ビジネス

300万DL突破の『パズ億』 ターゲット層を拡充させたCM戦略

「お・か・ね・がだいすき~♪」という一風変わったCMソングで話題となったスマートフォン向けパズルゲーム『パズ億~爽快パズルゲーム~』(DeNA)が、累計300万ダウンロードを突破するヒットとなっている。

 ゲームの内容は、同じ色の「お金」を3つ以上なぞって消し、より多くのお金を連続で消すことで得点がアップしていくというもの。とはいえ、数多あるパズルゲームの中で、なぜ「パズ億」がここまでヒットしたのか。都内の国立大学大学院でメディア研究をしている男性A氏(26歳・情報学)は、同ゲームのリリース直後からのファンだという。A氏が同ゲームがヒットした背景を分析する。

「リリース当初はゲームの背景である世界地図の描き込みも少なく、簡素な印象がありました。キャラクターも含め、ゲームのデザイン自体が若者向けのオシャレさや、可愛らしさ、カッコ良さとはかけはなれていたので、ターゲットは“とにかく純粋にパズルゲームを楽しみたい、若者層より上の世代だろう”と思っていました。

 そんな流れで『お・か・ね・が大好き~♪』というテレビCMが始まりました。コミカルに拝金主義を標榜するというか、それがゲーム自体のコンセプトではあるのですが、ひとまずネタを喚起するCMのインパクトによって印象付けに成功したのではないでしょうか。これがヒットの足がかりになったと思います」(A氏。以下「」内同)

 同CMについては、ネットを中心に「不愉快だ」「露骨すぎる」との声もあったが、そのインパクトは強烈だったようで、ダウンロード数も大きく伸びたようだ。その後、アップデートされていくうちに、新しいステージが登場するなどゲーム本来の娯楽性も増していった。

 そうした中で、4月4日から新CM「はじけて爽快」篇のオンエアが始まった。

「コンテンツを充実させる流れの中で、先日の新CM。いきなり『若者の爽やかな恋』を描くというイメージ戦略の転換には、かなりびっくりしましたね。コンテンツを充実させてから、ターゲット層を若年層に拡張させようとしたことが伺えます。

 昨今のゲーム・アプリは、SNSと無理やり連動させて対戦成績を競わせたりすることを強調するものも多いですが、『パズ億』はそういう面はあれ、非常にシンプル。無理やりオンラインで繋がりたくないタイプの人にも歓迎されているのではないでしょうか」

 A氏の分析では、「リリース当初からコンテンツが充実しているわけではないので、その簡素さを逆手にとって上の世代に訴求し、そこである程度認知度が上がり、中身が充実し始めたところで若者世代に訴求するという売り出し方が、数あるパズルゲームの中でも差異化を図れている点だと思います」という。こうしてアップデートをマーケティングに活かせるという点がソーシャルゲームの強みともいえるだろう。

関連記事

トピックス

STARTO ENTERTAINMENTの取締役CMOを退任することがわかった井ノ原快彦
《STARTO社取締役を退任》井ノ原快彦、国分太一の“コンプラ違反”に悲しみ…ジャニー喜多川氏の「家族葬」では一緒に司会
NEWSポストセブン
東京都内の映画館で流されたオンラインカジノの違法性を訴える警察庁の広報動画=東京都新宿区[警察庁提供](時事通信フォト)
《フジ社員だけじゃない》オンラインカジノ捜査に警察が示した「本気度」 次のターゲットはインフルエンサーか、280億円以上つぎ込んだ男は逮捕
NEWSポストセブン
国民民主党から公認を取り消された山尾志桜里氏の去就が注目されている(時事通信フォト)
「国政に再挑戦する意志に変わりはございません」山尾志桜里氏が国民民主と“怒りの完全決別”《榛葉幹事長からの政策顧問就任打診は「お断り申し上げました」》
NEWSポストセブン
中居正広氏と被害女性の関係性を理解するうえで重大な“証拠”を独占入手
【スクープ入手】中居正広氏と被害女性との“事案後のメール”公開 中居氏の「嫌な思いをさせちゃったね。ごめんなさい」の返事が明らかに
週刊ポスト
参政党の神谷宗幣・代表(時事通信フォト)
《自民・れいわ・維新の票を食った》都議選で大躍進「参政党現象」の実態 「流れたのは“無党派層”ではなく“無関心層”」で、単なる「極右勢力の台頭」と言い切れない本質
週刊ポスト
苦境に立たされているフジの清水賢治社長(左/時事通信フォト)、書類送検された山本賢太アナ(右=フジホームページより)
“オンカジ汚染”のフジテレビに迫る2つの危機 芋づる式に社員が摘発の懸念、モノ言う株主からさらに“ガバナンス不全”追及も
週刊ポスト
24時間テレビの募金を不正に着服した日本海テレビ社員の公判が行われた
「募金額をコントロールしたかった」24時間テレビ・チャリティー募金着服男の“身勝手すぎる言い分”「上司に怒られるのも嫌で…」【第2回公判】
NEWSポストセブン
妻とは2015年に結婚した国分太一
「“俺はイジる側” “キツいイジリは愛情の裏返し”という意識を感じた」テレビ局関係者が証言する国分太一の「感覚」
NEWSポストセブン
衝撃を与えた日本テレビ系列局元幹部の寄付金着服(時事通信フォト)
《24時間テレビ寄付金着服男の公判》「小遣いは月に6〜10万円」夫を庇った“妻の言い分”「発覚後、夫は一睡もできないパニックに…」
NEWSポストセブン
TOKIOの国分太一
【スタッフ証言】「DASH村で『やっとだよ』と…」収録現場で目撃した国分太一の意外な側面と、城島・松岡との微妙な関係「“みてみぬふり”をしていたのでは…」《TOKIOが即解散に至った「4年間の積み重ね」》
NEWSポストセブン
警視庁を出る鈴木善貴容疑者=23日午前9時54分(右・Instagramより)
「はいオワター まじオワター」「給料全滅」 フジテレビ鈴木容疑者オンカジ賭博で逮捕、SNSで1000万円超の“借金地獄”を吐露《阿鼻叫喚の“裏アカ”投稿内容》
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居正広と元フジ女性アナの「メール」全面公開ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居正広と元フジ女性アナの「メール」全面公開ほか
NEWSポストセブン