サポートが終了するウィンドウズXP搭載のパソコン
4月9日、米マイクロソフトのOS(基本ソフト)、「ウィンドウズXP」が搭載されたパソコンが、いよいよサポート終了につき寿命を迎える。
数々の報道やセキュリティー会社のアナウンスによると、その後もXPパソコンを使い続けると、最新OS(ウィンドウズ8)に比べてウイルスの感染リスクが21倍も高まると警告されている。
だが、会社のパソコンは早々と対応済みでも、自宅のパソコンはなかなか暇がなく買い替えできていないという人も多いのではなかろうか。
そもそも、「自宅用はたいした機密情報が入っているわけではないから大丈夫」、「メールと写真の整理ぐらいしかしないから被害は受けないのでは?」といった悠長な声も聞こえてくる。
では、XPパソコンを無防備なまま継続使用していると、具体的にどんなリスクを伴うのか。IT・家電ジャーナリストの安蔵靖志氏が解説する。
「OSのサポートが終了すると、いわばセキュリティーホールの蓋が開けっぱなしになるので、自分のパソコンがすべてハッカーの意のまま操作されてしまう危険があります。攻撃者は自動プログラムで無作為にウイルスを仕掛けるので、ネットに繋いでいるパソコンは誰でも攻撃対象になる恐れがあるのです。
考えられる被害は、名前や住所録など個人情報が外部に漏れて悪用されたり、キーボード入力を記録するキーロガーを仕掛けられて銀行口座のIDやパスワードを盗まれたりする被害も想定されます」
さらに厄介なのは、自分のパソコン内の情報は奪われなくても、サイバーテロの“拠点”にされてしまう可能性があることだ。
「ハッカーの偽装工作手段として、誰かのパソコンを起点に他者のPCサーバーを攻撃させることはよくあります。
もし、自分のパソコンがその先兵となってしまい、会社組織の機密情報を持ちだしたり、社内システムを破壊させたりした場合、いくら自分は無罪でも同僚から大きな疑いをかけられ、最悪の場合は逮捕される可能性だってゼロとはいえません」(前出・安蔵氏)
IT専門家の中には、「サポート終了前にウィンドウズのアップデートを行い、セキュリティー対策ソフトのリアルタイム保護機能を働かせておけば、少なくとも1か月はウイルス攻撃が急激に増えることはない」と楽観的な指摘をする向きもある。
しかし、旧OSのパソコンを放置した代償として、思いもよらないサイバー攻撃を受けて社会的信用さえ失いかねない事態に陥る――。こんな最悪のシナリオを避けるためにも、万全の対策を取るに越したことはない。