ハンデが小数点以下を持つ数字になっているのは、張り客と胴元が引き分けにならないようにする工夫だ。高校野球では3点、4点というハンデが設定されることもあるが、プロ野球では細かく0.1点単位で出され、2点以下になることが多い。
X氏によれば「“このハンデなら弱いチームに張っても勝てる”と思わせる絶妙な数字を設定するのがポイント」という。これを決めるのが「ハンデ師」と呼ばれる人物である。
X氏によれば、それぞれの胴元には優秀なハンデ師が何人もいるという。
「ハンデ師は毎試合ごと、先発投手が発表された時点で、戦力比較や相性などを考慮して新たなハンデを切っていく。叩き台となる数字は、複数のベテランハンデ師が張り客となってシミュレーションする。10人のハンデ師がいたとして、試合予想が5対5になるハンデを作る。
野球賭博の世界では各胴元が勢力の大きさに準じたピラミッドを形成している。そうした叩き台のハンデは大胴元と呼ばれるトップ組織から末端のハンデ師に流す。あとはそれぞれが独自の情報を加味して、最終的なハンデを設定する」(X氏)
※週刊ポスト2015年4月10日号