国内

よくある入社の内定取り消し 「美人」ならばニュースになる

 ネット上ではよく「メディアが報じない」という文句が使われる。報じられるニュースの分量には限界があるので、すべての物事を報じるのは不可能だ。それを勘案しても重要事件がニュースになっていないという意味で「メディアが報じない」と言われるが、本当に報道格差はあるのか。作家で比較文学者の小谷野敦氏が、報道格差はネットニュースになっても変わらずに存在する例として、アナウンサー内定取り消し事件を例に挙げて解説する。

 * * *
 日本テレビにアナウンサーとして採用が内定していた女性が、過去に銀座のクラブでホステスをしていたという理由で内定を取り消され、提訴した事件は、大きく報道され、週刊誌ネタにもなっている。私はこのニュースを知った時、「なぜこれが報道される?」という疑問を抱いた。内定取り消しと提訴といった事件は、ほかにも起きているはずだ。

 私は何度も裁判を起こしているが、中には、政府や企業を相手どったものもあり、願わくは報道して輿論(よろん)に訴えたいという動機もあって起こしたものがあるのだが、これまで取り上げられたのは、敗訴した際に私への取材もなく記事にした新聞があっただけである。

 この世には「報道格差」というのが確実にあり、それはインターネット社会になり、ネットニュースなどが現れても、質は変わっていない。いくらブログで訴えても、報道されないと注目も集められない。

 この日本テレビの例は、女性が元ミス東洋英和、相手が大手テレビ局という華やかさのために取り上げられ注目されているのだろう。つまりニュースヴァリューというもので、NHKを除いて、テレビも新聞も所詮は私企業だから、扱いが違ってくるのはやむを得ない。
 
 先ごろ作家の柳美里に対する原稿料の不払いが話題になったが、これとて、柳が有名作家だからニュースになったのであり、原稿料不払いや、企画の突然の打ち切りなどに、文筆家は常々悩まされているのだ。

※SAPIO2015年2月号

関連キーワード

トピックス

1990年代、多くの人気バラエティ番組で活躍していたタレント・大東めぐみさん
《事務所が猛反対もプロ野球選手と電撃結婚》元バラドルの大東めぐみ、人気絶頂で東京から大阪へ移住した理由「『最近はテレビに出ないね』とよく言われるのですが…全然平気」
NEWSポストセブン
全国で車中泊をしているわさびちゃん夫婦。夫は元お笑い芸人のピーチキス・けん。
YouTuber・わさびちゃんが「トイレ動画」でバズるまでの紆余曲折「芸人時代に“女”を求められたり、男性芸人から嫉妬されたり…」
NEWSポストセブン
悠仁さまに関心を寄せるのは日本人だけではない(時事通信フォト)
〈悠仁親王の直接の先輩が質問に何でも答えます!〉中国SNSに現れた“筑波大の先輩”名乗る中国人留学生が「投稿全削除」のワケ《中国で炎上》
週刊ポスト
「ビッグダディ」こと林下清志さん(60)
《借金で10年間消息不明の息子も》ビッグダディが明かす“4男5女と三つ子”の子供たちの現在「メイドカフェ店員」「コンビニ店長」「3児の母」番組終了から12年
NEWSポストセブン
リシェット
戦場取材に欠かせない「フィクサー」とは? ウクライナ入りした報道カメラマンが紹介された“取材に愛犬を連れて来る男” ギャラは「1日1500ドル」と法外な金額に
NEWSポストセブン
女児盗撮の疑いで逮捕の小瀬村史也容疑者(37)。新たに”わいせつ行為”の余罪が明らかになった
「よくタブレットで子どもを撮っていた」不同意わいせつ行為で再逮捕の小瀬村史也容疑者が“盗撮し放題だったワケ” 保護者は「『(被害者は)わからない』の一点張りで…」
NEWSポストセブン
成年式を控える悠仁さまと第1子を出産したばかりの眞子さん(写真・右/JMPA)
眞子さん、悠仁さまの成年式を欠席か いまなお秋篠宮家との断絶は根深く、連絡を取るのは佳子さまのみ “晴れの日に水を差す事態”への懸念も
女性セブン
「ビッグダディ」こと林下清志さん(60)
《多産DVを語ったビッグダディ》「子どもができたら勝手に堕ろすんじゃないぞ」4男6女の父として子供たちに厳しく言い聞かせた理由
NEWSポストセブン
ボニー・ブルーとの2ショット(インスタグラムより)
《タダで行為できます》金髪インフルエンサー(26)と関係を持った18歳青年「僕は楽しんだから、被害者になったわけじゃない」 “捕食者”との批判殺到に反論
NEWSポストセブン
2人は結婚3年目
《長髪62歳イケオジ夫との初夫婦姿》45歳の女優・ともさかりえ、3度目の結婚生活はハッピー 2度の離婚を乗り越えた現在
NEWSポストセブン
オーナーが出入りしていた店に貼られていた紙
「高級外車に乗り込んで…」岐阜・池田温泉旅館から“夜逃げ”したオーナーが直撃取材に見せた「怒りの表情」 委託していた町の職員も「現在もまだ旅館に入れない」と嘆き
NEWSポストセブン
雅子さまのご静養に同行する愛子さま(2025年8月、静岡県下田市。撮影/JMPA) 
愛子さま、雅子さまのご静養にすべて同行する“熱情” そばに寄り添う“幼なじみ”は大手造船会社のご子息、両陛下からも全幅の信頼 
女性セブン