ひと昔前、女性は“25才で結婚できなきゃ行き遅れ”といわれ、売れ残りのクリスマスケーキに例えられた。親は「早く結婚しろ!」と娘をせかし、親戚は「いい人がいるのよ」とお見合い話を持ってくる──。
「当時は結婚に対して、身近な誰かが背中を押してくれる社会的圧力がありましたが、現代はそれがない。だから結婚に向けて、自らが一歩踏み出していくしかない。そのためにも、結婚を学ぶ必要があると思うんです」と語るのは、九州大学大学院助教の佐藤剛史さん。佐藤さんは九州大学で2012年から『婚学』講座を開講している。
現在の生涯未婚率は男性20%、女性10%と右肩上がりに増加し、離婚率はここ数年35%超で推移、3組に1組の夫婦が離婚している。
「昔は今より地域コミュニティーがしっかり機能して、核家族化が進んでいなかったので、親や地元の先輩が“そんなことしちゃだめ”“そういう時はこう対処すれば大丈夫”などと恋愛や結婚生活のコツを伝承してくれた。しかし、今は誰もアドバイスしてくれません。だから、大学生のうちに人生設計を組み立てる。恋愛や結婚、出産、子育てについて考え、生き方をイメージしておくのが大事な時代になったのではないかと感じています」(佐藤さん)
早稲田大学では、男女間の恋愛感情を科学的に分析する『恋愛学』を2008年から開講(今年は休講)。担当教授である森川友義さんは、こう指摘する。
「人生の目的は何かといえば、究極的には食糧獲得と異性獲得のふたつ。われわれは食糧獲得のために、子供の頃から勉強してビジネススキルを叩き込まれる。ならば、素敵な異性を獲得するための科目があってもいいと思うのです」
※女性セブン2014年7月10日号