消費者庁は、DHA・EPAについて「心血管疾患のリスク低減」「血中中性子質の低下」「関節リウマチ症状緩和」の3つの機能について、「機能性について明確で充分な根拠がある」としてA評価と判定した。同じ基準で評価を受けた11成分のうち、A評価が出たのはDHA・EPAだけだった。また、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2010年版)」では、DHA・EPAはほかの脂肪酸と区別され、18歳以上は1日1g以上の摂取を目標としている。
「DHAとEPAは旬の青魚の脂に多く含まれています。加熱調理をすると、一部は脂とともに流出してしまうため、刺身など、生で食べるのがもっとも無駄のない食べ方です。加熱する場合は、煮汁もそのまま食べられるホイル焼きのような調理法が良いでしょう」(矢澤氏)
機能性に優れた成分である一方、DHA・EPAには、酸化しやすいという弱点があるという。
「空気中でも酸化しますが、生活習慣が乱れ、体内に活性酸素が過剰にあると、摂取した後でもDHAやEPAが酸化して、体の“錆(さび)”のようなものになり、体調を悪くする原因ともなります。酸化を防ぐには、緑黄色野菜、果物、ゴマなどに多く含まれるビタミンCやビタミンE、カロテノイド、ポリフェノール、セサミンなどの『抗酸化成分』と一緒に摂るとよいでしょう。
脳血管疾患には活性酸素が深く関わっていることが知られています。抗酸化成分には、活性酸素を中和する力があるため、DHA・EPAと一緒に摂ることで、脳血管疾患の予防について、さらなる効果が期待できるのです」(矢澤氏)
かつて日本人の食卓の中心にあった魚は、食の欧米化が進むとともにその主役の座を肉類に譲りつつある。1日あたりの魚介類の摂取量を見ると、2001年には94gだったのが、2012年には70gと、21世紀に入ってからも年々減少。一方の肉類は2001年の76.3gから2012年には88.9gまで増加し、摂取量の幅は広がりつつある。
「魚介類の摂取量が減れば、DHA・EPAの摂取量も減り、それに伴って生活習慣病を予防できる可能性も減少してしまいます。魚をあまり食べられない場合は、サプリメントを利用するのも、効率的にDHAとEPAを摂取する手段のひとつですね」(矢澤氏)