だが、安かろう不味かろうでは熾烈な生存競争を生き残ることはできない。大手チェーンだけではなく、近ごろは従来の立ち食いそばの概念を覆す本格的な店が増えている。
「うまい立ち食いそばを食べたいなら、立地の悪い店が狙い目」というのは“B級グルメ評論家”の柳生九兵衛氏だ。
「駅周辺や駅構内に展開する店は早さを追求しており、麺を茹で置きしてすぐに出せる状態にしています。逆に、駅から少し離れた立ち食いそば店は提供まで多少の時間がかかっても、こだわりのそばを提供する隠れた名店ということが多いですね」
一方で、できれば避けたい立ち食いそば店もある。
「昼のピークタイム後もトッピングのかき揚げなどが山積みされている店は要注意。早く出すために冷やしそばに茹で置きのそばを使っている店も避けた方がいい。茹でそばを再びゆがいてから水で冷やすと表面がドロドロになりやすく、それを防ぐために添加物を使っていることが多い」(都内の大手製麺業者)
近年は店内に椅子席を設ける店が主流になりつつあるが、安くて早い「立ち食いそば」が日本を代表するファストフードの代名詞であることに変わりはない。
※SAPIO2014年8月号