新曲を披露する新垣隆さんと磯絵里子さん

新垣:残念ながら、礒さんには当時すでに彼氏がいらっしゃいましたから。私にはとてもとても。先に取られちゃったという感じですね(笑い)。

――礒さんが中心となって、昨年6月に『新垣隆 with フレンズ』というコンサートを開いたそうですね。騒動中も、随分励まされたとか

新垣:とても励ましていただきました。普段いつも一緒にいるというわけではなく、機会があれば再会する…という繰り返しだったんですけども、こうして礒さんたちが助けてくれる形での再会っていうのはありがたかったです。

磯:最初は驚きました。新垣さんの会見はリアルタイムでは見られなかったんですが、一体どうなっちゃうのかなって…。でも、真摯に真実を述べて謝罪している姿がとても新垣さんらしくて印象的でした。これで音楽活動ができないのはおかしいって、私だけじゃなく、いろんなかたが思ったと思います。昨年6月のコンサートもうまくいきましたし、徐々に音楽活動も増えてきて、こうしてCDも出せてツアーができるというのもうれしいですね。

――昨年末には、『女性セブン』でファッションモデルに挑戦しましたが、その後、自分で服を買いに行くようになったり、おしゃれに気を使うようになりましたか?

新垣:いや…あの…買いに行きたいなという気持ちはありますが、まだちょっと…(笑い)。でもあの経験で鍛えられました。あの時のスタッフの皆さんに感謝しております(笑い)。

――礒さんから見て、新垣さんのファッションは何か変わりましたか?

礒:たしかに変わりましたね! たまにすごく素敵な水色のセーターを着ていることがあって、あれはテレビ出演のあと、買い取りしたものかしら、とか思ったり(笑い)。かと思えば、昔と変わらず毛玉だらけのセーターを着ている時もあるので、まだ混在している感じでしょうか(笑い)。でも、コンサートのポスターは、寺尾聰さんみたいで素敵でしょ(笑い)。

――ところで、礒さんから見て、新垣さんのピアノ演奏の魅力は?

礒:もちろんそうじゃないかたもいらっしゃるんですが、ピアニストさんが陥りがちなのは弾くことに必死で、耳が開いてない。弾いている音がすべて一緒で、楽器同志、対話ができにくいこともあるんです。ところが新垣さんは、バス(低音)の部分はコントラバスの音色をイメージできるくらい、ピアノという楽器なんだけど、まるでオーケストラのような多彩な音色が出てくるんです。音楽の発想が豊かになるので、私もそれにのって演奏できる。音色がきれいでやわらかいのも素晴らしいと思います。

――新垣さん、絶賛されましたね。

新垣:いや~…(照れ笑い)、そうありたいものですね。

礒:そうあるんですよ。

新垣:弦楽器の音色とピアノの音色、どう組み合わせたら一番生かせるか。考えながら作りながら演奏しています。

――今回のCDは3月11日発売ですが、震災の復興を意識されてのことでしょうか?

礒:発売日はたまたまで、意識したわけではないんです。でも、個人的には震災直後や次の年とかも行かせていただいてご縁があったので、ツアーは石巻を皮切りにスタートすることになりました。その後、新垣さんと陸前高田や女川の仮設住宅にも行くつもりです。みんな、新垣さんに会えるの、楽しみにしていましたよ。

新垣:ありがたいですね。ぜひいらしていただけるとうれしいですね。

【新垣隆(にいがき・たかし)】
1970年生まれ。4才からピアノを始め、1989年桐朋学園大学音楽部作曲科に入学。卒業後、作曲家ピアニストとして活動。2014年2月、佐村河内守氏のゴーストライターを務めてきたことを記者会見で告白。騒動後、非常勤講師を務めていた桐朋学園大学を辞職。

【礒絵里子(いそ・えりこ)】
1972年生まれ。桐朋学園大学音楽部卒業後、文化庁芸術家在外派遣研究員としてブリュッセル王立音楽院に留学、大賞を受賞し首席で修了。1997年プロデビュー。オーケストラ共演やテレビ・ラジオ出演、学校訪問など多方面で活躍中。

◇CD『ロンド~珠玉のヴァイオリン名曲集』は3月11日発売。CD発売を記念して、ツアーを開催。3月26日から石巻市河北総合センタービッグバン文化交流ホールを皮切りに、東京では3月30日に東京文化会館で行う。ほかに、愛知、石川など全国10か所以上。

撮影■小彼英一

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