わると、意味をなさない表示になってしまうケースもある。

 不都合も多々あるExcel方眼紙だが、罫線を引きやすい便利で魅力的なツールとして捨てがたい。互換性や再利用性から悪評が多くとも実際の利用者が多いことから、Excel方眼紙から簡単な操作でWEBアプリを作成できるソフトウェア「Forguncy(フォーガンシー)」が今夏発売予定だ。WEBアプリになれば互換と再現の問題がかなり解消される。

 不具合の解決策が提案されても、いったん大きく広まった習慣が改まることはなかなかない。主に技術畑の人から非難されることが多いExcel方眼紙だが、ビジネス向け雑誌では特集を組まれるほどの人気ノウハウだ。多くの働く人々が使い慣れたこのテクニックが消えることは、当分なさそうだ。

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